[11月3日08:34.天候:晴 JR新富士駅]
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、新富士です。新富士の次は、静岡に止まります〕
右手の車窓に富士山が見えている。
列車はグングンと速度を落とした。
恐らくATCブレーキによる減速で、運転士の手動によるものではないだろう。
〔「新富士駅でお降りのお客様、ご乗車ありがとうございました。2番線に入ります。お出口は、左側です。停車の際、ポイント通過の為、揺れることがあります。お立ちのお客様、お近くの手すりにお掴まりください」〕
新富士駅は1988年、地元の請願により設置された請願駅である。
駅設置に当たっては地元の自治体が半分ほど出資したということだが、ウィキペディアには「宗教団体による大型寄付もあった」とある。
その宗教団体とは、言わずと知れた日蓮正宗であろう。
中でも創価学会が突出していたと思われるが、当時の創価学会は日蓮正宗の外郭団体だったので、ここでは日蓮正宗とする。
尚、外郭団体とは官公庁から出資・補助金を受けている外部団体のことを本来は指すが、官公庁を宗門に置き換えれば大体辻褄が合うので、作者は外郭団体と呼んでいる。
稲生:「そろそろ到着ですね」
マリア:「師匠、降りますよ」
イリーナ:「うんにゃ……」
列車がポイントを渡って副本線のホームに入る。
〔「ご乗車ありがとうございました。新富士、新富士です。2番線の電車は8時39分発、“こだま”635号、名古屋行きです」〕
列車が着いて1分もしないうちに、後続の通過列車が轟音を立てて通過した。
新富士駅の前後は線形が良い為、通過列車は基本的に最高速度で通過する。
稲生:「ここからバスに乗り換えますけど、どうします?」
イリーナ:「うーん……。アタシ達はここから別行動にしよう」
マリア:「!」
稲生:「そうですか」
マリア:「師匠?」
イリーナ:「どうやらバスは、信徒で一杯になりそうだ。無関係のアタシ達が乗ったら、迷惑だろう」
新富士駅〜大石寺間の登山バスは貸切扱いではない為、運賃さえ払えば一般乗客も乗れる。
イリーナ:「それに、この町でやっておきたいこともあるしね」
稲生:「分かりました。宿泊先は富士宮市内になります。この前の駅前のホテルではありません」
イリーナ:「ああ、分かった。それじゃ夕方、私達も大石寺に行こう。そこから一緒に移動で」
稲生:「分かりました」
駅前で稲生は魔道師の師匠や先輩と別れた。
稲生:(この町でやっておくことって何だろう?)
少なくとも稲生がお呼びで無いことは確かだった。
[同日09:50.天候:晴 新富士駅北口バスプール]
バスプールに入線してきたバスは、普通のノンステップバスだった。
一般の路線バスと兼用の為、ちょっと乗り慣れていないと戸惑うことがある。
通常は中扉から乗って前扉から降りる整理券方式なのだが、大石寺登山バスとなると逆転する(前乗り方式)。
その為、Pasmoなどで乗ろうとすると、中扉の読み取り機に当てて、再び前扉の読取機に当てに行くという面倒なことをやらされる(作者体験談)。
窓口で乗車券購入または現金で乗るのが良さそうだ。
但し、高速バスタイプの車両で来ると乗り口が1つしか無いので、このような面倒なことはない。
どうせ1人だからと、稲生は運転席後ろの1人席に座った。
ノンステップバスのそこはトラックの運転席によじ登るような感じになるので、バリアフリーとは正反対である。
稲生:(まさかここでマリアさん達と別れるとはなぁ……)
稲生はガックリ頭(こうべ)を垂れた。
〔「お待たせ致しました。発車致します」〕
バスはノンステップバスならではグライドドアを閉め、新富士駅前を発車した。
この後、在来線のJR富士駅前に止まる。
稲生:(班長達、もう到着してるかな……)
稲生は自分のスマホを取り出した。
稲生:(確か、鈴木組長がツイッターやってるって言ってたな……)
稲生は鈴木のツイッターを見てみた。
尚、鈴木は元顕正会の組長だった男だが、何故か正証寺に来ても「鈴木組長」と呼ばれることがある。
別に強面でも何でも無く、むしろ痩せ型のオタクなのであるが。
鈴木:『折伏の予定が入って、ニチアサが観れないお』
稲生:(鈴木君!?ニチアサって……!)
鈴木:『婦人部のオバちゃん達、超元気。顕正会の婦人部員とそこは変わらない』
稲生:(だろうねぇ……)
鈴木:『オバちゃん達トイレ近いから、リアル“こだま”だお』
稲生:(あー……。その点、イリーナ先生はずっと寝てるからトイレが近いってことは無いな)
鈴木:『足柄SA到着ーーーーっ!女子トイレ、クソ混んでるみたい。オバちゃん、男子トイレに“街頭折伏”に行くってさw』
稲生:(マジか!?)
鈴木:『大石寺到着!やっぱり顕正会の言ってることはウソだった!』
稲生:(うんうん、そうだろうそうだろう)
鈴木:『三門が近代的なプレハブになっている!!』
ズコーッ!!(座席から転がり落ちる稲生)
運転手:「お、お客さん、大丈夫ですか!?」
稲生:「だ、大丈夫です……。(藤谷班長、ちゃんと教えてあげてー!)」
鈴木:『顕正会では、三門からしてオンボロで今にも朽ち果てる状態だと言っていたのに!』
稲生:(それを防ぐ為の改修工事なんだよなぁ……)
[同日10:40.天候:晴 日蓮正宗大石寺 第二ターミナル]
バスは大石寺のバスターミナルに到着した。
ここでは前後のドアを開けてくれるので、一斉に降りられる。
稲生:「えーと……まずは休憩坊に集合だっけ。場所は……報恩坊か」
稲生はバスターミナルから北に向かい、国道を横断して塔中へと向かった。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、新富士です。新富士の次は、静岡に止まります〕
右手の車窓に富士山が見えている。
列車はグングンと速度を落とした。
恐らくATCブレーキによる減速で、運転士の手動によるものではないだろう。
〔「新富士駅でお降りのお客様、ご乗車ありがとうございました。2番線に入ります。お出口は、左側です。停車の際、ポイント通過の為、揺れることがあります。お立ちのお客様、お近くの手すりにお掴まりください」〕
新富士駅は1988年、地元の請願により設置された請願駅である。
駅設置に当たっては地元の自治体が半分ほど出資したということだが、ウィキペディアには「宗教団体による大型寄付もあった」とある。
その宗教団体とは、言わずと知れた日蓮正宗であろう。
中でも創価学会が突出していたと思われるが、当時の創価学会は日蓮正宗の外郭団体だったので、ここでは日蓮正宗とする。
尚、外郭団体とは官公庁から出資・補助金を受けている外部団体のことを本来は指すが、官公庁を宗門に置き換えれば大体辻褄が合うので、作者は外郭団体と呼んでいる。
稲生:「そろそろ到着ですね」
マリア:「師匠、降りますよ」
イリーナ:「うんにゃ……」
列車がポイントを渡って副本線のホームに入る。
〔「ご乗車ありがとうございました。新富士、新富士です。2番線の電車は8時39分発、“こだま”635号、名古屋行きです」〕
列車が着いて1分もしないうちに、後続の通過列車が轟音を立てて通過した。
新富士駅の前後は線形が良い為、通過列車は基本的に最高速度で通過する。
稲生:「ここからバスに乗り換えますけど、どうします?」
イリーナ:「うーん……。アタシ達はここから別行動にしよう」
マリア:「!」
稲生:「そうですか」
マリア:「師匠?」
イリーナ:「どうやらバスは、信徒で一杯になりそうだ。無関係のアタシ達が乗ったら、迷惑だろう」
新富士駅〜大石寺間の登山バスは貸切扱いではない為、運賃さえ払えば一般乗客も乗れる。
イリーナ:「それに、この町でやっておきたいこともあるしね」
稲生:「分かりました。宿泊先は富士宮市内になります。この前の駅前のホテルではありません」
イリーナ:「ああ、分かった。それじゃ夕方、私達も大石寺に行こう。そこから一緒に移動で」
稲生:「分かりました」
駅前で稲生は魔道師の師匠や先輩と別れた。
稲生:(この町でやっておくことって何だろう?)
少なくとも稲生がお呼びで無いことは確かだった。
[同日09:50.天候:晴 新富士駅北口バスプール]
バスプールに入線してきたバスは、普通のノンステップバスだった。
一般の路線バスと兼用の為、ちょっと乗り慣れていないと戸惑うことがある。
通常は中扉から乗って前扉から降りる整理券方式なのだが、大石寺登山バスとなると逆転する(前乗り方式)。
その為、Pasmoなどで乗ろうとすると、中扉の読み取り機に当てて、再び前扉の読取機に当てに行くという面倒なことをやらされる(作者体験談)。
窓口で乗車券購入または現金で乗るのが良さそうだ。
但し、高速バスタイプの車両で来ると乗り口が1つしか無いので、このような面倒なことはない。
どうせ1人だからと、稲生は運転席後ろの1人席に座った。
ノンステップバスのそこはトラックの運転席によじ登るような感じになるので、バリアフリーとは正反対である。
稲生:(まさかここでマリアさん達と別れるとはなぁ……)
稲生はガックリ頭(こうべ)を垂れた。
〔「お待たせ致しました。発車致します」〕
バスはノンステップバスならではグライドドアを閉め、新富士駅前を発車した。
この後、在来線のJR富士駅前に止まる。
稲生:(班長達、もう到着してるかな……)
稲生は自分のスマホを取り出した。
稲生:(確か、鈴木組長がツイッターやってるって言ってたな……)
稲生は鈴木のツイッターを見てみた。
尚、鈴木は元顕正会の組長だった男だが、何故か正証寺に来ても「鈴木組長」と呼ばれることがある。
別に強面でも何でも無く、むしろ痩せ型のオタクなのであるが。
鈴木:『折伏の予定が入って、ニチアサが観れないお』
稲生:(鈴木君!?ニチアサって……!)
鈴木:『婦人部のオバちゃん達、超元気。顕正会の婦人部員とそこは変わらない』
稲生:(だろうねぇ……)
鈴木:『オバちゃん達トイレ近いから、リアル“こだま”だお』
稲生:(あー……。その点、イリーナ先生はずっと寝てるからトイレが近いってことは無いな)
鈴木:『足柄SA到着ーーーーっ!女子トイレ、クソ混んでるみたい。オバちゃん、男子トイレに“街頭折伏”に行くってさw』
稲生:(マジか!?)
鈴木:『大石寺到着!やっぱり顕正会の言ってることはウソだった!』
稲生:(うんうん、そうだろうそうだろう)
鈴木:『三門が近代的なプレハブになっている!!』
ズコーッ!!(座席から転がり落ちる稲生)
運転手:「お、お客さん、大丈夫ですか!?」
稲生:「だ、大丈夫です……。(藤谷班長、ちゃんと教えてあげてー!)」
鈴木:『顕正会では、三門からしてオンボロで今にも朽ち果てる状態だと言っていたのに!』
稲生:(それを防ぐ為の改修工事なんだよなぁ……)
[同日10:40.天候:晴 日蓮正宗大石寺 第二ターミナル]
バスは大石寺のバスターミナルに到着した。
ここでは前後のドアを開けてくれるので、一斉に降りられる。
稲生:「えーと……まずは休憩坊に集合だっけ。場所は……報恩坊か」
稲生はバスターミナルから北に向かい、国道を横断して塔中へと向かった。