Dick Lane Quartet / Without Sauce ( Argo Creative No. 605 )
フォー・フレッシュメンも真っ青のハイパー・コーラスで疾走する様が心地よい衝撃を与えてくれる。 ビーチ・ボーイズを筆頭に、フォー・フレッシュメンの
広範囲に渡る影響力の大きさをここでも改めて思い知らされることになる。
甘ったるいバラードなどは排し、テンポのいい楽曲ばかりで全編通しているのでダレるところがなく、それが非常に好ましい。 コーラスのバラード曲は
上手く仕上げるのは難しいので、そういうリスクを最初から排除しているのは正しい判断だと思う。 "Bye Bye Blackbird" や "That Old Feeling"
のような古い曲も目の覚めるような新鮮な響きに塗り替えられており、才気豊かな勢いみたいなものを感じることができる。
コーラス(和声)はすべての音楽に共通する最も重要な要素の1つ。 グレゴリアン・チャントを持ち出すまでもなく、その起源は音楽発祥の時点にまで遡る。
そういう原始の姿のまま生き残り続けるコーラスという形態はいつの時代においても人々の心に響くものだし、近年では The Real Group などの極めて
優れたグループを生み出し続けている。 このディック・レーン・カルテットも、そういう系譜に名前を残すべき素晴らしいコーラス・グループだと思う。
Argo初期のボート・レーベルのこのディスクは音質も良く、くっきりとクリアで音圧の高いサウンドでこの素晴らしいコーラスを再生してくれる。
音楽的な満足度の高さと高品質な音場感が上手く結びついて、豊かな時間を過ごせることを約束してくれる隠れた傑作。
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今週はUS買い付けロー・プライス品が少し品出しされていて、5枚ほど拾ってくることができた。 これはその中の1枚。 安いなあ、とため息をつきながら
帰ってきた。 ただ値段が安いだけの品揃えではないところに意味がある。 愉しい漁盤はまだまだ続く。
どんなジャンルのガイドブックでも見たことがないように思います。このようなコーラス系のレコードの米の奥深さを感じます。良いですよね。このあたりも。
アーゴのボートラベル。音が良いのも想像できます。
さすがの猟盤センスですね。
フォー・フレッシュメンそっくりのはハーモニーに驚きました。 これは、いい。
アーゴにはもう1枚あるので、それもこの安レコ・シリーズで出てこないかなあ、と愉しみにしてます。