渋谷シアターコクーンに行ってきました。
劇場に着くと当日券を求める大勢のお客さんで入口付近がごった返していてビックリです。
期待が高まります。
いつものコクーン歌舞伎と違い平場席は無し。
その代わり1階前方席に張り出した四角い舞台をぐるりと囲むような座席になっていました。
四谷怪談は色々なバージョンを観てきましたが、今回はなんの予備知識もなく臨みました。
後で知ったのですが、上演されることが少ない「深川三角屋敷の場」を中心にした「北番」だったそうです。
幕開けから混沌としていてスーツ姿の集団や江戸の町人が入り乱れて行き交うところに獅童さん演ずる伊右衛門登場。
音楽が何だか騒々しくて役者の台詞が聞き取りにくい。
串田さんらしいといえばらしいんだけど、今までの「三人吉三」とか「天日坊」などの演出が素晴らしく良かっただけに、(「天日坊」を観た時の感想には、トランペットの音の響きにゾクゾクっとしたとありますが)今回はちょっとやり過ぎじゃないかなぁ~と思ってしまいました。
1幕の岩と伊右衛門のドロドロの場面が割りとあっさりで物足りなかったけど、その代わり2幕になってからの岩の妹お袖(七之助)と直助(勘九郎)の場面がしっとりした正統派の歌舞伎らしい描き方で勘九郎と七之助の演技力が生かされていてとても良かったです。
扇雀のお岩と獅童の伊右衛門もさすがのオーラ、鶴松のお梅がとても愛らしく哀れでした。
首藤康之さんが出演されてたのには驚いた。先日までやっていた松潤主演のドラマにも父親役で出てらしたけどバレエダンサーから俳優に転身されたのでしょうか?
伊右衛門と直助が釣りをする場面、大勢の人の動きで川を表現していましたが死体が折り重なってるように見えてとても気持ち悪かったです。
地獄絵図のような現代と過去が入り乱れる世界を「蜘蛛の糸」のカンダタの様に梯子を登って逃げようとする伊右衛門・・・のラストシーンが秀逸でした。
後で串田さんのコメントを読んだら、『四谷怪談』はお岩一人の恨みを描いた物語ではない。世の中全部が怪談だよと南北がささやいている。現代も気が付けば、亡霊ばかりが街を行きかう。無数の怨念がなだれ込む『四谷怪談』は、あの世もこの世もひっくるめて、怪なる世界へ変貌する。と書いてあった。
オールスタンディングのカテコで立見客も大勢でしたが、私の気分は今ひとつ盛り上がれなかった。
前日観た「ドン・ジュアン」が余りにも素晴らしかったせいだろうか?それともヤキが回ったのかなぁ・・・
などと思いながら劇場を後にした。
その妖精さん達もご観劇だったけど、どんな感想を持たれたのかな?色んな意味でお勉強になったでしょうね。