Enrico Pieranunzi / Space Jazz Trio Vol.2 ( 独 YVP Music 3015 )
第1集から2年後の1988年にリリースされた第2集。音楽の成熟度はさらに増し、楽曲のメロディーの美しさはここに極まっている。
ポピュラー音楽のようなキャッチーさではなく、わかりやすい抽象性に富んだ美しさで、これはアメリカのジャズでは決して見られない。
音楽の土台がまったく違う。こういうのをやられると、アメリカのミュージシャンは黙ってしまうしかない。
グループの纏まりも見事で、なんと高度な演奏だろう。一糸乱れぬ、とは正にこのことだろう。ベース奏者とドラマーのことは不勉強で
よく知らないけれど、繊細な音楽を構成するのに大きな役割を果たしている。有名なだけが偉いということではない。
自身の音楽が明確に確立されていて、誰かの物真似とは無縁であるところが素晴らしい。わざわざお金を出して手に入れないと
聴くことができないオリジナルな音楽で、他では代替がきかない。私もいい加減いい年齢なので、こういうものにお金を使いたいと思う。
音質もグッと向上していて、音場感は最高にいい。自然な残響感、楽器の音のクリアな輝き、全体のバランスの良さ、どれも満点の仕上がり。
アナログとデジタルの幸せな出会いを楽しむことができる。