報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「正証寺の支部登山」 2

2017-11-10 19:13:56 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[11月3日13:00.天候:晴 大石寺 奉安堂]

 
(報恩坊時代に撮った写真。“あっつぁブログ”が1番楽しかった頃である)

 鈴木:( ゚д゚)ポカーン
 藤谷:「はっはっは!どうしたい?奉安堂の荘厳さに圧倒されたか?」
 鈴木:「すっげー!これがあの愛原学達がサスペンデッドと死闘を繰り広げた所かー!?」
 藤谷:「そこかい!」
 稲生:「鈴木組長、ダメだよ。今は報恩坊の人達も見てるからね。あまりフザけたこと言っちゃ……」

 1番外側の門を通ると、左に曲がる道がある。

 藤谷:「おっと!奉安堂内にトイレは無いから、トイレに行くなら今のうちだぜ?」
 稲生:「そうですね。ちょっと行っておきます」
 鈴木:「じゃあ、俺も」

 稲生と鈴木でトイレに向かう。

 鈴木:「む?このトイレは……?」
 稲生:「何か感じるかい?今の僕には感じないんだけどね、元顕正会員で霊感の強い人は大抵ここのトイレに何かを感じるんだって。鈴木組長は何の気配を感じる?」
 鈴木:「やっぱりだ……!」
 稲生:「そうか。やっぱり何かいるのか。無理も無いな。この奉安堂は正本堂を取り壊した跡地に建てたんだ。学会員の怨念が渦巻いていても不思議は無い。だからこそ、奉安堂での唱題は……何してるの?」
 鈴木:「ここだ!」
 稲生:「え?個室じゃなくて、小便器?」
 鈴木:「ここで愛原が用を足していた時、天井に潜んでいたリッカーに長い舌で肩を叩かれたんだ」
 稲生:「だから映画の話は止めようね。作者が勝手に撮影した廉で叩かれるから」

 絶対に浅井主管が登場した坊舎のモデル、総一坊には連れて行けないと稲生は思った。

 鈴木:「稲生先輩。実は俺、今度のゲームはガンサバイバーものにしようと思っているんです」
 稲生:「コミケに出す弾幕系シューティングゲーム作って、すぐガンサバイバー!?」
 鈴木:「ステージは色々と考えていますが、こういう大きなお寺もいいなと思いました」
 稲生:「参考にするのは勝手だけど、誰が見ても大石寺みたいな造りは止めるんだよ?」

[同日13:30.天候:晴 大石寺 奉安堂内部]

 鈴木:( ゚д゚)ポカーン
 稲生:「いつ来ても、ここが最終目的地って感じでいいですね」
 藤谷:「御戒壇様を拝しに来るわけだからな、当然よ。……おっ、こっちが空いてるってよ」
 鈴木:「あの辺りに、サスペンデッドがぶら下がっていたわけかー」
 稲生:「このターコイズブルーのモケットが旧客のシートみたいでいいですよねー」
 藤谷:「あー、キミ達。この御開扉で、少しはズレた感覚を修正したまえ」

 時間になると僧侶達が集まって来る。
 そして、唱導の僧侶がマイクで唱題を始めるので信徒もそれに倣う。
 世界広しと言えど、信徒まで一緒に読経・唱題する宗派は日蓮正宗以外には無いだろう。

 それから数十分の後……。

 日如上人:「遠ごん各地より支部総登山を始め、(無私以来謗法罪障消滅、息災延命、家内安全などを本門戒壇の大御本尊に法主上人して)懇ろに申し上げました」

 御法主上人の文言は基本的に一言一句変わらない。
 ただ、最初の文に変化があることもある。
 海外信徒が多いと、それに触れることもある。

 唱導僧侶:「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経……」

 唱導僧侶がまたマイクで唱題を始めるので、信徒はまたもそれに倣う。
 その間、登壇していた僧侶達が引き上げる為、それを見送るようにして唱題が続く。

[同日14:30.天候:晴 奉安堂→報恩坊]

 稲生:「いやあ、御開扉の後は清々しくなっていいですね!」
 藤谷:「そうだろそうだろ。鈴木君はどうだった?」
 鈴木:「ええ。顕正会の言っていたことが全て嘘だという事が分かりました」
 藤谷:「そうだろそうだろ」
 鈴木:「本当に……」
 藤谷:「うん?」
 鈴木:「浅井のクソジジィ……ブッ殺す……!」
 藤谷:「だ、ダメだよ、火のような信心は!?水のような信心をね!ほら、布教講演でも言ってたぢゃないか!」
 稲生:「鈴木君。ダンテ一門には呪術を専門に研究している組がいますので、浅井会長を呪殺する術を聞いてこようかと……」
 鈴木:「稲生先輩、是非お願いします!」
 藤谷:「変なコ達、御受誡させちゃったよォ……」((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 尚、顕正会でも禁止されているが、宗門においても呪いの唱題は罪障を積むのでダメ、絶対!

 休憩坊である報恩坊に戻って来る。

 稲生:「ちょっと登山事務所からは離れてるので大変ですが、奉安堂には近くていいですね」
 藤谷:「客殿にも近いから、丑寅勤行に行くのにも楽でいいな。……ん?鈴木はどこ行った?」
 稲生:「トイレですよ。『ここが愛原学と高野芽衣子が出会ったトイレかぁ!』なんて言ってました」
 藤谷:「あいつ、“聖地巡礼”も趣味なんか?」
 稲生:「僕よりもヲタク度が高いですね。コミケにサークル参加してるくらいだから、年末の行事は出れないだろうなぁ……」
 藤谷:「何だ?サークル参加って?」
 稲生:「自分の趣味で作った本やゲームを同好の志に見せたり売ったりすることです」
 藤谷:「なるほどな。俺達はそろそろ帰る準備をするが……」
 稲生:「もう帰るんですか?」
 藤谷:「この3連休で東名も新東名も大渋滞だろ。何時間掛かるか分かんねーからな」
 稲生:「大変ですねぇ……」
 藤谷:「いっそのこと、イリーナ先生に瞬間移動魔法で東京まで飛ばしてくれたら助かるんだが?」
 稲生:「その対価として、金塊の1つや2つは要求してくるかと思います」
 藤谷:「チッ、そいつァ残念だ。稲生君はどうすんだ?」
 稲生:「僕は六壺の勤行に参加してから下山します。先生方にもそう伝えてありますので」
 藤谷:「そうか、分かった。それじゃ、気をつけてな。……おっと、ここの御本尊様に御題目上げてからにするか」
 稲生:「はい!」

 稲生達は本堂に移動して、御本尊に題目三唱した。

 稲生:(時間まで“藤のや”さんでコーヒーでも飲んでるか……)
コメント (2)
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“大魔道師の弟子” 「正証寺の支部登山」 1

2017-11-10 10:25:58 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[11月3日10:55.天候:晴 日蓮正宗大石寺東裏塔中 報恩坊]

 
(この中に正証寺の旗も入っているものと思ってください。え?し、してないよ。隠し撮りなんて……)

 稲生:「やっと着いた……」
 藤谷春人:「おっ、稲生君。遅かったじゃないか」
 稲生:「班長、おはようございます」
 藤谷春人:「さ、早くこっちへ」

 稲生は本堂の前を通って、坊舎の中に入った。

 藤谷秋彦:「ああ、稲生君。ご苦労さん」
 稲生:「地区長!……じゃなかった。登山部長、おはようございます」

 藤谷春人の父親で正証寺登山部長の秋彦。
 “魔の者”北海道戦では、崩壊するヤノフ城からヘリを操縦して稲生達を救助しに来るという活躍を見せた。
 アクション映画ではヘリコプターはよく墜落するものであるが、エンディングでは一切墜落しないというベタな法則があるのだ(ヘリで脱出してエンディングというのが本来のネタ)。

 秋彦:「今日はあの外人さん達はいないのかい?」
 稲生:「新幹線を降りて別行動です」
 秋彦:「そうか。うちはまだそんなにいないが、外国人信徒も徐々に増加してきたからね」
 稲生:「アジア系が多いですね」
 秋彦:「そうなんだ。ま、うちに限らず、どこのお寺でもそうなんだが……。これで稲生君のお知り合いが入ってくれたら……」
 稲生:「初のヨーロッパ人信徒ってことですか」
 秋彦:「それもあるし……」
 ベトナム人信徒:「・・・・・・!・・・・・・・!・・・・・・」
 秋彦:「通訳を頼めるかなと思って。彼女達、日本語ペラペラだし
 稲生:「その通訳さんが彼らを放っておいてどこかに行く方が問題だと思います
 ベトナム人信徒:「・・・・・・・・」
 秋彦:「ちょっと誰か!ベトナムの言葉分かる人いる!?」
 稲生:「はい」
 秋彦:「!?」

 稲生、流暢な英語でベトナム人信徒と言葉を交わす。
 ベトナム人信徒、日本人よりは上手い英語で稲生と言葉を交わす。

 稲生:「やっぱり、通訳の加藤さんがどこかに行ってしまったので、捜しているみたいですね。あの人も放浪癖あるからなぁ……」

 ベトナムの公用語は英語である。

 秋彦:「キミぃ!そんなに英語がペラペラだったとは!キミ、通訳担当頼む!」
 稲生:「いや、ダンテ門内の公用語は英語なんで、そもそも……」
 春人:「親父!早く稲生君の登山参加券、内拝券に替えてやれよ!布教講演間に合わなくなるぞ!」
 秋彦:「おっと、そうだった!」

 稲生、急いで準備して報恩坊を出る。

 稲生:「あの、鈴木君はどうしたんですか?」
 春人:「スーチン大統領なら、あそこで婦人部のオバちゃんの手を引いてる」
 稲生:「また変な渾名付けて、あなたは……」
 鈴木:「あっ、そこ、段差あるから気をつけてくださいね」
 婦人部員:「ありがとう。優しいコだねぇ……」
 鈴木:「こう見えても、顕正会でも似たようことはやってたんで」
 婦人部員:「おやおや、顕正会から御受誡されたの。それはおめでとうございますねぇ……」
 鈴木:「いえいえ。いや、ほんと懐かしいですよ。こうして婦人部員の方と接していると……特盛に3000円で売り付けた住宅用火災警報器を1万円で売り付けていた頃が
 春人:「お前、そんなことやってたんかい!!」

[同日11:20.天候:晴 大石寺 大講堂]

 
(この建物だけは9月に内緒登山した時も全く改修している様子が無い)

 司会僧侶:「……それでは御題目三唱を致します」

 御本尊に向かって題目三唱をする点においては顕正会と変わらない。
 尚、流れとしては『司会僧侶が講師僧侶を紹介する』→『講師僧侶入場の際、拍手で迎える(浅井会長入場と違って伏せ拝をする必要は無い)』→『講師僧侶の自己紹介後、布教講演が始まる。時間はだいたい12時くらいまでが目安になっている』→『講演終了後、皆で題目三唱』→『講師僧侶を拍手で送る』→『解散して各自昼食』という感じである。
 但し、これは作者の記憶に拠っているものなので、もしかしたら勘違いがあるかもしれない。
 また、顕正会では一部会員の間に、『宗門では僧侶が間違ったことを言ったのが記録に残らないよう、録音・撮影・メモが一切厳禁となっている』というデマが流れているが、撮影以外は基本的にOKである。
 恐らく、御開扉の際の規則とごっちゃになっているものと思われる。

[同日12:15.天候:晴 大石寺売店(仲見世商店街)“なかみせ”]

 
(作者イチオシの“なかみせ”のカレー。もちろん食べる人の好みにもよるが、顕正会本部芙蓉茶寮のカレーの更に一歩先を行く!)

 春人:「それでスーさんよ、顕正会でいくら儲けたよ?ああ?」
 稲生:「いきなりブラッキーな話は止めてください」
 鈴木:「総額……」
 稲生:「ここでバラさない!」
 鈴木:「浅井先生の名前を入れるだけでボロ儲けでした」
 春人:「そりゃ良かったな」
 鈴木:「ところで、稲生先輩が使っている数珠なんですけど、まさかそのまま顕正会で使ってたものですか?」
 稲生:「いや、違うよ。似てるけど、ここの売店で買った御開眼済みの物さ。やっぱり使い慣れている物が1番だからね」
 鈴木:「顕正会でも茶色の……木製の数珠を持っていた人がいたけど、あれは一体何だったんでしょう?」
 稲生:「何だったんだろうねぇ……。元学会員が学会で使ってた数珠かな?」
 鈴木:「数珠以外にも御経本の厚さからして違いますね」
 稲生:「顕正会は一座一座だから薄いんだよ。それに対して宗門は五座三座だからどうしても御観念文の所が多くなって、その分厚くなるんだね」
 鈴木:「このアコーディオンみたいな折り畳み式が何とも言えませんねぇ」
 春人:「アコーディオンって……。もしも方便品も全部読誦しろってなったら、もっと分厚くなるぞ」
 鈴木:「そうなんですか?」
 春人:「ああ。何しろ、方便品ってのは全文が如来寿量品よりも長いんだから」
 鈴木:「そうなんですか!」
 春人:「十如是の後に自我偈があって、これが寿量品より長いんだよ。そこに『正直に方便を捨てよ』って書いてあるらしいんだ」
 鈴木:「何でそんな大事な所を読まないんでしょうか?」
 春人:「知らん」
コメント (1)
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