Rosemary Clooney / In Songs From The Paramount Pictures Production Of Irving Berlin's White Christman ( 米 Columbia CL6338 )
12月に入ると街の装いがクリスマス色に染まって、というのが楽しみだったはずなのに、どうも最近はそういう雰囲気が希薄になっていないだろうか。
昨日も街中へ出かけたけれど、クリスマスの雰囲気を感じることはなかった。なぜだろう?
そういう雰囲気を楽しむ心の余裕みたいなものが、社会全体から無くなってきているような気がする。子供の頃は、デパートに行くとクリスマスソングが
終始流れていて、緑と赤の装飾で彩られて、人々の顔つきも穏やかで楽しそうだった。そういうクリスマスはどこに行ってしまったのだろう?
だから、せめて我が家の中だけはクリスマスっぽくしよう、とクリスマスのレコードをできるだけかけるようにしている。幸いジャズの世界にはその手の
レコードがそこそこ残っているから、題材に困ることはない。
ローズマリー・クルーニーはジャズ・シンガーというよりはポピュラー歌手なのかもしれないけれど、ちゃんとクリスマス・アルバムを残している。
ポール・ウェストンやパーシー・フェイス楽団をバックに朗々と歌う。この人のいい所は色気を武器にしないところ。そういうのでごまかさない潔さだ。
アーヴィング・バーリンのクリスマスや冬に因んだ曲が集められていて、ザ・メローメンというコーラス隊がバックに付いたドリーミーな内容。
クリスマス・アルバムは出来がどうのこうのというべきではなくて、その存在そのものがありがたくて楽しいのだから、丸ごと楽しめばそれでいい。
このレコードは、ジャケット・デザインも素敵だ。何もかもが楽しい。