Ernie Royal / Accent On Trumpet ( Urania UJLP 1203 )
時間が経つとレコードの印象が変わってくる、というのはよくあることで、以前聴いた時はさしていいとも思わなかったけど、今聴いてみると
結構いいじゃないか、と思ったりすることがあります。 尤も、その逆もよくあることで、何がそう思わせるのかはよくわかりません。
このレコードも昔聴いた時は退屈な内容だな、と思ってほとんど手に取ることもなかったのですが、今聴いてみるとそんなに悪くはないし、
意外に音がいいレコードなんだな、と思うようになりました。
アーニー・ロイヤルのトランペットはその音も奏法も古いスタイルだし、ギターもドラムも同じく古いスタイルでの演奏ですが、集まったメンバーが
やっている音楽は古臭いという感じはなく、瑞々しい新鮮さみたいなものを感じることができます。
ウラニアというレーベルはハードバップとは無縁の音楽に特化してレコードを少し作ったマイナーレーベルで、採用された演奏家もスイング系の人たちが
メインでしたが、その音楽はどれも古臭さはなく、実は選球眼がよかったんだなということがわかります。
このレコードもスタイルはスイング系のスモールコンボのそれですが、音楽がかなりしっとりと落ち着いていて、モダンと中間派の間くらいの
"クォーター・モダン" とでもいうべき地味だけど新しい隙間を縫うような分野をつくっているようなところがあります。 誰もガツガツしたところが
なく、ゆったりとした余裕をもってのんびりと演奏している。
一応、名義はアーニー・ロイヤルのリーダー作ということにはなっていますが、特にこの人が前に出て、というような野心的なところもなく、
全員でこじんまりと音楽をやっているという手作り感が好ましく、たまに聴くとホッと一息つける可愛らしいレコードです。
どうでもいい話ですが、ジャケットに写る顔は眼窩が窪んでいて影になっていますが、よく見ると実はアーニー・ロイヤルの眼は開いています。
これがちょっと怖い。