Jan Garbarek / Places ( 西独 ECM 1118 )
ヤン・ガルバレクがビル・コナーズのギター、ジョン・テイラーのオルガン、ピアノ、デ・ジョネットのドラムをバックにワンホーンで叙情的に綴った
まるで風景画のような作品。
ジョン・テイラーの音を小さく絞った控えめなオルガンが透明感のある背景の淡い色を作っており、これが素晴らしい。 まるでオルガンではなく、
シンセサイザーのような使い方をしています。 ビル・コナーズも必要最小限ながらも繊細な音色でデリケートなフレーズを印象的に紡いでおり、
バックの演奏の質感の高さは群を抜いています。 ベースがいないお蔭でドラムまでもが浮遊感を漂わせている。
ガルバレクはサックスでフレーズを吹いていくというよりは、音で空間に色付けを施していくという感じで、キャンバスに筆ですくった様々な色を
載せていくようなアプローチで、曲が進むにつれてだんだんと絵画が完成していくのを見ているような趣きがあります。 こういうところが既成の
音楽には無かったところで、このレーベルが確立したまったく新しい音楽の形なんだろうと思います。
ガルバレクの誰にも似ていないサックスの音は素晴らしく、この人がいなければ私はECMの音盤はもともと聴いていなかったかもしれません。
そういう意味で、個人的にはガルバレクという人は思い入れのある音楽家です。 レコードで聴くようになって、ますますその孤高の音が好きに
なっていきます。