[7月25日08:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 稲生家 稲生勇太&マリアンナ・ベルフェ・スカーレット]
稲生とマリアはダイニングで朝食を取っていた。
「それじゃ、父さんは行ってくるからな」
「行ってらっしゃい」
一緒に朝食を取っていた父親の宗一郎が、先に席を立つ。
「マリアンナさん」
「は、はい!」
「ゆっくりしていってください」
「あ……ありがとうございます」
父親はそれだけ言うと、ダイニングをあとにした。
「あー、そうそう。悟郎君が来たら、『ゆっくりしていってくれ』と伝えてくれ」
「悟郎君って……従兄の?こっちに来るの!?」
「ああ。ディズニーランドの帰りに寄るってさ」
「1人で?」
「いや、お前みたいに彼女ができて、その彼女と一緒らしい」
「へえ、悟郎兄さんもやるねぇ……。一体、どういう人なんだろう?」
稲生は右手を顎にやってニヤニヤしていたが、何故かマリアの方は顔を赤らめて俯いていた。
(私とユウタの関係、お父様から公認……!\(^o^)/)
「何でもマリアンナさんと同じ、外国人らしいぞ?」
「え、そうなの?彼女さんが日本に来てた所で知り合ったのかな?」
「いや、悟郎君がむしろ外国に行ってた所で知り合ったらしいぞ」
「悟郎兄さん、外国に行くって感じじゃないのになぁ……」
「おっと!早く行かないと!……そういうわけだから多分、今夜来るだろう。泊まる所が無いっていうから、今夜だけここに泊まらせることにした。まあ、仲良くやってくれ」
「うん、分かった」
宗一郎は足早に玄関から外に出ると、待たせていた役員車に乗り込んで行ってしまった。
「英語が通じる人だといいですねぇ……」
「まあ、いざとなったら、私が魔法で翻訳するよ。私も素で喋れるのは英語と……」
マリアは自動翻訳の魔法を解除した。
「日本語ガ少シ……ネ?」
「だいぶ上手くなったと思いますよ」
「ありがとう。師匠のロシア語は相変わらずムリ」
「ダンテ一門の魔道師の半分以上がロシア圏出身なのに、公用語が英語に限定されている理由って一体……?」
「大師匠様がロシア語話せないからじゃない?」
「そんな簡単な理由!?」
[同日10:00.天候:晴 埼玉県さいたま市 さいたま新都心コクーン・シネマコンプレックス]
稲生とマリアはコクーンの中にある映画館で、2人して映画を観ることにした。
「“私立探偵 愛原学”これが面白いみたいなんですよ」
「ホラーアクションか。確かに涼しくなりそうだな」
「でしょ?」
「意外とユウタは、こういう怖い話とか好きなの?」
「いや、実はそうでもなかったりします」
「え?」
「魔女さん自体が怖いので、こういうので少し慣らそうと……」
「ああ、なるほど。方向性は少し違うと思うけど、まあ気持ちは買うよ」
「ありがとうございます。じゃ、まだ少し時間あると思うんで、僕はポップコーンと飲み物でも買ってきます」
「ああ。私も何か買ってこよう」
稲生とマリアは一旦、ロビーで別れた。
「それではダブルコンボのコカコーラ・ゼロ2つですね?」
「はい」
「少々お待ちください」
稲生はポップコーンと飲み物を2つ買った。
待っている間に、これから見ようとする映画の予告編が近くのモニタで流れ始める。
(お、これから見るヤツだ……)
夜のレストランで食事をしている主人公達の所に、1人のゾンビが迷い込んで来るシーンが映し出されていた。
(いや、今観るのはやめておこう。予告編とか何の予備知識も無い状態で、真っ新な状態で観るのが制作者に対する礼儀だ)
「お待たせしましたー。ありがとうございましたー」
「どうもです」
稲生はモニタから目を反らして、なるべく予告編を見ないようにした。
そして、注文していたポップコーンと飲み物を受け取る。
と、そこへ、マリアが鼻息荒くして戻ってきた。
「ユウタ、見て!予告編見てたら、面白そうだったから、パンフレット買っちゃった!」
「この外道ッ!!」
稲生はパンフレットをガン開きにしながらやってくるマリアの手を叩いた。
「ひぃッ!?」
稲生の久しぶりに見る形相に驚愕するマリア。
「……あ。あ、いや、その……アレですよ。ほら……外道って、仏教以外を指す言葉ですから。僕は仏教徒ですけど、マリアさんは違うじゃないですか。だから、そういう意味で……ね?」
「いや、今絶対違うニュアンスに聞こえたぞ!?」
「ってかマリアさん、パンフレット先に買っちゃうなんて……。それなんて、ネタバレの宝庫じゃないですか。そんなもの買うなんて……」
「ああ、いや。私はネタバレは全然気にしないんだ。むしろネタバレされた方が、少し違う視点で観れて面白い」
「はあ……。(あ、そういえばこの人、前にも金曜ロードショーの結末を先に占ってたナ……)」
「ユウタはネタバレ嫌いなのか?」
「ええ、まあ……」
「日蓮正宗の経典は、宗祖の教え全集だったか」
「日蓮大聖人の御書です」
「あれは未来のネタバレは書いてないのか?」
「書いてないですよ。何故ですか?」
「稲生がカトリックの人間だったら、今すぐ辞めさせていたところだ」
「えっ?」
「旧約聖書は未来のネタバレのオンパレードだから、ユウタみたいな考えの人間は読むのやめた方がいいぞ」
「確かに。終末の予想がガンガン書かれるんでしたっけ?」
[同日11:32.シネコン内 稲生&マリア]
〔「ナンミョオオオオオッ!ホォォォォォォォォレェェェェェェェェェェン!ゲェェェェェェェェェキョォォォォォォォォォォォ!!」「こ、この化け物、もしかして、浅井主管か!?」「先生、危ないっ!」〕
「ユウタ、どう見ても大石寺にしか見えないのだが……?あそこで撮影したのか?」
「マリアさん、シッ!」
「……悪い。今、いい所なんだよな」
「いや……。作者が『バカタレが!謗法者が!』『勝手に大石寺で撮影すんな!』と、武闘派さん達から放火されます」
「そっちか……」
大本堂の大ボス、サスペンデッドが『妖怪、逆さ女』と称されている件w
[同日12:53.同場所 稲生&マリア]
トラックで最終ステージである秘密の研究所を主人公達が脱出したところで、映画はエンディングを迎えた。
「あー、冷や汗かいた……」
稲生は大きく手足を伸ばした。
スクリーンにエンドロールが流れる。
そこに『(勝手に)撮影協力:日蓮正宗大石寺』と……。
「……ユウタ、今何か(作者にとって)ヤバい物が映ったような気がするんだが……」
「気にしたら負けですよ、マリアさん」
「そ、そうか?」
エンドロールも流れ終わって場内が明るくなり、稲生達はシネコンをあとにした。
「何だかんだ言って、お昼になっちゃいましたね。どうしますか?」
「ここで買い物もできるだろうけど、今度はイオンに行きたい」
「あ、なるほど。じゃあ、そうしますか。さいたま新都心駅からバスで行けるはずなんで」
「うん」
2人はさいたま新都心駅に向かった。
稲生とマリアはダイニングで朝食を取っていた。
「それじゃ、父さんは行ってくるからな」
「行ってらっしゃい」
一緒に朝食を取っていた父親の宗一郎が、先に席を立つ。
「マリアンナさん」
「は、はい!」
「ゆっくりしていってください」
「あ……ありがとうございます」
父親はそれだけ言うと、ダイニングをあとにした。
「あー、そうそう。悟郎君が来たら、『ゆっくりしていってくれ』と伝えてくれ」
「悟郎君って……従兄の?こっちに来るの!?」
「ああ。ディズニーランドの帰りに寄るってさ」
「1人で?」
「いや、お前みたいに彼女ができて、その彼女と一緒らしい」
「へえ、悟郎兄さんもやるねぇ……。一体、どういう人なんだろう?」
稲生は右手を顎にやってニヤニヤしていたが、何故かマリアの方は顔を赤らめて俯いていた。
(私とユウタの関係、お父様から公認……!\(^o^)/)
「何でもマリアンナさんと同じ、外国人らしいぞ?」
「え、そうなの?彼女さんが日本に来てた所で知り合ったのかな?」
「いや、悟郎君がむしろ外国に行ってた所で知り合ったらしいぞ」
「悟郎兄さん、外国に行くって感じじゃないのになぁ……」
「おっと!早く行かないと!……そういうわけだから多分、今夜来るだろう。泊まる所が無いっていうから、今夜だけここに泊まらせることにした。まあ、仲良くやってくれ」
「うん、分かった」
宗一郎は足早に玄関から外に出ると、待たせていた役員車に乗り込んで行ってしまった。
「英語が通じる人だといいですねぇ……」
「まあ、いざとなったら、私が魔法で翻訳するよ。私も素で喋れるのは英語と……」
マリアは自動翻訳の魔法を解除した。
「日本語ガ少シ……ネ?」
「だいぶ上手くなったと思いますよ」
「ありがとう。師匠のロシア語は相変わらずムリ」
「ダンテ一門の魔道師の半分以上がロシア圏出身なのに、公用語が英語に限定されている理由って一体……?」
「大師匠様がロシア語話せないからじゃない?」
「そんな簡単な理由!?」
[同日10:00.天候:晴 埼玉県さいたま市 さいたま新都心コクーン・シネマコンプレックス]
稲生とマリアはコクーンの中にある映画館で、2人して映画を観ることにした。
「“私立探偵 愛原学”これが面白いみたいなんですよ」
「ホラーアクションか。確かに涼しくなりそうだな」
「でしょ?」
「意外とユウタは、こういう怖い話とか好きなの?」
「いや、実はそうでもなかったりします」
「え?」
「魔女さん自体が怖いので、こういうので少し慣らそうと……」
「ああ、なるほど。方向性は少し違うと思うけど、まあ気持ちは買うよ」
「ありがとうございます。じゃ、まだ少し時間あると思うんで、僕はポップコーンと飲み物でも買ってきます」
「ああ。私も何か買ってこよう」
稲生とマリアは一旦、ロビーで別れた。
「それではダブルコンボのコカコーラ・ゼロ2つですね?」
「はい」
「少々お待ちください」
稲生はポップコーンと飲み物を2つ買った。
待っている間に、これから見ようとする映画の予告編が近くのモニタで流れ始める。
(お、これから見るヤツだ……)
夜のレストランで食事をしている主人公達の所に、1人のゾンビが迷い込んで来るシーンが映し出されていた。
(いや、今観るのはやめておこう。予告編とか何の予備知識も無い状態で、真っ新な状態で観るのが制作者に対する礼儀だ)
「お待たせしましたー。ありがとうございましたー」
「どうもです」
稲生はモニタから目を反らして、なるべく予告編を見ないようにした。
そして、注文していたポップコーンと飲み物を受け取る。
と、そこへ、マリアが鼻息荒くして戻ってきた。
「ユウタ、見て!予告編見てたら、面白そうだったから、パンフレット買っちゃった!」
「この外道ッ!!」
稲生はパンフレットをガン開きにしながらやってくるマリアの手を叩いた。
「ひぃッ!?」
稲生の久しぶりに見る形相に驚愕するマリア。
「……あ。あ、いや、その……アレですよ。ほら……外道って、仏教以外を指す言葉ですから。僕は仏教徒ですけど、マリアさんは違うじゃないですか。だから、そういう意味で……ね?」
「いや、今絶対違うニュアンスに聞こえたぞ!?」
「ってかマリアさん、パンフレット先に買っちゃうなんて……。それなんて、ネタバレの宝庫じゃないですか。そんなもの買うなんて……」
「ああ、いや。私はネタバレは全然気にしないんだ。むしろネタバレされた方が、少し違う視点で観れて面白い」
「はあ……。(あ、そういえばこの人、前にも金曜ロードショーの結末を先に占ってたナ……)」
「ユウタはネタバレ嫌いなのか?」
「ええ、まあ……」
「日蓮正宗の経典は、宗祖の教え全集だったか」
「日蓮大聖人の御書です」
「あれは未来のネタバレは書いてないのか?」
「書いてないですよ。何故ですか?」
「稲生がカトリックの人間だったら、今すぐ辞めさせていたところだ」
「えっ?」
「旧約聖書は未来のネタバレのオンパレードだから、ユウタみたいな考えの人間は読むのやめた方がいいぞ」
「確かに。終末の予想がガンガン書かれるんでしたっけ?」
[同日11:32.シネコン内 稲生&マリア]
〔「ナンミョオオオオオッ!ホォォォォォォォォレェェェェェェェェェェン!ゲェェェェェェェェェキョォォォォォォォォォォォ!!」「こ、この化け物、もしかして、浅井主管か!?」「先生、危ないっ!」〕
「ユウタ、どう見ても大石寺にしか見えないのだが……?あそこで撮影したのか?」
「マリアさん、シッ!」
「……悪い。今、いい所なんだよな」
「いや……。作者が『バカタレが!謗法者が!』『勝手に大石寺で撮影すんな!』と、武闘派さん達から放火されます」
「そっちか……」
大本堂の大ボス、サスペンデッドが『妖怪、逆さ女』と称されている件w
[同日12:53.同場所 稲生&マリア]
トラックで最終ステージである秘密の研究所を主人公達が脱出したところで、映画はエンディングを迎えた。
「あー、冷や汗かいた……」
稲生は大きく手足を伸ばした。
スクリーンにエンドロールが流れる。
そこに『(勝手に)撮影協力:日蓮正宗大石寺』と……。
「……ユウタ、今何か(作者にとって)ヤバい物が映ったような気がするんだが……」
「気にしたら負けですよ、マリアさん」
「そ、そうか?」
エンドロールも流れ終わって場内が明るくなり、稲生達はシネコンをあとにした。
「何だかんだ言って、お昼になっちゃいましたね。どうしますか?」
「ここで買い物もできるだろうけど、今度はイオンに行きたい」
「あ、なるほど。じゃあ、そうしますか。さいたま新都心駅からバスで行けるはずなんで」
「うん」
2人はさいたま新都心駅に向かった。