廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

2017年の猟盤を振り返る

2017年12月29日 | Jazz雑記
2017年を振り返ると、今年は言うまでもなく安レコ探しに明け暮れた日々だった。 最後に買った1万円を超えるレコードは5月に吉祥寺で買ったコニッツの
10インチ盤で、それ以降はすべて3ケタ、4ケタのレコードばかりだった。

安レコとは基本的には2千円未満のレコードのことを指す訳だけど、私の場合はここにいくつか条件が付く。 まず、それはオリジナル盤でなきゃいけない。
"サキソフォン・コロッサス" の国内盤が1千円で売られていても、これは安レコとは言わない。 それは「適正価格レコ」なのである。

次に、相場よりも著しく安い場合は、2千円を超えても安レコと言っていいだろう。 例えば、こういうレコード。



このレコードの初版はフラットディスクで、弾数はかなり少ないはずだけど、3,240円だった。 ジャケットは少しくたびれているけど、盤はきれい。

ラッキー・トンプソンには名盤がない。 この人はスイングがやりたいのかモダンがやりたいのかがよくわからない。 他人のリーダー作に客演したものには
いい演奏が結構あるのに、本人名義のアルバムには印象に残るものは1枚もない。 このウラニア盤もスコープがはっきりしなくて、名盤だとはお世辞にも
言えない人気の無い盤だけど、それでもフラットは珍しい。 唯一の聴き所はバラードの "Where Or When" で、これはシブくて趣のある名演奏になっている。





ドリス・パーカーが興した "Charlie Parker Records" には法廷相続人だった彼女にしか出せないパーカーの珍しい音源のレコードが何枚かある。
これはその中の1枚で、1951年のボストンのクラブで行われた演奏の私家録音。 音質は悪く、パーカー・マニア以外には聴かれることのないレコードで、
安っぽい作りのせいでエサ箱の隅に追いやられて埃をかぶっているのが常だけど、こんな見開きコーティングの豪華なジャケットがあるなんて初めて知った。
2千円という値段は微妙だけど、これはこれで珍しいんじゃないかと思う。

パーカーは調子が良かったらしく、演奏の出来はかなりいい。 とにかくこの人にしか出せない音とフレーズが圧倒的に凄い。 普段のライヴはこんな感じで
やってたんだなあということがよくわかる。 





このレコードは溝無しがレギュラープレスで、それでオリジナルということでいいと思う。 掃いて捨てるほどあるレコードだから相場は900円くらいだけど、
稀にこういう溝有りのイレギュラープレスがあって、4,320円という値段が付く。 何か違うのかと思って買って聴いてみたが、何も違わなかった。
そして年末セールになると、お値段は更にその倍に。 だからそういうのにはバカバカしいから行かない。 そもそも、「セール」という言葉は「大安売り」
という意味で使われるのが一般的なんじゃないのかなあ。





後期エヴァンスの中では比較的弾数が少なく、入手に時間がかかった。 但し、出れば安くて1,800円。 まあ、それはさておき、問題は1/3だけ残った
シュリンクラップ。 この未練がましさはどうだろう。 この状態で一体何人の手を経て私の手許にやってきたのかはわからないけれど、こういうところに
レコードマニアの執念を感じる。 笑ってしまうけど、嫌いになれない。 


こんな風に安レコには安レコなりの愉しみ方があるわけで、そういうのにかまけていると1年なんてあっという間に終わってしまう。
そういうのんびりとした猟盤生活だった。 来年もこれくらいのゆるさで行きたい。


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