報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「一夜明けて」

2017-11-13 20:53:13 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[11月4日06:00.天候:晴 静岡県富士宮市ひばりヶ丘 スーパーホテル富士宮3F客室]

 枕元に置いた稲生のスマホがアラームを鳴らす。
 今度は大宮駅6番線(高崎線からの上野東京ラインまたは湘南新宿ライン方面)と8番線(上野東京ラインからの高崎線下り)の発車メロディだ。

 稲生:「うーん……」

 稲生は手を伸ばしてアラームを止めた。

 稲生:「作者の説明じゃ、知らない人は何て言ってるんだか分かんないよ……」

 稲生は眠い目を擦りながらベッドから出た。

 稲生:(マリアさんは大丈夫だろうか……?)

 稲生はバスルームに行き、顔を洗いに行った。
 その後で着替えて縦引きカーテンを開ける。
 まるで最近の鉄道車両のブラインドみたいだ。

 
(客室からの眺め。9月に撮影したものなので、まだ富士山には雪が積もっていない)

 稲生:(大石寺の方向は向こうだな)

 埼玉に実家があると、ついつい富士山の方向を向いて勤行をしがちだが、今回は富士山から目を逸らす程度の所が大石寺の位置だ。
 大抵は実質的に富士山に向かって勤行をする形になるのに、そこから目を離して勤行をする形になる場所というと、実はそんなに無い。
 大石寺とほぼ同じ経度線上に位置していないと無いのではないか。
 もっとも、初座の勤行では東を向いて行うわけだし、そもそも大石寺境内で行う分にはそんな話ではない。

 
(稲生が宿泊した部屋。この角度だと大石寺の方向である)

 勤行が終わると、稲生は隣の部屋に通じるドアをノックした。

 稲生:「イリーナ先生、マリアさん。入りますよ?」

 稲生はそっとドアを開けた。
 こちらはまだカーテンは開いていない。

 イリーナ:「んん……?もう朝かね……?」
 稲生:「あっ、すいません!」
 イリーナ:「いや、いいよいいよ……」

 イリーナは2段ベッドの上段から上半身を起こしてきた。
 結局、上段に寝たようだ。
 ところが、マリアがいない。

 稲生:「イリーナ先生、おはようございます」
 イリーナ:「んにゃ、おはよ〜……」

 イリーナがベッドから出ようとすると、浴衣がはだけているのが分かった。
 稲生は慌てて目を逸らす。

 イリーナ:「ん……?あー、いいよ。気にしなくて……」
 稲生:「いや、気になります!」

 この時、稲生は思った。
 今でこそ魔道師ならではのドレスコートを着用し、ローブを羽織っているからいいのだが、もしこれがラフな格好……タンクトップにホットパンツ姿になったとしたら、完璧な痴女に見えるだろうと。

 イリーナ:「バスルームから音がするね。シャワーでも浴びてるんじゃない?」
 稲生:「! そうですか……」

 マリアが寝ていた下段ベッドには、ブラウスやらスカートやらが無造作に置かれていた。
 因みに浴衣は、ライティングデスクの椅子に掛けてある。
 昨日はブラウスを着たまま寝てしまったようだ。

 イリーナ:「もう少し待ってみたら?マリアが真っ裸で出てくるかもよ?」( ̄ー ̄)
 稲生:「後が怖いのでいいです」
 イリーナ:「そんなに気にすることでもないと思うけどぉ……」
 稲生:「そりゃ先生は実質的に1000年以上生きておいでですからっ。とにかく、一旦僕は部屋に戻ります。後で朝食食べに行きましょう」
 イリーナ:「りょーかい」

 稲生は再びコネクトドアを通って、自分の部屋に戻った。
 と、その直後に、バスルームのドアが少しだけ開けられた。

 イリーナ:「どーしたの?」
 マリア:「あの……ユウタは出て行きました?」
 イリーナ:「うん。何なら呼ぶ?」( ̄▽ ̄)
 マリア:「ちょっと待ってください!」Σ( ̄□ ̄|||)

 マリアはバスタオル1枚だけ羽織った姿で出てくると、急いで自分の荷物の中から下着や着替えを取り出した。

 イリーナ:「やれやれ……。日が暮れちまうよ」┐(´д`)┌
 マリア:「まだ朝ですよ」
 イリーナ:「いや、そういう意味じゃなくってねぇ……」(´Д`)

[同日07:30.天候:晴 同ホテル1F]

 ようやく朝食会場に向かう3人。

 稲生:「マリアさん、本当に具合大丈夫ですか?」
 マリア:「ああ、何とか。ユウタの薬飲んで、一晩寝たら治った」
 稲生:「そうですか。良かった。飲み過ぎには注意してくださいね」
 マリア:「そうだな」
 稲生:「ですよね?先生?」
 イリーナ:「えっ?あ、うん……そだね」

 何故かイリーナは違うといった表情を見せていた。
 エレベーターが1階に着いて、朝食会場に向かう。

 スタッフ:「おはようございます」
 稲生:「おはようございます」
 イリーナ:「Доброе утро.」
 マリア:「Good morning.」
 稲生:「お2人とも、自動翻訳魔法切れてます」
 イリーナ:「ありゃ、また?」
 マリア:「早いとこ水晶球を新調しませんと」
 イリーナ:「昨日、注文したからね。もう少し掛かるよ」
 稲生:「あ、昨日はそういうこともされていたんですか」
 イリーナ:「そう。……ここのレストランは食べ放題なの?」
 稲生:「そうです」

 するとイリーナ、ヒョイヒョイと皿に朝食を取って山盛りにする。

 マリア:「ユウタ、このヌードルは何?」
 稲生:「それは『富士宮やきそば』ですね」

 ここでは稲生、ご飯と味噌汁にする。
 ふりかけが付いているのだが、味噌汁は……。

 稲生:(まるで吉野家か松屋の店員だな……)

 吉野家や松屋で味噌汁を頼むと、どういう風に出てくるか見てみよう。

 稲生:「先生、そんなに食べますか?」
 イリーナ:「もち」

 稲生は感心した様子で、マリアは呆れた様子で4人用のテーブルに座った。

 イリーナ:「うん、美味しい。やっぱり日本は食べ物が美味しいわね。ナスターシャ達まで居付く理由が分かるわ」
 稲生:(エレーナがホテルで住み込みのバイトをしているのも、ただ単に調査とか修行目的だけじゃないんだろうなぁ……)

 マリアの体からは微かにローズの匂いがした。

 稲生:「もしかしてマリアさん、あの入浴剤使いました?」
 マリア:「使った使った。あれ、なかなか良かったよ」
 稲生:「ローズの匂いがしたので、もしかしたらと思ったんです」

 どういうことかというと、フロントの前に女性向けのアメニティグッズが無料配布されている。
 横田の逮捕劇を見届けた稲生は、部屋に戻る前にそれに気づき、適当に見繕って持って来たのだ。
 そして、その中にローズの香りの入浴剤も入っていたのである。
 尚、作者が調査した限りではほぼ女性向けであるが、別に男性客が持ち出しても良いとのこと。

 稲生:「いい匂いですよ」
 マリア:「そ、そう……?ありがと……」
 イリーナ:(若いっていいわぁ……)

 イリーナはスープを口に運びながらウンウンと頷いた。
コメント (3)
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