マーリンの美味しい生活

ストレス解消は観劇と食べ歩き。

ノア~約束の舟~

2014年06月23日 | 舞台・映画
「ノア」を観てきました。監督はあの「ブラック・スワン」を作った方。

これはかの有名な旧約聖書にある「ノアの方舟」のお話で超スペクタクルな作品。

単なるスペクタクル映画だと思いきやなかなか深い人間ドラマでした。

堕落した人間と世に蔓延る悪を一蹴してこの世をリセットするという神の予言めいた夢を見たノアは、家族と生きものを守るために方舟を作り始めます。

カインの一族に父親を殺され自分の土地を追われ、苦労して作った方舟も乗っ取られそうになったりと正しい平和主義者のノアにはこれでもかと試練が続きます。


ノアの一家と世界中のあらゆる種類の鳥や動物ひとつがいずつを残して、大洪水によって全人類が滅びてしまう・・・とここまでは聖書通りだったのですが、大詰めでとんでもないことに 

神の本当の意思は、悪事を働かない動物は生かして人間は絶滅させるものだと考えるノア。神に与えられた使命を全うしようとするノアは、神の使者と言うよりはまるで鬼か悪魔のようで、これから生まれてくる孫が男だったら生かしておくが女だったら殺すとまで言い出す始末。

まさに危険な狂信者のように自らを神の代行者だとして突っ走る。

神の言葉ではなく自分の意思で行動すると言い放つ彼らの敵役のほうが現代の我々にとっては人間臭く感じられます。

神と家族の間に立って葛藤し苦しむノアを演じたラッセル・クロウが凄かったです。

ノアの祖父役のアンソニー・ホプキンスがとてもいい味わい。

妻役のジェニファー・コネリーと養女のエマ・ワトソン(ハーマイオニーを演じた女優さん)につい感情移入して観ちゃいました。


CG映像も見ごたえありますが、自然と人間の関係、神の言葉を守るか自分の意志で決定するか?、家族の中で起こる様々な問題など色々考えさせられることが多い示唆に富む映画でした。

最後に神の意思よりも人間としての慈悲をとったノアに人類の未来への希望を見ました。