[11月5日11:50.天候:晴 宮城県仙台市宮城野区 ミヤコーバス鶴巻バス停→コロナワールド仙台・大江戸温泉物語]
バスが最寄りのバス停に止まる。
県道23号線上にあるバス停だ。
片側3車線の幹線道路で、上空には仙台東部道路という名の高速道路まで通っている。
この県道、路線名を仙台塩釜線という何とも味気無い名前であるのだが、地元民には別の名前を言った方が通用する。
産業道路と。
同じ通称の道路が埼玉県にもあり、何を隠そう顕正会本部会館入口の県道がそうなのだが、大幹線道路としての宮城県道を知っている身としては、埼玉県の産業道路が小規模に見えてしょうがない。
もちろん、片側1車線しか無いとはいえ、交通量は多く、密度的にはほぼ同じである。
因みに路線バスの本数に関しては、埼玉県の方が軍配が上がる。
とはいえ、さすがの埼玉県も顕正本部横の道路で産業道路と名乗るのはさすがにショボいと思ったか、そこから更に東の方に“第二産業道路”を整備しており、そちらは線形も道幅も申し分ないものとなっている。
稲生:「埼玉県の産業道路のいい所は、人口密度の高い所を通る為に、風の吹き通りが悪いということであります。ここは場合によっては荒れ地の横を通るもんだから、やけに風の通りがいいんです。まあ、何が言いたいかって言うと……」
マリア:「ユウタ。ラッキースケベというのは、狙ってやるものなのか?ああ?」
稲生:「風が強い日がやたら多いということです」
マリア、スカートの裾を押さえている。
イリーナ:「まあまあ。早いとこ行こうよ。これ、冬だったら吹雪になるってこと?」
稲生:「仙台市東部は雪が少ないんですが、場合によってはそうなります」
3人の魔道師達はバスを降りて、目的の場所に向かった。
マリア:「寒い寒い……」
稲生:「早いとこ中に入りましょう」
イリーナとマリアはローブのフードを被っている。
それでも顔には容赦なく冷たい風が拭き付けるので、それが体感温度を下げていた。
稲生:「はい、到着しました」
イリーナ:「さすがに中は暖かいねぇ……」
マリア:「……ックシュ!」
マリアはまたくしゃみをした。
稲生:「大丈夫ですか、マリアさん?」
マリア:「大丈夫……」
稲生:「はい、ティッシュ」
稲生はマリアにポケットティッシュを渡した。
マリア:「ありがとう」
取りあえずそれで鼻をかむ。
イリーナ:「東海地方、地獄界、東北地方と気候の変化が激しい所を巡ったから、体の具合が心配よね」
稲生:「そっかぁ……」
確かに東海地方というと温暖な気候の地域というイメージがあるが、そうは言っても富士山の近くの富士宮市では、宮城県とそんなに変わらないような気がする。
地獄界が問題だ。
八大地獄は八熱地獄とも称される熱帯地域であるからだ。
閻魔庁などは温度管理されているせいか、そこまで暑くはなかったが、それでも常春の都アルカディアと比べれば暑い。
稲生:「まあ、今日は寒波が来て木枯らしも吹く日で、特に寒いらしいです。いつもは、ここまで寒くないので……」
イリーナ:「取りあえず早く、温泉に入らないとマリアが本当に風邪を引いちゃうから早く行こう」
稲生:「はい」
稲生達はコロナワールド仙台の中にある大江戸温泉物語に入った。
稲生:「先生のブーツは……」
イリーナ:「大丈夫だよ」
稲生:「あ、そうでしたね」
ここも先に靴を脱いで専用の靴箱に入れる方式なのだが、ロングブーツが入らないというもの。
魔法具でもあるイリーナのブーツは、靴箱に入る大きさに収縮させる。
稲生:「便利ですねぇ……」
イリーナ:「何の何の」
魔法で若作りしているとはいえ、本来は老魔女であるイリーナがさくさく歩けるのは、そのブーツのおかげではないかと稲生は見ている。
その後、券売機で入浴券などを買い求める。
稲生:「じゃ、またここでお別れですね」
イリーナ:「ういっス。あ、横田が来たらね、湯の中に沈めといてね」
稲生:「ええ〜?確かに僕もあの理事は、いつの間にか娑婆に出ているとは思いますけど、さすがに早くないですか?」
イリーナ:「ケンショーレンジャーをナメてはダメよ」
稲生:「そうですか?」
イリーナ:「“魔の者”が何故かあいつらを狙わなかったというのはあるからね」
稲生:(アホ集団はさすがに“魔の者”も敬遠したってことか?)
稲生は脱衣所に入った。
稲生:(お、そうだ。今日はダイレクトに露天風呂行っちゃおうかな)
いつもは内湯に入ってから露天風呂に行く稲生だが、ふとそんなことを考えた。
もちろん、ちゃんと体は洗ってから向かう。
稲生:「あー、やっぱり大宮や富士宮のとは泉質が違うなぁ……」
中央にある岩風呂にザブザブと入って行く。
稲生:「ふう……」
温度もちょうどいい。
露天風呂には入口の上に、大きなテレビモニターがあって、ニュースをやっていた。
〔「……某有名侍マンガの原作者が児童ポルノ法で書類送検された事件を受けて、各界に破門が広がっています。名誉監督、多摩準急氏におきましては、姪のパンチラ写真並びにスク水写真の撮影及び写真の単純所持が警察の捜査対象になるのではないかとの噂が……」〕
稲生:「ううっ!でも上がると、風が冷たい……」
〔「次のニュースです。一昨日夜、静岡県富士宮市のビジネスホテルで、盗撮の容疑で逮捕された男が脱走する騒ぎが起きました」〕
稲生:「んっ!?」
〔「脱走したのは横田高明容疑者です。横田容疑者は一昨日の昼間、静岡県富士宮市内にあります日蓮正宗大石寺境内において、女性参拝客のスカートの中を盗撮したり、女性トイレに忍び込み、使用済みの生理用品を盗んだ疑いで逮捕されたものです。調べに対し、横田容疑者は容疑を否認しておりましたが、留置場の床に何らかの方法で穴を開け、そこから脱走しているのが見つかりました。静岡県警富士宮警察署では、横田容疑者の行方を全力で……」〕
お湯の中にズッコケる稲生だった。
〔「……尚、埼玉県さいたま市にあります宗教法人顕正会では、『そのような人物は一切在籍していない』とコメントしています」〕
稲生:「最初からいなかったことにされてるぅ〜!!」
バスが最寄りのバス停に止まる。
県道23号線上にあるバス停だ。
片側3車線の幹線道路で、上空には仙台東部道路という名の高速道路まで通っている。
この県道、路線名を仙台塩釜線という何とも味気無い名前であるのだが、地元民には別の名前を言った方が通用する。
産業道路と。
同じ通称の道路が埼玉県にもあり、何を隠そう顕正会本部会館入口の県道がそうなのだが、大幹線道路としての宮城県道を知っている身としては、埼玉県の産業道路が小規模に見えてしょうがない。
もちろん、片側1車線しか無いとはいえ、交通量は多く、密度的にはほぼ同じである。
因みに路線バスの本数に関しては、埼玉県の方が軍配が上がる。
とはいえ、さすがの埼玉県も顕正本部横の道路で産業道路と名乗るのはさすがにショボいと思ったか、そこから更に東の方に“第二産業道路”を整備しており、そちらは線形も道幅も申し分ないものとなっている。
稲生:「埼玉県の産業道路のいい所は、人口密度の高い所を通る為に、風の吹き通りが悪いということであります。ここは場合によっては荒れ地の横を通るもんだから、やけに風の通りがいいんです。まあ、何が言いたいかって言うと……」
マリア:「ユウタ。ラッキースケベというのは、狙ってやるものなのか?ああ?」
稲生:「風が強い日がやたら多いということです」
マリア、スカートの裾を押さえている。
イリーナ:「まあまあ。早いとこ行こうよ。これ、冬だったら吹雪になるってこと?」
稲生:「仙台市東部は雪が少ないんですが、場合によってはそうなります」
3人の魔道師達はバスを降りて、目的の場所に向かった。
マリア:「寒い寒い……」
稲生:「早いとこ中に入りましょう」
イリーナとマリアはローブのフードを被っている。
それでも顔には容赦なく冷たい風が拭き付けるので、それが体感温度を下げていた。
稲生:「はい、到着しました」
イリーナ:「さすがに中は暖かいねぇ……」
マリア:「……ックシュ!」
マリアはまたくしゃみをした。
稲生:「大丈夫ですか、マリアさん?」
マリア:「大丈夫……」
稲生:「はい、ティッシュ」
稲生はマリアにポケットティッシュを渡した。
マリア:「ありがとう」
取りあえずそれで鼻をかむ。
イリーナ:「東海地方、地獄界、東北地方と気候の変化が激しい所を巡ったから、体の具合が心配よね」
稲生:「そっかぁ……」
確かに東海地方というと温暖な気候の地域というイメージがあるが、そうは言っても富士山の近くの富士宮市では、宮城県とそんなに変わらないような気がする。
地獄界が問題だ。
八大地獄は八熱地獄とも称される熱帯地域であるからだ。
閻魔庁などは温度管理されているせいか、そこまで暑くはなかったが、それでも常春の都アルカディアと比べれば暑い。
稲生:「まあ、今日は寒波が来て木枯らしも吹く日で、特に寒いらしいです。いつもは、ここまで寒くないので……」
イリーナ:「取りあえず早く、温泉に入らないとマリアが本当に風邪を引いちゃうから早く行こう」
稲生:「はい」
稲生達はコロナワールド仙台の中にある大江戸温泉物語に入った。
稲生:「先生のブーツは……」
イリーナ:「大丈夫だよ」
稲生:「あ、そうでしたね」
ここも先に靴を脱いで専用の靴箱に入れる方式なのだが、ロングブーツが入らないというもの。
魔法具でもあるイリーナのブーツは、靴箱に入る大きさに収縮させる。
稲生:「便利ですねぇ……」
イリーナ:「何の何の」
魔法で若作りしているとはいえ、本来は老魔女であるイリーナがさくさく歩けるのは、そのブーツのおかげではないかと稲生は見ている。
その後、券売機で入浴券などを買い求める。
稲生:「じゃ、またここでお別れですね」
イリーナ:「ういっス。あ、横田が来たらね、湯の中に沈めといてね」
稲生:「ええ〜?確かに僕もあの理事は、いつの間にか娑婆に出ているとは思いますけど、さすがに早くないですか?」
イリーナ:「ケンショーレンジャーをナメてはダメよ」
稲生:「そうですか?」
イリーナ:「“魔の者”が何故かあいつらを狙わなかったというのはあるからね」
稲生:(アホ集団はさすがに“魔の者”も敬遠したってことか?)
稲生は脱衣所に入った。
稲生:(お、そうだ。今日はダイレクトに露天風呂行っちゃおうかな)
いつもは内湯に入ってから露天風呂に行く稲生だが、ふとそんなことを考えた。
もちろん、ちゃんと体は洗ってから向かう。
稲生:「あー、やっぱり大宮や富士宮のとは泉質が違うなぁ……」
中央にある岩風呂にザブザブと入って行く。
稲生:「ふう……」
温度もちょうどいい。
露天風呂には入口の上に、大きなテレビモニターがあって、ニュースをやっていた。
〔「……某有名侍マンガの原作者が児童ポルノ法で書類送検された事件を受けて、各界に破門が広がっています。名誉監督、多摩準急氏におきましては、姪のパンチラ写真並びにスク水写真の撮影及び写真の単純所持が警察の捜査対象になるのではないかとの噂が……」〕
稲生:「ううっ!でも上がると、風が冷たい……」
〔「次のニュースです。一昨日夜、静岡県富士宮市のビジネスホテルで、盗撮の容疑で逮捕された男が脱走する騒ぎが起きました」〕
稲生:「んっ!?」
〔「脱走したのは横田高明容疑者です。横田容疑者は一昨日の昼間、静岡県富士宮市内にあります日蓮正宗大石寺境内において、女性参拝客のスカートの中を盗撮したり、女性トイレに忍び込み、使用済みの生理用品を盗んだ疑いで逮捕されたものです。調べに対し、横田容疑者は容疑を否認しておりましたが、留置場の床に何らかの方法で穴を開け、そこから脱走しているのが見つかりました。静岡県警富士宮警察署では、横田容疑者の行方を全力で……」〕
お湯の中にズッコケる稲生だった。
〔「……尚、埼玉県さいたま市にあります宗教法人顕正会では、『そのような人物は一切在籍していない』とコメントしています」〕
稲生:「最初からいなかったことにされてるぅ〜!!」