マーリンの美味しい生活

ストレス解消は観劇と食べ歩き。

コクーン歌舞伎 三人吉三

2014年06月10日 | 歌舞伎
渋谷のシアターコクーンで「三人吉三」です。


こちらはプログラム 中の写真も出演者の皆さん、裏町にたむろするワルガキ風なのが面白い。

現代に生きる人々に届けたい~との熱い思いが伝わってきます。

平場席だったので、腰とお尻が痛くなりました。途中、足を投げ出したり体育座りをしたりと体勢を変えながらの観劇は少々辛かったですが、舞台に近くすぐ横の通路を役者さん達が花道代わりに通るので凄く臨場感がありました。

お芝居は15分と10分の休憩を挟み3幕で約三時間半。

若者らしく疾走感のある熱い舞台で面白かった~

簡単に言うと、ひょんなことから出合って意気投合したアウトローの三人吉三(お坊吉三・お嬢吉三・和尚吉三)が互いの血を啜り合い兄弟の契りを結びますが、自分たちの働いた悪事により追い詰められて滅びていく・・・というピカレスクロマン。

そこに複雑な人間関係の因果応報とか近親相姦とかが絡んできますが・・・

三人吉三を知らない人にも理解しやすいようにとの配慮からか、とても丁寧に人間関係や因果が描かれていました。

二幕終盤の和尚吉三(勘九郎)が畜生道に堕ちた自分の妹弟をお坊とお嬢の身替りに手に掛けるところの勘九郎さんの鬼気迫る演技が素晴らしかった。思わず正座しちゃった。

今までは、義兄弟の契りを結んだ二人の吉三を守るために自分の兄弟を殺してしまう和尚の心情が今ひとつ理解できなかったのですが、勘九郎さんの和尚を観ていたらすんなり心に入ってきました。

だからこそ大詰めでの和尚の怒り・悲しみには胸を突かれる思いでした。

お嬢の七之助さんも凄絶な美しさと激しい立ち回りが素晴らしかった。男と女の間を行き来する変幻自在ぶりは見事。

観る度に上手くなるなぁ・・・と感心。勘三郎さんも喜んでらっしゃることでしょう。

初参加の松也さんも堂々たるお坊の演技で、よく通るいい声なのでセリフがとても聞き取りやすいところも良かったです。

追手に囲まれもはやこれまでと、自分たちが犯した罪の始末を自分たちでつけようと自刃する三人、重なりあうお嬢とお坊。そのお坊の肩にそっと着物を掛けてやって息絶える和尚。グッときました

その三人に降り積もる大量の雪、雪、雪・・・8列目の私も雪まみれ。

なんと美しい舞台でしょうか

今まで何度も(コクーンを含めて)観た三人吉三でしたが、今回が一番感情移入できたかも。

それくらい身近な感じがしました。

笹野さんを始めとして歌舞伎役者以外の俳優さんもいい味出してました。

そして和尚に殺されちゃう若手の二人もフレッシュで可愛かった。

個人的には、夜鷹の三婆がお気に入り

カテコでは串田さんもステージに。

最後はスタオベでした。

立ち見のお客さんもいっぱいいました。

初日に観た友人の話では、勘三郎夫人、大竹しのぶさん、生田斗真くん、松潤、その他見たことある俳優さんが大勢いらしてたそうです。






ビッグフェラー

2014年06月06日 | 舞台・映画
世田谷パブリックシアターで『THE BIG FELLAH ビッグ・フェラー』を観てきました。



【キャスト】
内野聖陽  ディヴィッド・コステロ(IRAのNY支部リーダー)
浦井健治  マイケル・ドイル(NYの消防士、IRAメンバー)
明星真由美 エリザベス・ライアン(IRAメンバー)
町田マリー カレルマ(プエルトリコ系の女性)
黒田大輔  トム・ビリー・コイル(NY市警、IRAメンバー)
小林勝也  フランク・マカードル(IRA幹部)
成河    ルエリ・オドルスコル(IRAメンバー)




IRA(アイルランド共和軍)のNY支部リーダー、デイヴィッド・コステロを中心に繰り広げられる活動家たちそれぞれの生き様を、彼らの日常風景のなかで描き出す人間ドラマ。

難しい話なのかな・・・と警戒していましたが、意外にも笑えるようなシーンも多く、でも恐ろしさもあり、濃密な人間ドラマにどっぷり浸かってきました。面白かったです。

何よりも内野さんを始め出演者の皆さん全員が素晴らしいです。

時代は1972年から2001年9月11日の朝までの約30年。その間の世界情勢の変動は民族紛争やテロリズムにも大きな影響を与え、そんな流れのなかでメンバーの内面にもさまざまな変化が起きていく…。

「ビッグ・フェラー」ってなんだろうと思っていたら、英語の「ビッグ・フェロー」の砕けた言い回しで「大きな男」、イコール「大物」という意味なのだそうです。

IRAのリーダーだったマイケル・コリンズ(内野聖陽さんが演じるデイヴィッド・コステロ)がそう呼ばれていてモデルの一人になっているとか。コリンズは外見的にも内面的にも大きくて、カリスマ的な人だったということで、尊敬の意味を込めて「ビッグ・フェロー」と呼ばれていたんですって。

冒頭、キルトの正装でスピーチをする内野さんは、男らしくユーモアもありカリスマ性のあるコステロで、まさに皆がこの人に付いていきたいと憧れるリーダーそのものでした。

軽薄でお喋りなルエリと寡黙で真面目なマイケルとの対比が面白かったです。

アメリカ社会の中にはアイルランド系の人が多くを占めていて、ケネディ家をはじめクリントン元大統領もアイルランド系だそうです。
彼らの先祖はイギリスによって祖国を追われてきた移民で、初期には警官や消防士とかの仕事にしかつけなかった。それだけに祖国アイルランドへの愛とイギリスへの反感が強い・・・こういったことを踏まえて観たので彼らの感情などが少しは理解できたように思います。

30年の間に、政治情勢は大きく変化していき、それによって登場人物たちの気持ちや人間関係も変化していきます。

この後、ネタバレあり。

IRAの活動がしだいに衰退していき組織が窮してくると内輪もめが起きたり、お互いに警戒し合うようになる。
とても有能なのに女だからという理由でエリザベスが粛清されるシーンや密告者を探しに来たフランクがマイケルやルエリにリンチを加えるところは凄く恐ろしかった。
しかし、それに怒ったコステロが、アル中からやっと立ち直りかけたフランクの顔にお酒を塗りたくり口に無理やり流しこむところ・・・あくまでも何も言わず静かに・・・でしたが、とても酷いシーンでした。

自分たちもテロを仕掛けているくせに、イスラム過激派のテロを批判して「あいつら何考えてるんだか・・」みたいな批判をするところも変ですよね。人間って自分のやってることがわかってないんだなあ・・

結局コステロが、自分が裏切り者でFBIとつながっていた事を皆んなの前で告白して、糾弾され最後は自らマイケルに殺されに行くのですが・・・余韻のある終わり方でした。あの銃声は誰が誰を撃ったのか

コステロはトムよりもマイケルに撃たれたかっただろうなぁ

9・11の朝、淡々と朝食をとり消防士として仕事に行く準備をするマイケル。彼が出かけた後に起こるあの惨劇。

皮肉な終わり方でした。

内野さんが渋くていい大人の男になったなぁ、とか成河さんも相変わらず上手いなぁとか色々感心することはあったのですが、何と言っても浦井健治くん・・・あの天然系の、「薔薇サム」でのおバカな王子も浦井くんらしくて良かったのですが、「シャーロック」での二役といい今回の寡黙なマイケルといい難しい役を次々とこなすその演技力にますます磨きがかかっていて今後がとても楽しみです。




オペラ「アラベッラ」

2014年06月03日 | オペラ
初台のオペラパレスでオペラ「アラベッラ」観劇。

開演前にあらすじを読んでいたら既視感が。

ギャンブル好きな父親のせいで破産寸前の貴族の一家。美貌の姉と経済的な理由から女なのに男として育てられた妹、占いに一家の未来を託す母。

両親は、美貌の姉を大金持ちと結婚させようと・・・

途中まで見て、前に同じオペラを観たこととに気づいた私。

そういえば、宝塚花組さんの「アンドレア・シェニエ」の元となったオペラも観たことないと思っていたら、引き出しからオペラ「アンドレア・シェニエ」のプログラムが出てきた。全然記憶になかったのでビックリ。

なんか心配になってきた・・・


6週間のダンスレッスン

2014年06月01日 | 舞台・映画
銀座博品館劇場で「6週間のダンスレッスン」プレビュー公演を観てきました。



前回見たのは確か天王洲アイルの銀河劇場でした。

その時のキャストは、草笛光子さんと今村ねずみさん。

今回のダンス教師マイケルはダブルキャストで斉藤直樹さんと星智也さんです。



私が観たのは、文学座の新鋭星智也さんの方でしたが、長身で足が長~く顔は濃い、ラテン系の感じ。

ドアを開けてマイケルが姿を現した瞬間、客席からはほ~っと溜息が。それくらいカッコイイ方です。

数年前に観たことがあるのですが、細かいところは結構忘れちゃってたので、初めて見るように楽しめました。

前回観た時は、リリーとマイケルがいがみ合ってる期間がもっと長かったように感じたのですが、意外と早く打ち解けていたんだなぁ~なんて。

それと星さんのマイケルはとても軽いというかジョーク好きでコミカル。それが嫌味じゃなく可愛いので、リリーも心を開いていったんだなあ・・・とよくわかります。

ダンスごとに二人が替える衣装も素敵で見どころの一つ。ドレスがあんなに似合う日本女性ってなかなかいないと思うわ~

リリーの草笛さんは、もう80才を過ぎてらっしゃるのに前に観た時と全然変わらない美しさ。

若々しい身のこなしや軽やかなダンス・・・優美で品があって素敵すぎます

こんな風に年を重ねたい。

老人の孤独や迫り来る死への恐怖、マイノリティーのゲイに対する差別とか、人間にとって一番大切なものはなにか・・・とか現代社会に生きる我々に共通の問題なのでとても身につまされました。

が、草笛さんのパワーに圧倒され勇気と元気を貰えた舞台でした。

何度も再演を重ねているだけのことありますね。


6月5日までの博品館でのプレビュー公演の後、全国公演を経て7月8日~21日にまた博品館に帰ってくるそうです。


神々しいまでに美しい生の草笛光子さん、ホントに素晴らしい~

泰山木の花

2014年06月01日 | 季節のたより

今日も30度超え、暑くてまるで真夏です

この暑さを待っていました!というように庭の泰山木の花が咲きました。





いい香りです。

そうかと思えば、枯れたはずのシクラメンにも花が・・・





どうしちゃったんでしょう

村上海賊の娘

2014年06月01日 | 
上下巻とも読み終わった。あ~面白かった

時代小説は苦手だから読まない、と言ってた人がいたけど戦国時代が舞台の活劇物なのでそれほど敬遠すること無いのになぁ・・・と思います。

景の勇ましさも凄いんですが、海賊のオジサンたちの何とも言えないユーモラスな感じが好きでした。

特に眞鍋家の泉州の人達、面白すぎ。

でもこれを映像化するのは、酷たらしい殺戮シーンが多すぎるから難しいだろうね。