Jimmy Cleveland / Rhythm Crazy ( 米 EmArcy MGE-26003 )
この第4作もゴルソンとファーマーが加わり、アレンジはゴルソンのものとジジ・グライスのものが混在している。
第1作や第3作のアーニー・ウィルキンス・オンリーの編曲と雰囲気が違うのは一聴してすぐにわかる。
どこが違うかというと、楽曲が持つ良さがより魅力的に引き立つような編曲に沿って各人の演奏が一直線に進んでいるということに尽きる。
変な小細工が感じられず、非常にストレート。そこにヴィヴィッドや柔らかいハーモニーが施されているから、楽曲に美しい輝きがある。
ジャズの場合、アレンジはマイナス要因と捉えられがちだけど、上手くやれば音楽はより豊かなものへと格上げされる。
ハンク・ジョーンズがピアノを弾いているのも、全体がデリケートに仕上がっている要因の1つだ。
アップ・テンポの曲はキレのいい演奏が素晴らしく、スローな曲では幻想的な美しさが表現されおり、全編を通して質の高い音楽になっている。
その一番いい見本が "Our Delight" で、この曲がこんなにいい曲だとはこれを聴くまでは思っていなかった。彼らが演奏するとただのビ・バップの
単調な曲ではなく、美しい名曲に様変わりする。タッド・ダメロンの頭の中では、きっとこんな風に聴こえていたんだろうなと思う。
これを聴くだけでもこのレコードは買う価値がある。
こんな素晴らしい音楽が詰まったレコードがあまり聴かれていないというのは本当にもったいない。もっと広く聴かれるようになればいいのに、
と思う。そうすればジャズという音楽が好きになる人がもっと増えるだろう。レーベル・デザインも可愛らしい。