いいのが見つかっても見つからなくても中古探しは面白いものですが、自分の心持ち一つでもっと面白くすることもできます。
一番いいのは、自分の欲しいものや従前から探しているもののことをきれいさっぱり忘れることじゃないか、と思います。
探しものをしているのに探しているものを忘れるとはまるで禅問答のようですが、欲しいものを目の前に出現させるというようなこと自体、
我々の力でコントロールすることができない類のことです。 だから、欲しいのに見つからない、欲しい、欲しい、と嘆いても仕方がない。
それと、中古探ししなきゃいけなくなる前に買っとけ、というのもあります。 マニアの常として、新品として店頭に並んでいるとなぜか
有難みを感じられず、これはいつでも買えるんだから今度でいいや、今は今しか買えないこっちの廃盤を買っとこう、と思ってしまう。
そして気が付くとそれは店頭からは消えていて、ようやく目の色を変えて探しまくる、ということを繰り返します。
当たり前のことですが、全ての廃盤は元々はと言えば新品として普通に店で売られてた訳で、たまたま運が悪く自分がその時その場にいなかった
だけのこと。 今、目の前で売られている新品は、将来の廃盤候補生です。
だから、新品で買えるものは新品で買っとけ、ということですね。 そうすれば、中古探しは楽になるし、本来の楽しさを満喫できます。
なので、私は新品漁りも中古探しと同じくらい熱心にやるようにしています。
■ Steve Grossman / Katonah ( DIW 811 )
東京のスタジオでレコード会社の社員たちを前にして行われたライヴ形式での録音で、生々しい一発録りの演奏です。
1曲目の表題曲の "Katonah" がやたらカッコいい曲で痺れますが、ベースがブンブン唸る様がきれいに録れており素晴らしい演奏です。
とにかく1曲目の出だしから最後の曲の終わりまでひたすらテナーが鳴っており、やはりどうしてもコルトレーンのレコードなんかを
思い出してしまいます。 こういう演奏が聴ける音盤というのは、冷静に考えるとそれほどたくさんあるわけではないことに気が付きます。
グロスマンのテナーの音は濁っていてお世辞にもきれいな音とは言えませんが、この音には嫌味なところがないので好きです。
私は例えばジョー・ヘンダーソンの音は嫌いであまり聴く気にはなれませんが、この人の音はなぜかクセになります。
■ Steve Grossman / Live at The Someday Vol.1 ( Someday of Mugen Music THCD-338 )
ライヴハウスでの演奏で、グロスマンのライヴ演奏としてはこれが一番いいと思います。 特筆すべきはバックの日本人ピアノトリオで、
日本人によく見られる線の細さや小粒さ流れの悪さが一切なく、まるでアメリカ人のトリオかと思うような立派な演奏です。
グロスマンのタイム感が冴えに冴えていて、アドリブラインもなめらかを極め、全体で大きな1曲を聴いたような錯覚を憶えるほど。
様々な枝葉に分かれて覆い茂ったおかげでジャズという音楽はいろんなテイストが楽しめますが、時々ここに帰ってきて忘れかけた本流を
思い出すことが必要だな、と思います。
来日に合わせて再プレスされた今回の店頭在庫も残りが少なくなってきているようです。
中古のほうは相変わらず不調で、この2枚だけでした。
■ Art Farmer / Warm Valley ( Concrd VICJ-60610 )
フリューゲルホーン1本だけでアルバムを最後まで退屈させずに聴かせることができるのは、おそらくこの人だけだろうと思います。
これは凄いことです。
ベニー・ゴルソンの "Sad To Say" が聴きたくて買いましたが、期待通りのいい演奏。 エリントンの "Warm Valley" も美しく、
この人にしかできない美しいバラードが嬉しいアルバムです。
■ Mel Torme & George Shearing / Evening With ( Concord 240E 6820 )
メル・トーメ晩年の大傑作。 これは歌だけではなく、ジョージ・シアリングのピアノが驚異の名演で、聴く人を驚かせます。
ここで展開される歌と演奏の信じられないようなスイング感やデリケートさは凄いとしか言いようがなく、これ以上言葉が出てきません。
あまりに評判が良く、グラミー賞まで取ってしまったので続編がたくさん作られましたが、このアルバムが一番出来がいいと思います。
白人スイングジャズの究極の姿がここにあります。
一番いいのは、自分の欲しいものや従前から探しているもののことをきれいさっぱり忘れることじゃないか、と思います。
探しものをしているのに探しているものを忘れるとはまるで禅問答のようですが、欲しいものを目の前に出現させるというようなこと自体、
我々の力でコントロールすることができない類のことです。 だから、欲しいのに見つからない、欲しい、欲しい、と嘆いても仕方がない。
それと、中古探ししなきゃいけなくなる前に買っとけ、というのもあります。 マニアの常として、新品として店頭に並んでいるとなぜか
有難みを感じられず、これはいつでも買えるんだから今度でいいや、今は今しか買えないこっちの廃盤を買っとこう、と思ってしまう。
そして気が付くとそれは店頭からは消えていて、ようやく目の色を変えて探しまくる、ということを繰り返します。
当たり前のことですが、全ての廃盤は元々はと言えば新品として普通に店で売られてた訳で、たまたま運が悪く自分がその時その場にいなかった
だけのこと。 今、目の前で売られている新品は、将来の廃盤候補生です。
だから、新品で買えるものは新品で買っとけ、ということですね。 そうすれば、中古探しは楽になるし、本来の楽しさを満喫できます。
なので、私は新品漁りも中古探しと同じくらい熱心にやるようにしています。
■ Steve Grossman / Katonah ( DIW 811 )
東京のスタジオでレコード会社の社員たちを前にして行われたライヴ形式での録音で、生々しい一発録りの演奏です。
1曲目の表題曲の "Katonah" がやたらカッコいい曲で痺れますが、ベースがブンブン唸る様がきれいに録れており素晴らしい演奏です。
とにかく1曲目の出だしから最後の曲の終わりまでひたすらテナーが鳴っており、やはりどうしてもコルトレーンのレコードなんかを
思い出してしまいます。 こういう演奏が聴ける音盤というのは、冷静に考えるとそれほどたくさんあるわけではないことに気が付きます。
グロスマンのテナーの音は濁っていてお世辞にもきれいな音とは言えませんが、この音には嫌味なところがないので好きです。
私は例えばジョー・ヘンダーソンの音は嫌いであまり聴く気にはなれませんが、この人の音はなぜかクセになります。
■ Steve Grossman / Live at The Someday Vol.1 ( Someday of Mugen Music THCD-338 )
ライヴハウスでの演奏で、グロスマンのライヴ演奏としてはこれが一番いいと思います。 特筆すべきはバックの日本人ピアノトリオで、
日本人によく見られる線の細さや小粒さ流れの悪さが一切なく、まるでアメリカ人のトリオかと思うような立派な演奏です。
グロスマンのタイム感が冴えに冴えていて、アドリブラインもなめらかを極め、全体で大きな1曲を聴いたような錯覚を憶えるほど。
様々な枝葉に分かれて覆い茂ったおかげでジャズという音楽はいろんなテイストが楽しめますが、時々ここに帰ってきて忘れかけた本流を
思い出すことが必要だな、と思います。
来日に合わせて再プレスされた今回の店頭在庫も残りが少なくなってきているようです。
中古のほうは相変わらず不調で、この2枚だけでした。
■ Art Farmer / Warm Valley ( Concrd VICJ-60610 )
フリューゲルホーン1本だけでアルバムを最後まで退屈させずに聴かせることができるのは、おそらくこの人だけだろうと思います。
これは凄いことです。
ベニー・ゴルソンの "Sad To Say" が聴きたくて買いましたが、期待通りのいい演奏。 エリントンの "Warm Valley" も美しく、
この人にしかできない美しいバラードが嬉しいアルバムです。
■ Mel Torme & George Shearing / Evening With ( Concord 240E 6820 )
メル・トーメ晩年の大傑作。 これは歌だけではなく、ジョージ・シアリングのピアノが驚異の名演で、聴く人を驚かせます。
ここで展開される歌と演奏の信じられないようなスイング感やデリケートさは凄いとしか言いようがなく、これ以上言葉が出てきません。
あまりに評判が良く、グラミー賞まで取ってしまったので続編がたくさん作られましたが、このアルバムが一番出来がいいと思います。
白人スイングジャズの究極の姿がここにあります。