毎年恒例のナキオカヤドカリ(オカヤドカリ科)の放生の観察会を行いました。オカヤドカリは初夏から夏の終わりまで、何回かの放生(放幼)を行います。なかでもこの6月は特に多くのヤドカリがお子さんを海に放ちに来るので、オイラ達は毎年この時期に観察会を行います。
西の空が深紫(ディープパープル)になって来た頃、海岸には無数のナキオカヤドカリが続々と海を目指した下りて来ます。「足の踏み場もない」と言うのは真にこの事で、歩く時は必ず下を見ていないといけません。
今回はコロナ過の為、40名ほどしか集まりませんでした。皆さんマスクを付け適度に距離を取り、何より海風があるので大丈夫でしょう。
多分皆さん見られたと思いますが、放生の瞬間は見られなくても波打ち際は放たれたゾエア幼生でいっぱいです! 普段陸で生活しているのに幼生時代だけは母なる海で生活するのです。オイラ達人間が十月十日、海の塩分とほぼ同じ濃度である母体の羊水の中で過ごすのと同じように。
この子達は何回かの脱皮の後、親と同じ形になると陸へ上がって来ます。その期間はおよそ5~60日と言われています。
帰り際、殆どは裸の貝殻を背負ったセクシーなママ・ヤドカリを見つけたので、チョッとヌード・グラビアを撮らせて頂きました。
ほぼ中央に見える脚の付け根の黒ポチが生殖孔(セイショクコウ)と言い、メスは3本目の脚の付け根に。オスは5本目の脚の付け根に生殖孔、もしくはチョッと飛び出た精管があります。実はメスが放生をした後、オスはそれを待ち構えていて、上がってくるメスを捕まえては交尾をします。その時にオスはメスに精子のカブセル(精包)を渡し、メスは生殖孔から産卵して受精させます。
メスは一夏に2回~3回放生すると言われますが、4回したという記録もあるそうです。
オカヤドカリには5本の脚とは別に、お腹に腹肢と呼ばれる3本の肢があるんですが、メスの腹肢はオスのそれよりかなり大きいです。メスは放生するまで大切な我が子(卵)を大切に抱えていなければいけないからです。むしろオスの小さな腹肢が何の為にあるのかが分かりません。
観察会は自由解散で、21時くらいには皆さん帰られました。オイラ達講師陣は最後の親子が帰るのを見届けてから帰りました。今年も皆さん楽しんで頂けたようで「今年で数回目」と言うリピータが沢山いたのに驚きました。初夏の風物詩になっているんですね。
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