東急シアターオーブで森田剛主演「鉈切り丸」を観てきました。
リチャード三世を鎌倉時代に置き換えた舞台。
青木豪さんの脚本、いのうえひでのりさんの演出です。
森田剛くんの鉈切り丸(教頼?)が凄まじいばかりの悪行を働くピカレスクロマン。
せむしでびっこで顔には傷がある醜い男。自分が天下を取るために邪魔になるものを言葉巧みに操り滅ぼしていく。
刀で切る度に血しぶきがピューピュー飛ぶさまやリアルな生首など気の弱い人はビックリしちゃうかも。
新感線や歌舞伎で鍛えられてる(?)私でさえも、またかいなって感じだったし。
そんな血なまぐさい中、武士なのに公家のようなおっとりした生瀬さんの頼朝が凄く面白かった。間の取り方と言い、アドリブっぽいせりふといいさすが 山内圭哉さんや政子との三人のシーンは、唯一笑えるホッと出来る場面でした。
若村麻由美さんと建礼門院の麻実れいさんの存在感も凄かったです。
しかし何と言っても森田剛君が素晴らしかった。
幕が開いて、第一声を聞いた瞬間に「これは凄いかも」って思いましたが、本当にそうでした。
大勢の人を死に追いやり、自分の子供や妻、母までも手にかける因果。
蓮の池に亡霊や生霊が現れ鉈切り丸を呪うシーンは、とても美しかったです。
哀れで悲しい最後でした。
死ぬ間際のセリフ、馬をくれ!ではなく鳶よ、おまえの羽をくれ!でしたね。
死んでもなお上から見下そうという・・・どこまでいやな奴なんだ、お前は!
特にファンではない私でも気の毒だな・・・と思ったくらいですから、森田剛くんのファンには辛いお芝居だったかもしれませんね。
皆に醜いと言われ忌み嫌われる役ですし。
毎日毎日、あの体勢で演ずるのはさぞや大変でしょうね。体のあちこちに影響が出そう。
精神的にも肉体的にもキツイ舞台だと思いますが、本当に見事な演技でした。ブラヴォー