廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

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リーダー作がほとんどない人 ~その2~

2019年08月16日 | Jazz LP (Savoy)

Allen Eager / New Trends In Modern Music Vol.2  ( 米 Savoy MG-9015 )


一般的にアレン・イーガーに最も触れる機会が多いのは、トニー・フラッセラのアトランティック盤だろう。 共演者としての参加なので演奏を十分堪能
できるというほど聴けるわけではないが、それでも "His Mastre's Voice" や "Blues Serenade" の淡麗な語り口に魅了されない人はいないだろう。
よし、ではリーダー作を探そうということになる訳だが、これが途方に暮れてしまうことになる。

この人の単独リーダー作はSP音源を集めたサヴォイの10インチが2枚、81年のUptown盤、日本でリリースされた放送音源くらいしかない。 後者の2枚は
どうも食指が動かず未聴のままなのでどういう内容なのかはわからない。 前者の2枚は若い頃の短いSP録音なので、あまり楽しめる内容とは言い難い。
サイドメンとして参加しているものはそこそこ残ってはいるけれど、それはあくまでサイドメンとしての演奏で本人の実像にはなかなか迫れない。

この人の略歴はWikipediaに詳しく出ているので割愛するが、ドラッグ問題でシーンからは早々に離脱したというお決まりのパターンだったようだ。
時々思い出したように楽器を手に取ったみたいだが長続きしなかったらしく、これではリーダー作どころではなかっただろう。 いいテナーを吹くので
ただただもったいない。 別に音楽なんてやらなくても人間は生きていけるから他人がとやかく言う話ではないが、それでも彼の演奏の片鱗に触れた
ことがある人からすれば、もっとその演奏を聴いてみたかったと思うのが人情ではないか。

40年代後半のサヴォイと言えば当時のトップ・レーベルであり、自己名義で録音できるというのはかなり凄いことだったはずで、それなりにジャズ界では
注目されていたということだ。 このアルバムでも粗削りながらも覇気のある演奏をしており、あともう少し持ちこたえていれば我々レコードオタクを
喜ばせる作品が残ったに違いない。 それぞれ事情を抱えていたと言え、こういう無いものねだりをしたくなるミュージシャンが当時はたくさんいた。


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