Enrique Rodriguez / Lo Que Es ( Extra Lovely Records EL010LP )
チリの首都サンチャゴで活動する謎の18歳のアーティスト、2017年にカセットテープで50部のみリリースされた本作が一夜で完売し、その後入手不可だったが
今回LPで限定300部のみリリースされた、とのこと。 購買意欲をそそる中々よく出来た販促文だが、既にユニオンの中古棚には当たり前のように転がっている。
こういうのは喰い付きは早いが、飽きるのも早いということか。
聴いてみて、なるほど、と思った。 これはユニオンのジャズ館に出入りするようなジャズおやじにはウケない音楽だ。 まあ、いわゆるジャズではない。
発売元がソウル・ジャズとして展開したから日本でもジャズとして売り出したようだが、敢えて分類するとしたらアンビエントとかニュー・エイジ系の
ロックの感覚だ。 意識高い系のジャズ・カフェ(ジャズ喫茶、ではない)で流れているのがよく似合う感じだ。
ジャケットの印象から生ピアノのソロ演奏かと思ったが、実際はリズム楽器(打ち込みかもしれない)や電子音が絡み、どこまでも静かな音楽が流れる。
新しい感覚の衝撃を期待したけど、そういうのは感じられなかった。 ただ、現代音楽の巨匠たちの影響みたいなスノビズムも感じられず、自身の内なる感覚に
素直に身を委ねたような印象があり、そういうところは好感がもてる。
敢えてレコードのみで発売する意義があるのかどうかはよくわからないけれど、取り合えずもっと広く一般に聴けるようにしたらいいんじゃないかと思う。
ジャズおやじなんか相手にしなくても、もっと聴かせるべき人たちは他にたくさんいるはずだから。