Franco Cerri / International Jazz Meeting ( 伊 Columbia 33QPX 8018 )
前回のレコーディングから1年半後、再びコロンビアのスタジオにメンバーが集まり、似たようなアルバムが制作されます。
ただし、ここで聴かれる音楽は前回のものと比べると少し音楽らしさを取り戻していて、1年半という時間の経過を実感できます。
バッハだって、平均律クラヴィーアの第1集は未熟な曲想だったのに、20年後に再度創った第2集ではグッと深みが増したんですから、
アーティストにとって時間の重みというのは重要なんだな、ということがよくわかります。
なぜかはよくわかりませんが、全体的に南米の演奏家が演奏するジャズを聴いているような雰囲気があります。 内省の欠落したような、
どこか枯れた諦観が漂うようなところがあります。 この変化は何だろう、と訝しい気持ちで聴いていると、短い演奏はあっという間に終わります。
前回のゲストはラース・ガリンで、ちょこっと顔を出しただけで何のために参加したのかよくわかりませんでしたが、こちらはバルネがソプラノで
参加しており、アルトのフラヴィオがソロを全然取らないのでかなりの存在感があります。
もう1つ不思議なのは、前回のレコードよりも新しい録音にも関わらず、こちらの再生音は全体的にエコーが強めにかかっているせいか、
かなりフォーカスが甘くぼやけていて、音場も1歩後退したような音になっていることです。 レコードは同じ時期に製造されたようですが、
音の良さで言えば前作の方が遥かにいい。 このアルバムはCDも聴いてみましたが、はっきり言ってレコードとはほとんど差異はなかったです。
CDはレコードの雰囲気をうまく捉えられていて、よくできています。
バルネが入っているということで特別視されているようですが、ソプラノをメインに吹いているので豪放さは微塵もないし、そもそも音楽自体は
サロンミュージックのような軽いものなので、実際に聴くと事前のイメージとはかけ離れた内容にがっかりする人もいるんじゃないでしょうか。
無責任に飛び交う流言飛語に踊らされずに、よく見極めることが必要かもしれません。