たにしのアブク 風綴り

87歳になります。独り徘徊と追慕の日々は永く切ない。

ススキ、すすき(薄、芒) 十三夜

2008-10-11 10:13:22 | Lyricism

山は暮れて野は黄昏の薄かな ― 与謝蕪村

朝日山に住む、ユキウサギさんが、
今秋の初冠雪の便りに添え、
ススキの写真を送ってくれた。

ススキの花言葉は
「活力」「精力」「心が通じる」「隠退」

今夜は十三夜です。

十三夜は、後の月・後の名月・栗名月とも呼ばれ、十五夜と違い、
ススキに加えて、栗などを供えて月を鑑賞する古来からの風習がある。
また十三夜の日は、十五夜に比べてススキが成長しており、きれいな姿を楽しめる。今夜は晴れるかな。

万葉の歌人は詠う。

草枕 旅の憂へを 慰もる 事もありやと 
筑波嶺に 登りて見れば 尾花散る 
師付の田居に 雁がねも 寒く来鳴きぬ 
新治の 鳥羽の淡海も 秋風に 白波立ちぬ 
筑波嶺の よけくを見れば 長き日に 
思ひ積み来し 憂へは息みぬ(巻9-1757)

タニシはこの写真に、こころの寂寥をみた。
まさに「息みぬ」


初秋から晩秋へ 花姿が実となって果姿となる

2008-10-05 19:47:49 | Lyricism


「秋のささやき」は草木の実る音。
カラスウリとスズメウリ。



春には愁い、秋には惑い。
リチャード・クレイダーマンのコンチェルトが聞こえる。

ラブストーリー

音源のご提供の方、クレイダーマンさん、拝借させていただいています。


秋分の日 秋の日の憂うタニシ

2008-09-23 10:20:35 | Lyricism

今年は、今日が「秋分の日」です。
年によって1~2日ずれる「国民の祝日」です。

秋分の日は日本の国民の祝日の一つ。
1948年公布・施行された国民の祝日に関する法律(祝日法)によって制定された。
趣旨は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日されている。

麻生太郎が総理大臣になる。
なんか、軽っぽいなー。カルチャー。
問題は山積している。
すべて人間が引き起こしたこと。

①でたらめ年金事務処理②医療制度の破綻③廃棄米を食卓まで届く流通制度④金儲けに毒入り食品を作って売る企業⑤着々進む北朝鮮の核開発⑥破綻する世界の金融⑦国民の安全と安心・健康の希求に背く行政⑧仕事をしない国会議員⑨嫌になったら止めちゃう首相……

麻生太郎よ、小沢一郎よ。国民の願いはひとつ。
自民でも、民主でも、そんなこと、どうでもいい。
望むことは、安心と幸せと、そして平和で強い国。

脳天も焦げる酷暑で秋立ちぬ

2008-08-07 22:14:55 | Lyricism
       
       立秋といふ岳麓の旅路かな     稲畑汀子

今日から立秋。
手垢の付いた言い方だが、「暦の上では秋」。

積乱雲が突然沸き立って、
雷鳴とともに雷ピカピカ、
夕立というより土砂ぶり。


日本列島が熱帯地方になったようだ。
地球温暖化は確実に進んでいるのだ。

暮らしの方は、世界同時不景気も来ていると言う。
「日本経済沈没」特集している経済週刊誌もある。
「安心実現内閣」などと、ムフフの福田首相。
派閥の領袖も、ライバルもみんな抱えて「沈没」
「これでいいのだ」



今日は大暑 暑さ真っ盛り

2008-07-22 07:27:47 | Lyricism
24節気の一つで、暑気が至り一年で最も暑い「酷暑」の時期。毎年7月23日ころ。

蒸し暑さで、体力の消耗が激しくなるため、
夏バテ防止に精力のつくウナギを食べる。
いわゆる「土用の丑の日」ある。

今年ほど「ウナギ」に関心が集まったことがない。
ウナギが悪いのではない。
食べ物で、暴利を貪ろうとする経済行為が、
いまの日本に蔓延るようになってしまった。

福祉厚生医療、企業会社雇用……官から民まで、
「騙しの構図」が定着してしまった。

青息吐息、国民の悲鳴 炎天下に噴出している。
ムフフ…の福田首相は夏休みでホテル暮らし。

   念力のゆるめば死ぬる大暑かな   村上鬼城



暑気払いにはウナギより、清涼剤がいい。
タニシは映画館でいい映画を観ること。

「……ヒロインの所在なさげでありながら芯のあるキャラクターに、若手女優きっての演技派、蒼井優がさらに奥行きを与えている」という毎日新聞の映画評に惹かれ、
蒼井優主演の最新作を観に行った。「百万円と苦虫女」

就職浪人中の主人公のヒロイン鈴子・蒼井優。
捨てられていた子ネコを助けたことがきっかけで、
前科一犯になってしまう。周囲から孤立してしまう。

「非存在な自分になりたくて」彼女は家を出た。期間限定のアルバイトで、海の家や山中の農家で働き、百万円たまったら、その土地を離れる生活をはじめるが……。

蒼井優という女優をはじめて知ったが、頼りなさ気で、なんという薄い体型、細い手足、今風に言えば省エネ体型と言える。
困ったときに顔をしかめてちょっと笑う。苦虫顔?



人とのかかわりを避けた「非存在な自分に」なりたいのに、いつのまにか、抜き差しならない人間関係が押し寄せてくる。

そんなヒロインが、地方都市のバイト先で知り合った大学生(森山未来)の情に絆されて、
「好きです」なんて言われて……、せっかく貯めてきたお金まで貢ぐ。
もう、タニシの爺様は切ない。なんでそうなるの、悔しいではないか。
そうなるんだったら、桃畑の朴訥なお兄ちゃん(ピエール瀧)にあげる方が許せる。

「私何をやっているのだろうか」とつぶやくヒロイン。
結局、真っ蒼な空の下、街を出て行く蒼井優が清々しい。


時鳥、ホトトギス啼きて……小暑の日

2008-07-08 06:16:22 | Lyricism

昨日は24節気の小暑であった。
この日、当地は朝から、強雨と雷鳴が響いていた。
雷が鳴ると、もう、梅雨明けも近い。

小暑あるいは大暑から立秋までの間が暑中で、小暑の終わりごろに夏の土用に入る。と歳時記に記されている。

7月7日は七夕でもある。残念ながら曇り空でした。
タニシの湧水田も、草の匂いが強くなり、
春の花の小路は、夏草に押されてしまっている。
この春の花の記憶を映してみます。


「夏は来ぬ」佐々木信綱作詞・小山作之助作曲

卯の花の、匂う垣根に
時鳥、早も来鳴きて
忍音もらす、夏は来ぬ



さみだれの、そそぐ山田に
早乙女が、裳裾ぬらして
玉苗植うる、夏は来ぬ



橘の、薫るのきばの
窓近く、蛍飛びかい
おこたり諌むる、夏は来ぬ



楝ちる、川べの宿の
門遠く、水鶏声して
夕月すずしき、夏は来ぬ



五月やみ、蛍飛びかい
水鶏鳴き、卯の花咲きて
早苗植えわたす、夏は来ぬ

今日から7月、1日は半夏生の日

2008-07-01 07:20:45 | Lyricism

半夏生は夏至から数えて 11日目。

   朝の虹 消えて 一ト雨 半夏生  黙禅

植物の“ハンゲショウ”もこの頃に花をつける。
葉っぱの一部が白くなり花よりも目立つので,半化粧ともいわれる。

今日の花は「ハンゲショウ」
花言葉は<内に秘めた情熱>だという。
―――NHK発行の「誕生日の花カレンダー」

夏の盛りの頃になると、葉の白い部分は色落ちして、ふつうの緑色になる。





これは「アンスリウム」ハート型の葉が紅くなる。

花言葉:飾らない美しさ、無垢な心 情熱

室内に置くことにより室内の空気浄化と蒸散作用による保温、保湿の効果が得られるとされています。
アンスリウムの充実した株は、葉一枚につき天狗の鼻のような花が一輪咲くと、説明書には書いてあるが……
早尭に 時鳥啼きて 半夏の日
タニシがアブ句を噴いた。


白詰草・クローバーの花輪は馬肥やし

2008-06-29 18:27:27 | Lyricism

クローバーの原に、ニョキット現れるフォルム。
イメージは勝手にすればいいというわけらしい。

クローバーはウサギの大好物ですね。
白ウサギが飛び跳ねていると似合う。

中学時代に4Hクラブという、全国的な組織に入ったことがあります。
4Hとは……希望hope、幸福happiness、愛情heart、健康healthを表わします。
四葉のクローバーの葉に、4つのHが彫られたバッチをもらって、
帽子につけていた。
その後どうなったか、ほとんど知らない。
Hは最近、下半身にまつわるらしい。

四葉のクローバーは希望、信仰、愛情、幸運を意味しているという。
<花言葉> 約束・思い出して。

ふつうは葉は3枚だが4枚つくことがある。
最近「21葉のクローバー」が、テレビや新聞で話題になっています。

花巻の農家で、21葉のクローバーを育てることに成功した。
 クローバーは約1センチの葉が何層にも重なり、全体の大きさは約3センチ。3日午前に畑で見つけ、1枚ごとにシールを張って枚数を確認したという。

タニシは未だ「四葉のクローバー」に会えない。


「麦秋」に吹く、小麦産品値上がりの突風

2008-06-21 18:40:35 | Lyricism

   雨二滴 日は照りかへす 麦の秋  虚子

 少し郊外を走っていたら、いまどき珍しい「小麦畑」が目に入った。刈り取り時期になっている。
それにしても、これしかない作付けで、何をしようとするのだろうか。

大麦小麦の麦畑は、日本農村の春先から、夏にかけての原風景だった時代がある。

 子供時分には、小麦の実を噛んで、チューインガムにしたり、鳥もちを作ってあそんだ。またムギワラで麦藁籠を作り、さくらんぼや木苺を入れて食べた。
麦畑は恋の生まれるところです。

    麦秋の覚えなき手の目隠しよ   鷹羽狩行

「麦畑」というオヨネーズの歌があります。

…………………………
嫁っこ来ておくれ
やんだ たまげたな
きゅうに何言うだ
おらも前から まっつぁんを
好きだと思ってた
鍬を持つ手がふるえてる
鎌を持つ手もふるえてる
二人の心は 沈むゆうしに
真っ赤っかに染められて
おらでええのか
おらおめえでええてば
愛の花咲く 麦畑

…………………………

 最近、世界中で小麦が値上がりしている。
高騰の原因は①アメリカの在庫量不足②水不足のオーストラリアの生産が落ちてる③ブラジル、ロシア、インド、中国、いわゆるBRICsの需要が急増したことが主たる理由だという。

 小麦の87%を輸入している日本、輸入した小麦は政府が買い付け、製粉会社に販売する仕組みになっている。この売り渡し価格が春先から30%も上がった。

*食パン、菓子パンはじめ、うどん、そうめん、スパゲッティ、ラーメンなどの麺類、ピザ、たこ焼き、ギョーザの皮、肉まんの皮、天ぷらのころも、ケーキやクッキーとかのお菓子も値上がりしている。
タニシは水を飲んでいる。

山菜採りに吹く、高原の五月風

2008-05-27 06:28:00 | Lyricism

「山菜取り」に行って来ました」と、春日山に住む 雪ウサギさん
が採れた山菜の写真を、送ってくれました。

タラノメ、コシアブラ、コゴミ、ゼンマイ、わらび

山菜の苦味は、まさに自然のめぐみ、タニシには手が届かない。

手の届くタニシの湧水田では、
春先のせり、なずな……などおひたしをいただきます。
自然の香草類の香りは、癒やし系ですね。

今年もまた、北関東に住む閨秀歌人・綾さんから、
キャラブキをたくさん送ってくれました。

半分は、夏まで冷凍しておき、暑い日に氷ったまま口にすれば、
冷たさが融けて、苦味が口の中に広がる。
辛口の冷酒が美味い。

Muchas gracias.


夜目にも白きハルジオン

2008-05-11 22:56:28 | Lyricism

雨上がり、湧水田の周りは、春の野草に満ちている。
今まで見過ごしてきた山野草の花が、たそかれていくタニシには眩しすぎる。
 スイセン、キツネノボタン、ヤマツツジ、ヤマブキ、オドリコソウ、エンドウ、ハナニラ、スミレ、タンポポ、シャガ、オオイヌフグリ、イカリソウ、ハコベ、カラスノエンドウ、レンギョウ、ミヤコワスレ、シロツメクサ、レンゲ、シャクナゲ、ミヤコグサ……、春女苑・ハルジオン。
 春に咲く紫苑(しおん)という意味で春紫苑(ハルシオン)。見て分かるようにキク科。
花言葉は「素朴で清楚」「追想の愛」

春の花の雑草の代表。雑草として括ってしまうには可憐過ぎる。

ひとつひとつは、びんぼう草とも言われるだけに、たいした存在感はないが、
群生すると春野を彩る。身近な身辺に、これほど見かける花はない。
視点を変えれば世界も変わる。
基準を変えれば人材も代わる。
価値観変えれば生き方も違う。


聖火リレーの喧騒が過ぎて、春山まぶし

2008-04-27 18:32:08 | Lyricism



 何とも言えない ばからしさを残して、紅い群集が散っていった。
「言論の自由」「人権の尊厳」のない国によって、世界の国が示したメッセージは圧殺されてしまった。
久しぶりの好天サンデー、新緑の爽やかさを、味わってきました。



イロハモミジの新芽が眩しい。
ショウジョウモミジお新芽は、春を彩る紅葉です。
山吹の黄色は春山では、ひときわ目立ちます。



自然の息吹の激しさに、タニシは眩暈をしている。



草木は弥さらに生え

2008-03-01 21:40:35 | Lyricism

白梅のあと紅梅の深空あり 龍太

今日から3月。とりあえずタニシのごあいさつ。
オタマジャクシの卵が水辺に、幾つものかたまりを作っている。
日増しに泥中もにぎやかになってくる。

3日はひな祭り。6日は啓蟄。20日はお彼岸。

そして、かつてはこの歌声が、麦畑の上を伝ってきたものだった。
最近はほとんど聞かない。

「あおげば尊し」作詞作曲不詳

あおげば とうとし、わが師の恩。
教の庭にも、はや 幾年。
思えば いと疾し、この年月。
今こそ 別れめ、いざさらば。

互にむつみし、日ごろの恩。
別るる後にも、やよ 忘るな。
身をたて 名をあげ、やよ はげめよ。
今こそ 別れめ、いざさらば。

朝夕 馴にし、まなびの窓。
螢のともし火、積む白雪。
忘るる 間ぞなき、ゆく年月。
今こそ 別れめ、いざさらば。

この歌が 緊張感を持って、講堂で歌う時代は、永久に失われるのだろうか。

「身をたて 名をあげ、やよ はげめよ」
この歌詞って、(日教組様)そんなにいけないフレーズなのですか。

通学時代は、師と思える人に、思えなくても、星霜を重ねる内に、
ああ、あの先生の、あの出会いが、道しるべになっていた。
そのように思える



雪氷とけて雨水となればなり

2008-02-19 21:25:19 | Lyricism



19日は24節気の「雨水」…雪が溶け始めるころ。水温む。カモも逆立ち。



はだれ雪(斑雪) 雪がまだらに残った状態や降り積み方が斑な雪をいう。

昨日の夜、市川崑監督を悼んで映画「細雪」がテレビ放送されていた。

雪の名前を思いつくままに、並べてみた。
ボタ雪、牡丹雪、なごり雪、まだら雪、根雪、新雪、吹雪、風雪、ドカ雪、大雪、細雪、初雪、春雪、白雪、山雪、里雪、豪雪、冠雪、降雪、除雪、雪女…雪が嘶く
 
津軽に降る雪は7つあると、新沼謙治が「津軽恋女」で「こな雪  つぶ雪  わた雪  ざらめ雪  みず雪  かた雪  氷雪」と歌っている。



耐えて 凛と生きる 雪国の女(ひと)が居る。

♪♪いま、老いらく世代に、湯原昌幸が歌う
「柚子」と言うこの歌に、共感が集まっている。
作詞・作曲は「吾亦紅」のコンビですね。♪♪



「柚子」湯原昌幸/作詞:ちあき哲也/作曲:杉本眞人

まだ俺が がきの頃 越してきた家に
若い規父が植えた柚子 今年も青い実がなった…
義母(はは)譲り 柚子のジャム トーストに塗って
自信なさげに 出来を訊く おまえがやけに眩しいよ…

ちびを学校に送り出し 久しぶりだね 朝の食卓(テーブル)
隣近所の噂にも なぜか胸は安らぐ

甘酸っぱい柚子の味 後ほろ苦い柚子の味

ねぇ 今 1日だって
おまえより長く生きて やる気でいるが
ねぇ もし もしもだよ
呆気なく俺が先に 逝ったとしたら
…ごめんな

くり返し不始末を 仕出かした俺さ
いつも土下座で詫びるとは お前が親(おや)を宥めたね…
父は亡く 母も亡く 人生は速い
ひとつ正しいことをした お前を女房にしたこと…

どんな幸せを捨ててたか 沸いたケトルの笛に沁みるよ
少し休めよ、コーヒーは俺が淹れてやるから

甘酸っぱい柚子の味 後ほろ苦い柚子の味

ねぇ 今 ありがとうとか
お座なりの感謝なんか 言わずにおくが
ねぇ もし もしもだよ
償いもできず先に 逝ったとしたら
…ごめんな

甘酸っぱい柚子の味 後ほろ苦い柚子の味

ねぇ 今 1日だって
おまえより長く生きて やる気でいるが
ねぇ もし もしもだよ
苦労だけくれて先に 逝ったとしたら
…ごめんな

その時はごめんな…