らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

林光 弦楽四重奏曲「レゲンデ」Vol.3

2012年03月13日 23時59分21秒 | クァルテット
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 続きです。

 第1楽章 ファンタジア:音列B-B-H-H-B-B-H-Eが、全曲の隠しモチーフになっています。ただし、連続する同音の一つを省いた形が主に用いられて、冒頭チェロのソロで始まるCis-D-Cis-D-Gは移調されて提示されています。

 第2楽章 スケルツオ:最初に出てくる16分音符が終わると、1stVnによる統一主題が奏でられます。アルペジオや舞曲的な部分をへてからチェロのソロの部分(モノローグ)に到達し、曲がとじられます。この楽章は初演以後に付け加えられた楽章です。

 第3楽章 イン メモリアル 1989.6.4:この意味深な題名の第3楽章は、初演時は曲を締めくくる第2楽章でした。後に第2楽章が追加されて、最終楽章になりました。そしてこの題名の意味ですが、六四天安門事件と関係があるようです。所謂描写音楽では無いと作曲者は否定していて、「天安門における学生や市民の示威行動への共感と犠牲者への哀悼の感情と無縁ではない」と述べています。強烈な重音と沈黙の対比が、あの悲劇を無言の内に指し示す、怒りと祈りの音楽です。曲の最後の方でVnが奏でる美しい音楽は、犠牲者のレクイエムのようです。

 追悼の意味を込めて、林光先生の初の弦楽四重奏曲をプログラミングしましたが、調べてみると意味深い作品なのがわかり、さらに曲を深めて練習をすすめなくてはいけませんね。4/28をお楽しみに。
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