Dave Burns / Dave Burns ( 米 Vanguard VRS 9111 )
ヴァンガード・レーベルに残された中間派ではないアルバムの代表格はこれだろう。 これはどこからどう聴いても普通のハードバップで、ブラインドで聴けば
ブルーノートの1500番台としか思えない。 冒頭の "C.B. Blues" はプロデューサーの Clarence Bullard に因んだ名前のブルースだが、これがいい雰囲気で
このアルバムの幕明けに相応しい。 この曲に限らず、収録された曲はどれも哀感のこもった佳曲揃いで、このアルバムの音楽的な完成度の高さはハンパない。
ケニー・バロンが参加しているのでそこばかりに目がいきがちだが、他のメンバーの演奏も非常に適切な匙加減でコントロールされていて、演奏の質の高さは
他を寄せ付けない。 ヴァンガードに作品を残した中間派のプレーヤーはみんな演奏家としては超一流で、腕に余程の自信がないと恥ずかしくてこういう
センッションには顔を出せないだろうと思うけど、このアルバムに参加している無名の演奏家たちのレベルの高さは圧巻だ。 特にテナーのハービー・モーガンは
ビリー・ミッチェルを想わせるシブい音色で魅せてくれる。
デイヴ・バーンズは演奏も上手いし、音楽の作り方も上手い。 なぜリーダー作に恵まれなかったのかが不思議だ。 ブルーノートにもサブで参加しているが、
リーダー作が残っていてもおかしくない人だ。 もっとたくさんこの人の作品を聴きたいのに、と残念に思う。
このアルバムはそういう寡作家の貴重な1枚ということもあってか、手にした人がしっかりと聴き込んできたようで、きれいな盤を見つけるのにかなり苦労した。
そういう意味でも、個人的な思い出の1枚となっている。
このアルバムはヴァンガードっぽくなくてちょっと意外な内容ですが、まあ素晴らしいので、ぜひ聴いてみてください。
テナーがビリー・ミッチェルを想起さすというのもかなりの雰囲気と想像します。ビリー・ミッチェルは好きなので、探して是非聴いてみようと思います。