報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Cindy” 「功徳爺の末路」

2016-06-05 20:59:04 | アンドロイドマスターシリーズ
[5月20日14:30.天候:晴 アメリカ合衆国南部上空・某国内線航空機内 敷島孝夫&アリス敷島]

 デイライト・コーポレーションの本社を訪れるべく、ニューヨークへ向かった敷島とアリス。
 そこで重役達と会談した後、再び飛行機で平賀達の待つヒューストンへ戻ろうとした。
 しかし、そこで飛行機がハイジャック犯達に乗っ取られるという事態に遭遇した。
 ハイジャック犯のリーダーは、歳の頃、60歳から70歳くらいと思しき老人であったが、足腰などはしっかりしている。
 名前をジャック・シュラ・カッパーと言った。
 まあ、頭の禿げ具合が河童みたいなのは内緒であるが。
 何かのカルト宗教の一団らしく、神の啓示を受けてハイジャックをしているらしい。
 しかし、そんな飛行機が謎の縦揺れを起こした。

 ジャック:「何事だ!?」

 ジャックはインカムで操縦席を乗っ取っている部下達に問うた。
 すると、返ってきた答えは……。

 ハイジャック犯D:「こちら、コクピット!閣下、大変です!さっきの乱気流の揺れで、弁当やらジュースやら全部ぶちまけてしまいました!何かもう色々ブッ壊れて操縦不能です!」
 ジャック:「なにぃっ!?だからあれほどコクピット内での飲食は禁止だって、事前の作戦会議で言ったでしょうが!」
 ハイジャック犯D:「すいません!一抜けさせてもらいます!」
 ハイジャック犯E:「だ、脱出〜っ!」

 コクピット組、とっととパラシュートで脱出してしまう。

 ジャック:「あっ、コラ!待ちんしゃーい!」
 ハイジャック犯B:「な、何だべまづ!?飛行機操縦できんの、あいつらしかいねぇべっちゃ!どうすっぺし、閣下!?ご指示を!!」
 敷島:(何であいつ、作者の田舎の方言なんだ?)
 ジャック:「こ、このままじゃ、墜落だよ〜!こんなことなら、恋女房とおとなしく【あらあら(はあと)】【うふふ(はあと)】しときゃ良かったーっ!死にたくないよ、カヨーっ!」
 敷島:「あいつ、日本人女性とでも付き合ってんのか?いい歳こいて……」
 アリス:「のんきに突っ込んでる場合じゃないでしょ!タカオはいくつものテロを掻い潜った男でしょ!?何とかしなさいよ!」
 敷島:「何とかって言われても……!」
 ハイジャック犯A:「俺はこのまま一生童貞のまま死を迎えるのか!?神よ!救いたまえ!我に美しい白人女性を与えたまえ!」
 敷島:「おーい、そこの童貞アニキ」
 ハイジャック犯A:「童貞って言うなぁぁぁぁぁっ!!」
 敷島:「うちのアリスで良かったら、話くらいさせてやるぞ?お前の好きな白人女性だ」
 ハイジャック犯A:「ゲルマン人は嫌いだーっ!スラブ系がいいっ!!」
 敷島:「アリスって、ゲルマン系だったっけ???てか、俺から言わせりゃ、どっちも同じ白人だっつの!それより、ちょっとどけ!」
 ハイジャック犯A:「な、なに!?俺を不幸な男だと思ってバカにするのか!?」
 敷島:「独身で彼女無しも悪くないだろ?少なくともDVの被害を受ける心配は一切無いぞ。最近の女もイカレてるのが多いからな」
 ハイジャック犯A:「なに!?」
 敷島:「しかも稼いだ金は全部自分のものだ。せっかく稼いだ金を変な小遣い制にされるよか、よっぽど幸せだろうが」
 ハイジャック犯A:「おおっ、神よ!!」
 敷島:「分かったら、さっきの爺さんの所に連れて行け!このままだと墜落する!時間が無い!」
 ハイジャック犯A:「は、はい!神父様!」
 敷島:「誰が神父だ!」

 敷島は操縦席付近でパニクってるジャックの所まで向かう。

 敷島:「おい、そこの爺さん!」
 ジャック:「何だよ、もう!今、神に祈りを捧げてるのに忙しいんだから、話し掛けるなよ!……御本尊様をタダの物で不要品って言ってゴメンなさい!どうかお助けください!」
 敷島:(神への祈りで、御本尊?何の宗教だ?)
 ジャック:「ナンミョ〜ホ……ゲホッゲホッ!」
 敷島:「別の宗教になってねぇか、おい!?てか、祈りの言葉で咳き込んでるようじゃ、神も見放すわ、そりゃ!……って、そうじゃない。甘ったれんな、クソジジィ!!」

 敷島、ジャックの胸倉を掴む。

 ジャック:「ヒイッ!」
 敷島:「お前、ボスなんだろ!?だったら、ボスらしく漢を見せてみやがれ!!」
 ジャック:「お、OTOKOを見せる?な、何ですか、それは!?」
 敷島:「知りたけりゃ、やらないか……じゃなかった!ついてこい!」

 敷島、ジャックをコクピットに連れ込む。
 ついでにアリスも呼んできた。

 アリス:「……言われた通りに応急処置はしてみたわ」
 敷島:「よし!さすがは自称、天才ロボット博士だな」
 アリス:「自称って何よ!?」
 ジャック:「あのー、夫婦喧嘩はよそでやってくれます?」
 敷島:「おっ、そうだった。アリスは席に戻ってろ。ちゃんとシートベルトをして、頭を低くしてな」
 アリス:「分かったわ」

 アリスはコクピットを出て行った。

 ジャック:「なぁ、おい。本当に大丈夫なんだろうな?」
 敷島:「任せておけ。こう見えても、俺はバスでテロ・ロボットに3回も突撃したことがある。この飛行機もエアバス。バス繋がりだ。何とかなる!」
 ジャック:「そ、そうか。(ていうか、明らかに地上のバスとエアバスじゃ、運転方法が違うと思うが……)」
 敷島:「あの島に不時着するぞ!俺が合図するから、それと同時に操縦桿を思いっきり引くんだ!」
 ジャック:「了解した」
 敷島:「今だ!レバーを引け!!」
 ジャック:「うぉぉぉぉぉ、ダメだ!すごく……固いです」
 敷島:「もう1度カヨさんとやらの顔を見たいんだろ!?だったら諦めんなっ!気合いを込めろ!」
 ジャック:「カヨ……!お、おう、そうだった!こなくそぉぉぉぉぉっ!!」
 敷島:「わぁーっ!?さすがに無理があったか!?」
 ジャック:「激突する!衝撃に気をつけろ!!」

[同日18:00.天候:雨 アメリカ合衆国テキサス州ヒューストン市郊外・デイライト・ヒューストン工場]

「な、何だって!?敷島さん達の乗った飛行機がハイジャック!?」
 敷島達の戻りを待つ平賀達の元に、不吉な報がもたらされた。
「プロフェッサー平賀!すぐに・出撃命令を!」
 エミリーがすぐに動こうとする。
「ま、待て!相手はテロリストだぞ!?何をしでかすか分からん!下手すりゃ、自爆テロの恐れも……」
 応接室内のテレビで、また速報が流れる。

〔「番組の途中ですが、ここでハイジャック事件の続報をお伝えします。件の航空機は行方不明になった後、カリブ海上の無人島、ガンコードッパク島に墜落しているのが発見されました」〕

「つ、墜落!?」
「プロフェッサー平賀!すぐに・救助命令を!プロフェッサー平賀!御命令を!」
 ガクッと両膝をつくシンディ。
「あ、あたし……また廃品になっちゃった……ゴミになっちゃった……」
 一気にオーナーとユーザーを失ったと認識した。
 所有者のいないロイドは、粗大ゴミと同じだと思考しているシンディは絶望の淵に立たされたのである。
コメント
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