[1月25日15:25.天候:晴 北海道札幌市・地下鉄新さっぽろ駅 稲生勇太、マリアンナ・ベルフェ・スカーレット、イリーナ・レヴィア・ブリジッド]
(新さっぽろ駅のホームと駅名看板。チャイナ語と朝鮮語の表記はあるのに、ロシア語が無い。場所柄、中韓語よりロシア語の表記の方がいいような気がする)
JRの乗車券と指定席券を手にした稲生達は、札幌市街地に向かう為にまた地下鉄に乗り込んだ。
(札幌市地下鉄東西線8000系の車内。何の変哲も無いが、網棚が無い)
〔2番ホームから、宮の沢行きが発車します。ご注意ください〕
ホームドアのチャイムが仙台市地下鉄南北線と同じという……。
電車は強い加速で東の起点駅を発車した。
〔皆様、地下鉄をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、宮の沢行きです。次はひばりが丘、ひばりが丘。お出口は、左側です〕
西武池袋線のひばりヶ丘ではない。
ひばりが丘である。
〔冨士大石寺顕正会札幌事務所へは、菊水でお降りになられると便利です〕(←札幌会館より、事務所時代の方がアクセス性は良かったような……?)
「これからホテルに入りますが、夕食はどうしますか?」
「いいよ。せっかく来たんだから、ジンギスカンでも食べようよ」
稲生の質問に、イリーナが目を細めて答えた。
「分かりました。じゃあ、ホテルに着いたら、ちょっと探してみます」
「悪いねぇ……」
「いえいえ」
[同日16:00.天候:曇 札幌市中央区・ウォーターマークホテル札幌 稲生、マリア、イリーナ]
フロントでチェックインの手続きを取った稲生達は、カードキーを受け取った。
エレベーターで客室に向かう途中、
「まだ少し時間あるねぃ。その間、少し休めるね」
と、イリーナが言った。
「少しでも寝ようとしたら、そのまま朝まで寝てそうなので、起きていた方がいいと思いますよ」
マリアが釘を刺すように言う。
「だーいじょーぶだって。こう見えても、起きる時は起きるから」
「ベッド脇のアラームとモーニングコールと、ユウタのスマートフォンのアラームと……」
「逆に近所迷惑になるからやめなさい」
「ははは……」
苦笑するしかなかった稲生だった。
[同日21:00.札幌市内某所 天候:雪 マリア]
イリーナは一応、自分が宣言した通り、寝坊することなく、ちょっとした昼寝といった感じで起きた。
稲生達はすすきのにある北海道ビール園でジンギスカンをつついたのだが、例によってイリーナが痛飲した為、弟子達が抱えてホテルまで戻らなくてはならなかった。
既に意識の無くなったイリーナをベッドに寝かせると、何か稲生が下心でも出したか、マリアを夜の街に誘おうとしたが、マリアはそれを丁重に断った。
「ちょっとこれから会いに行く人物がいる。別に、男じゃないから安心して。……いや、悪いけどユウタには紹介できない」
稲生はマリアの言葉に首を傾げたが、一瞬見せたマリアの目つきが“魔女”であったので、稲生は従わざるを得なかった。
夜になってシンシンと雪が降り出した札幌市内、マリアが向かった先は市内でも人けの少ない場所……。
(おー、やってるやってる。やっぱりここだったか)
マリアの目つきは、普段稲生には見せない“魔女”のもの。
まあ、簡単に言えば人殺しも辞さない目つきというか。
昔、仙台を一緒に旅行した時に見せたことがある。
そんなマリアの目に広がった光景は、異様なもの。
空き地のような場所に、着衣の乱れた若い女性が肌蹴させられた胸を隠しながら茫然と、同じようにその光景を見ている。
他に人物は2人。
1人は半裸の男。もう1人はマリアと似た恰好をした魔道師の女だった。
男の方は既に血だらけの状態である。
マリアが少しずつ近づくと、その魔道師は、
「誰だ!?」
マリアが今している“魔女”の目つきでもって睨みつけて来た。
「よっ!相変わらずだな、クリスティーナ?」
「その声は……マリアンナ!?何であんた、この町に?」
「それはこっちのセリフだ」
すると血だらけの男は、這いつくばって、マリアに助けを求めて来た。
「な、なぁ……アンタ、助けてくれ……!こ、こいつをやめさせてくれ……!」
マリアは侮蔑の目を男に向けた。
「助けてくれ?やめてくれ?そのセリフ、真っ先にそこの女性に言われなかったか?」
「……!」
マリアは茫然自失としている性犯罪被害者の女性に回復魔法を掛けた。
「この“狼”はそこの“魔女”が叩き潰してくれるよ。今のうちに逃げた方がいい」
その直後、マリアの背後で男の声にならない断末魔が聞こえて来た。
「相変わらずエグいな……」
マリアが呆れた様子で言うと、
「人のこと言えるか!」
クリスティーナが反論した。
「ていうか、“狼”に叫ばすな。大騒ぎになるぞ。私達も早目に立ち去った方がいい」
「あ?」
遠くからパトカーのサイレンの音が聞こえて来た。
「さっさとこっちも離脱するぞ!あとはジェシカの所にでも送ればいいさ!」
「ちょっと夢中になり過ぎた……」
2人の魔女は雪の中に消えた。
離脱の最中でマリアは思った。
(ユウタには見せられん……)
(新さっぽろ駅のホームと駅名看板。チャイナ語と朝鮮語の表記はあるのに、ロシア語が無い。場所柄、中韓語よりロシア語の表記の方がいいような気がする)
JRの乗車券と指定席券を手にした稲生達は、札幌市街地に向かう為にまた地下鉄に乗り込んだ。
(札幌市地下鉄東西線8000系の車内。何の変哲も無いが、網棚が無い)
〔2番ホームから、宮の沢行きが発車します。ご注意ください〕
ホームドアのチャイムが仙台市地下鉄南北線と同じという……。
電車は強い加速で東の起点駅を発車した。
〔皆様、地下鉄をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、宮の沢行きです。次はひばりが丘、ひばりが丘。お出口は、左側です〕
西武池袋線のひばりヶ丘ではない。
ひばりが丘である。
〔冨士大石寺顕正会札幌事務所へは、菊水でお降りになられると便利です〕(←札幌会館より、事務所時代の方がアクセス性は良かったような……?)
「これからホテルに入りますが、夕食はどうしますか?」
「いいよ。せっかく来たんだから、ジンギスカンでも食べようよ」
稲生の質問に、イリーナが目を細めて答えた。
「分かりました。じゃあ、ホテルに着いたら、ちょっと探してみます」
「悪いねぇ……」
「いえいえ」
[同日16:00.天候:曇 札幌市中央区・ウォーターマークホテル札幌 稲生、マリア、イリーナ]
フロントでチェックインの手続きを取った稲生達は、カードキーを受け取った。
エレベーターで客室に向かう途中、
「まだ少し時間あるねぃ。その間、少し休めるね」
と、イリーナが言った。
「少しでも寝ようとしたら、そのまま朝まで寝てそうなので、起きていた方がいいと思いますよ」
マリアが釘を刺すように言う。
「だーいじょーぶだって。こう見えても、起きる時は起きるから」
「ベッド脇のアラームとモーニングコールと、ユウタのスマートフォンのアラームと……」
「逆に近所迷惑になるからやめなさい」
「ははは……」
苦笑するしかなかった稲生だった。
[同日21:00.札幌市内某所 天候:雪 マリア]
イリーナは一応、自分が宣言した通り、寝坊することなく、ちょっとした昼寝といった感じで起きた。
稲生達はすすきのにある北海道ビール園でジンギスカンをつついたのだが、例によってイリーナが痛飲した為、弟子達が抱えてホテルまで戻らなくてはならなかった。
既に意識の無くなったイリーナをベッドに寝かせると、何か稲生が下心でも出したか、マリアを夜の街に誘おうとしたが、マリアはそれを丁重に断った。
「ちょっとこれから会いに行く人物がいる。別に、男じゃないから安心して。……いや、悪いけどユウタには紹介できない」
稲生はマリアの言葉に首を傾げたが、一瞬見せたマリアの目つきが“魔女”であったので、稲生は従わざるを得なかった。
夜になってシンシンと雪が降り出した札幌市内、マリアが向かった先は市内でも人けの少ない場所……。
(おー、やってるやってる。やっぱりここだったか)
マリアの目つきは、普段稲生には見せない“魔女”のもの。
まあ、簡単に言えば人殺しも辞さない目つきというか。
昔、仙台を一緒に旅行した時に見せたことがある。
そんなマリアの目に広がった光景は、異様なもの。
空き地のような場所に、着衣の乱れた若い女性が肌蹴させられた胸を隠しながら茫然と、同じようにその光景を見ている。
他に人物は2人。
1人は半裸の男。もう1人はマリアと似た恰好をした魔道師の女だった。
男の方は既に血だらけの状態である。
マリアが少しずつ近づくと、その魔道師は、
「誰だ!?」
マリアが今している“魔女”の目つきでもって睨みつけて来た。
「よっ!相変わらずだな、クリスティーナ?」
「その声は……マリアンナ!?何であんた、この町に?」
「それはこっちのセリフだ」
すると血だらけの男は、這いつくばって、マリアに助けを求めて来た。
「な、なぁ……アンタ、助けてくれ……!こ、こいつをやめさせてくれ……!」
マリアは侮蔑の目を男に向けた。
「助けてくれ?やめてくれ?そのセリフ、真っ先にそこの女性に言われなかったか?」
「……!」
マリアは茫然自失としている性犯罪被害者の女性に回復魔法を掛けた。
「この“狼”はそこの“魔女”が叩き潰してくれるよ。今のうちに逃げた方がいい」
その直後、マリアの背後で男の声にならない断末魔が聞こえて来た。
「相変わらずエグいな……」
マリアが呆れた様子で言うと、
「人のこと言えるか!」
クリスティーナが反論した。
「ていうか、“狼”に叫ばすな。大騒ぎになるぞ。私達も早目に立ち去った方がいい」
「あ?」
遠くからパトカーのサイレンの音が聞こえて来た。
「さっさとこっちも離脱するぞ!あとはジェシカの所にでも送ればいいさ!」
「ちょっと夢中になり過ぎた……」
2人の魔女は雪の中に消えた。
離脱の最中でマリアは思った。
(ユウタには見せられん……)