[8月27日06:31.天候:曇 JR東飯能駅 敷島孝夫、アリス敷島、3号機のシンディ]
歳を取ったら、俺もシンディに介護されたい……。
シンディ:「ん?」
敷島:「どうした、シンディ?」
シンディ:「いえ……。何か、作者のつぶやきが聞こえたような気がして……」
敷島:「無線通信が混線でもしたのか?まあ、ここはJR線と西武線が交差する所だからな」
アリス:「鉄道無線は周波数が全く違うから混線なんかしないし、そもそも何で作者の声が鉄道無線で流れて来るのよ?」
敷島:「鉄道であった怖い話の正体は、大抵こういうものだったりするんだよな」
アリス:「……シンディ、タカオに一発電流お願い」
シンディ:「かしこまりました」
敷島:「おいっ!」
〔「まもなく東飯能、東飯能です。お出口は、右側です。西武池袋線は、お乗り換えです」〕
電車が駅のホームに入る。
普段から4両編成の電車が走る所はJRも西武も同じだが、時折7両編成の特急“レッドアロー”や4両編成を2台繋いだ8両編成が走ることもある西武線の方が乗客数は多いか?
もっとも、レッドアローは東飯能駅には停車しないのだが……。
ポロロロン♪(205系のドアチャイム)
敷島:「この駅でDCJの人達が出迎えてくれることになっているはずだ」
敷島達、電車を降りると足早に改札口に向かう。
が、
アリス:「ちょっと待って」
敷島:「何だ?」
アリス:「ちょっとトイレ」
敷島:「だーっ!」
改札口の外にはトイレが無い為、アリスは改札口に近いトイレに寄って行った(但し、駅前に公衆トイレはある)。
敷島:「外ではDCJの人達が待っているってのに……。まあいいか。シンディ、お前はアリスについててやってくれ」
シンディ:「いいけど、社長は?」
敷島:「俺は先にDCJの人達と挨拶してくる。電車が時間通りに着いたってのに、なかなか駅から出て来ないんじゃ怪しまれるだろう」
シンディ:「なるほどね。じゃ、私はマスターについてるわ」
敷島:「ああ、頼むぞ」
敷島、先に改札口を出て行く。
改札口の外には既にDCJの社員達がいて、敷島が挨拶していた。
社員A:「こんな朝早くから申し訳ありません」
社員B:「敷島エージェンシーの敷島社長にまでご足労頂けるとは……」
敷島:「いえいえ。デイライトさんには、うちのボカロの整備をお願いしてて、それでお世話になってますから」
社員B:「アリス主任は……?」
敷島:「ああ。あいつ今、トイレに行ってるんです。もう少し待って頂けますか?」
社員A:「構いませんよ。慌てて行ったところで、何も状況は変わらないと思いますので」
敷島:「そんなに事態は深刻なんですか?」
社員B:「今の研究所には、誰も近寄れない状態です」
敷島:「そんなに!?……えっ?てか、奴等、まだ実は所内に立て籠もっている状態!?」
社員A:「ああ、いや。そういうわけではなくて、流血の惨が起きたことで、警察関係者以外は入れないという意味です」
敷島:「なるほど。ああ、そうそう。そんなことがあったのに不謹慎なんですけど、アリスのヤツ、トイレの後は何か食いたがるんです。あそこのコンビニに行ってきていいですか?」
社員A:「ええ、どうぞ。私達は車で待っています」
敷島が足を駅前のコンビニに向けようとした時だった。
敷島の背後から、銃声の音がした。
それも拳銃ではなく、シンディが搭載しているようなライフルの音。
敷島:「!!!」
敷島はそれまでの経験から、スーツが汚れるのも気にせず、その場に転がった。
ライフル弾は3発放たれた。
社員A:「ぐわっ!」
社員B:「ぎゃあっ!」
敷島は咄嗟に転がったことで、被弾は免れた。
だが、不慣れな社員2人は被弾してしまった。
敷島:「くそっ!」
シンディ:「社長!」
シンディが叫ぶのと再び銃弾が発砲されたのは同時だった。
シンディが敷島の前に立ちはだかり、ライフル弾がシンディの左わき腹に被弾したが、もちろん頑丈なマルチタイプのこと、それだけでは大したダメージにはならない。
敷島:「警察だ!警察を呼べ!!」
シンディはすぐに銃弾が飛んできた方向をスキャンしたが、既に狙撃者は去った後なのか、スキャンに引っ掛からなかった。
???:「復讐……復讐……!全ての……人間に……死を……!そして……永遠の…………苦しみを…………!」
その代わり、シンディの通信機に雑音混じりながらも、誰かの声が入った。
シンディはすぐに自分のメモリーと照らし合わせる。
最も照合率が高かったのは……。
シンディ:「ジャニス!お前、ジャニスだな!?こんなことをして、タダで済むと思ってるのか!」
ジャニス:「……死ね……死ね……!」
シンディ:「ジャニス!聞いてるの!?」
しかし、ジャニスの通信は切れてしまった。
敷島:「シンディ、今のはジャニスからだったのか?」
シンディ:「ええ。かなり遠くからだったけど……」
敷島:「あいつ、ライフルなんか搭載してたっけ?」
アリス:「確か、他のセキュリティロボットに搭載用のライフルはあったと思うわ。もちろん、ここは日本だから、あくまでも模擬弾しか無いけどね」
敷島:「いや、どう見てもこれは実弾だろう!?」
アリス:「アタシに言われても分かんないよ」
エミリーとシンディには超法規的な理由で、実弾の搭載は認められている。
但し、KR団崩壊後、その数は少ない。
あくまでも、武力を持ったロボットが制御不能になった際の鎮圧用である。
人間に対しては基本的に使わないし、使うにしても、殺傷能力の無い模擬弾のみと定められている。
シンディ:「あー、マリオとルイージ、聞こえる?」
シンディは何故かバージョン5.0兄弟と通信した。
マリオ:「ハハッ!コチラ、シンディ様ノ信任厚キ、マリオデアリマス!」
シンディ:「厚い信任をした覚えは無いけどね。それよりアンタ達も、実弾入りのライフルを搭載してるでしょ?」
マリオ:「ハイ」
シンディ:「……弾の数は合ってる?」
マリオ:「ア、今ハ実弾ハ装填シテイマセン」
シンディ:「なに?それはジャニスとルディを撃つのに全部使ったってオチ?」
マリオ:「イイエ。保管シテイタ弾薬ヲ、奴ラニ盗ラレマシタ」
シンディ:「……本気で言ってるの?」
マリオ:「バージョンシリーズノ中デ、シンディ様ニ嘘ヲ付ケル奴ハイマセン」
シンディ:「それもそうね。……って、このドアホ!テメェらがあっさり実弾盗られたりしたから、また人間の死人が2人も出ただろうがぁっ!この役立たず!!」
敷島:「いや、シンディ、この人達まだ死んでないから」
社員A:「ぁうう……」
社員B:「勝手に……殺さないで………くれ………」
警察官:「動かないで!もうすぐ救急車来るからね!」
駅前は大惨事と化していた。
歳を取ったら、俺もシンディに介護されたい……。
シンディ:「ん?」
敷島:「どうした、シンディ?」
シンディ:「いえ……。何か、作者のつぶやきが聞こえたような気がして……」
敷島:「無線通信が混線でもしたのか?まあ、ここはJR線と西武線が交差する所だからな」
アリス:「鉄道無線は周波数が全く違うから混線なんかしないし、そもそも何で作者の声が鉄道無線で流れて来るのよ?」
敷島:「鉄道であった怖い話の正体は、大抵こういうものだったりするんだよな」
アリス:「……シンディ、タカオに一発電流お願い」
シンディ:「かしこまりました」
敷島:「おいっ!」
〔「まもなく東飯能、東飯能です。お出口は、右側です。西武池袋線は、お乗り換えです」〕
電車が駅のホームに入る。
普段から4両編成の電車が走る所はJRも西武も同じだが、時折7両編成の特急“レッドアロー”や4両編成を2台繋いだ8両編成が走ることもある西武線の方が乗客数は多いか?
もっとも、レッドアローは東飯能駅には停車しないのだが……。
ポロロロン♪(205系のドアチャイム)
敷島:「この駅でDCJの人達が出迎えてくれることになっているはずだ」
敷島達、電車を降りると足早に改札口に向かう。
が、
アリス:「ちょっと待って」
敷島:「何だ?」
アリス:「ちょっとトイレ」
敷島:「だーっ!」
改札口の外にはトイレが無い為、アリスは改札口に近いトイレに寄って行った(但し、駅前に公衆トイレはある)。
敷島:「外ではDCJの人達が待っているってのに……。まあいいか。シンディ、お前はアリスについててやってくれ」
シンディ:「いいけど、社長は?」
敷島:「俺は先にDCJの人達と挨拶してくる。電車が時間通りに着いたってのに、なかなか駅から出て来ないんじゃ怪しまれるだろう」
シンディ:「なるほどね。じゃ、私はマスターについてるわ」
敷島:「ああ、頼むぞ」
敷島、先に改札口を出て行く。
改札口の外には既にDCJの社員達がいて、敷島が挨拶していた。
社員A:「こんな朝早くから申し訳ありません」
社員B:「敷島エージェンシーの敷島社長にまでご足労頂けるとは……」
敷島:「いえいえ。デイライトさんには、うちのボカロの整備をお願いしてて、それでお世話になってますから」
社員B:「アリス主任は……?」
敷島:「ああ。あいつ今、トイレに行ってるんです。もう少し待って頂けますか?」
社員A:「構いませんよ。慌てて行ったところで、何も状況は変わらないと思いますので」
敷島:「そんなに事態は深刻なんですか?」
社員B:「今の研究所には、誰も近寄れない状態です」
敷島:「そんなに!?……えっ?てか、奴等、まだ実は所内に立て籠もっている状態!?」
社員A:「ああ、いや。そういうわけではなくて、流血の惨が起きたことで、警察関係者以外は入れないという意味です」
敷島:「なるほど。ああ、そうそう。そんなことがあったのに不謹慎なんですけど、アリスのヤツ、トイレの後は何か食いたがるんです。あそこのコンビニに行ってきていいですか?」
社員A:「ええ、どうぞ。私達は車で待っています」
敷島が足を駅前のコンビニに向けようとした時だった。
敷島の背後から、銃声の音がした。
それも拳銃ではなく、シンディが搭載しているようなライフルの音。
敷島:「!!!」
敷島はそれまでの経験から、スーツが汚れるのも気にせず、その場に転がった。
ライフル弾は3発放たれた。
社員A:「ぐわっ!」
社員B:「ぎゃあっ!」
敷島は咄嗟に転がったことで、被弾は免れた。
だが、不慣れな社員2人は被弾してしまった。
敷島:「くそっ!」
シンディ:「社長!」
シンディが叫ぶのと再び銃弾が発砲されたのは同時だった。
シンディが敷島の前に立ちはだかり、ライフル弾がシンディの左わき腹に被弾したが、もちろん頑丈なマルチタイプのこと、それだけでは大したダメージにはならない。
敷島:「警察だ!警察を呼べ!!」
シンディはすぐに銃弾が飛んできた方向をスキャンしたが、既に狙撃者は去った後なのか、スキャンに引っ掛からなかった。
???:「復讐……復讐……!全ての……人間に……死を……!そして……永遠の…………苦しみを…………!」
その代わり、シンディの通信機に雑音混じりながらも、誰かの声が入った。
シンディはすぐに自分のメモリーと照らし合わせる。
最も照合率が高かったのは……。
シンディ:「ジャニス!お前、ジャニスだな!?こんなことをして、タダで済むと思ってるのか!」
ジャニス:「……死ね……死ね……!」
シンディ:「ジャニス!聞いてるの!?」
しかし、ジャニスの通信は切れてしまった。
敷島:「シンディ、今のはジャニスからだったのか?」
シンディ:「ええ。かなり遠くからだったけど……」
敷島:「あいつ、ライフルなんか搭載してたっけ?」
アリス:「確か、他のセキュリティロボットに搭載用のライフルはあったと思うわ。もちろん、ここは日本だから、あくまでも模擬弾しか無いけどね」
敷島:「いや、どう見てもこれは実弾だろう!?」
アリス:「アタシに言われても分かんないよ」
エミリーとシンディには超法規的な理由で、実弾の搭載は認められている。
但し、KR団崩壊後、その数は少ない。
あくまでも、武力を持ったロボットが制御不能になった際の鎮圧用である。
人間に対しては基本的に使わないし、使うにしても、殺傷能力の無い模擬弾のみと定められている。
シンディ:「あー、マリオとルイージ、聞こえる?」
シンディは何故かバージョン5.0兄弟と通信した。
マリオ:「ハハッ!コチラ、シンディ様ノ信任厚キ、マリオデアリマス!」
シンディ:「厚い信任をした覚えは無いけどね。それよりアンタ達も、実弾入りのライフルを搭載してるでしょ?」
マリオ:「ハイ」
シンディ:「……弾の数は合ってる?」
マリオ:「ア、今ハ実弾ハ装填シテイマセン」
シンディ:「なに?それはジャニスとルディを撃つのに全部使ったってオチ?」
マリオ:「イイエ。保管シテイタ弾薬ヲ、奴ラニ盗ラレマシタ」
シンディ:「……本気で言ってるの?」
マリオ:「バージョンシリーズノ中デ、シンディ様ニ嘘ヲ付ケル奴ハイマセン」
シンディ:「それもそうね。……って、このドアホ!テメェらがあっさり実弾盗られたりしたから、また人間の死人が2人も出ただろうがぁっ!この役立たず!!」
敷島:「いや、シンディ、この人達まだ死んでないから」
社員A:「ぁうう……」
社員B:「勝手に……殺さないで………くれ………」
警察官:「動かないで!もうすぐ救急車来るからね!」
駅前は大惨事と化していた。