たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

切なさをレシピに詰めた『めぐり逢わせのお弁当』

2014-10-09 13:43:32 | 劇場映画

全てを棄てカフェで出会いを待つ女。
何をためらうのか見つめるだけの男。



インド・ムンバイでは、お昼どきともなると、
ダッバーワーラー(弁当配達人)がオフィス街で慌ただしくお弁当を配って歩く。

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<ダッバーワーラーとは>パンフから引用
「弁当配達人」を意味する。家庭の台所から"できたての"お弁当を集荷してオフィスに届けるという、
ムンバイに実在するお弁当配達サービスに携わる人々を指す。
5000人のダッバーワーラーが1日20万個のお弁当を手に往復しているわけだが、
ハーバード大学の分析によると、誤配送の確率はたったの【600万分の1】だそうだ。

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主婦のイラ(ニムラト・カウル)は、
自分に無関心な夫の気を引くために、心を込めてお弁当を作るのだった。
戻ってきたお弁当箱は食べつくして空だった。
しかし、帰ってきた夫の反応は無関心だった。



愛情弁当は誤配されていたのです。
定年退職を控えたやもめ男サージャン(イルファーン・カーン)のデスクに届けられていました。
そして次の日もサージャンのデスクに、豪華なお弁当が届きました。



一方、イラはいろいろ工夫したお弁当を作ります。もう一人子どもが欲しいですと訴えても、
夫はそっけなく、振り向いてもくれません。
「毎日カリフラワー」はいらないという。
ある日、サージャンに届いたイラの弁当に手紙が入っていました。
そして、イラの元に戻ってきた空の弁当箱にもメモがありました。



インド国内最大の都市・ムンバイ(旧ボンベイ)。
逢うこともなく、惹かれあった孤独な男と女。

「人はたとえ間違った電車に乗ったとしても、正しい場所へと導かれる」
映画の脚本を書いたリテーシュ・バトラ監督が好きなフレーズだという。
登場人物たちの人生を方向づける“スパイス”として使ったとされています。

「誤配された弁当だったが、本来行くべき人の元に届いていた」そいうことでしょうか。

やもめ暮らしで定年を控えたサージャンが、イラから出会いを求められて、
珍しくネクタイなどして、出かける朝、ふと気付いた老い、電車で席を譲られる‥‥

出会いのカフェにはイラが待っていた。
明日への一歩を踏み出せるはずの「電車」に乗るのでしょうか。
ラストでは、列車に揺られるダッバーワーラーの歌と手拍子が響く。

とっても古風で、切なさ心に沁みる映画です。
映画館でどうぞご覧遊ばせ。



以前、ブログで2本のインド映画として、
見たいと宣言していた内の『めぐり逢わせのお弁当』公式サイト
「シネスイッチ銀座」でも上映していますが、
立ち見が出来るほど込み合っているという情報もあり、
舞浜のシネマイクスピアリで見ることが出来ました。



デズニーリゾート・イクスピアリはハロウィンの飾りで賑わっていました。
たにしの爺には無縁なので横目で見て帰りました。


オランダ映画「人生はマラソンだ」と2本のインド映画

2014-08-10 14:27:03 | 劇場映画

8日の金曜日に都内で5時から集まりがあったので、
それまで昼の時間つなぎに、劇場映画を予定していました。

好きな劇場の一つ、銀座・和光ウラの「シネスイッチ銀座」。ここで今、
インド映画「マダム・イン・ニューヨーク」が掛かっています。
シネマレビューでチェックしていた映画です。
英語コンプレックスのインド人主婦がニューヨークの「英会話教室」に通い、人生に自信を取り戻していくという。
たにしの爺も英語は苦手で、というより英語アレルギー。
映画を見てインド人女性のように英会話上達のコツを知りたいと思っていました。



1時からの上映に合わせて、すこし早いと思いましたが、正午少し過ぎ映画館に行きました。
「えっ、なにこれ。」中年以上のご婦人が行列しているではないか。
今日はレディスデーで950円で見られる日だったのです。
男性の係員「1時からの券は売り切れです。立ち見でよかったら入れます。」と連呼しています。

「さーどうしよう。立ち見の勇気はない」し、とにかく5時までの時間を工面しなければ‥‥。
同館のもう一つのスクリーンで1時半からの上映、
オランダ映画「人生はマラソンだ」の方には席があるという。
スポ根もの(?)はあまり好きでないしと思いながら券を買いました。
ノーチェックの映画でしたが、これが儲け物のいい作品でした。とにかく面白い。



オランダのロッテダム、自動車修理工場のオーナーと職工の3人と足が不自由なエジプト青年。。
メタボの中年組、仕事はそっちのけで、カードとビールが手放せない。
ふざけるなと言いたくなるほどの不真面目で楽天家だ。





税金滞納で修理工場が没収ピンチに立ってしまう。
そこで滞納金肩代わりのスポンサーを探し、
「4人がフルマラソン完走」の賭けに出たのです。
走るのは、そうです。あの有名なロッテダム・マラソンです。





4人は「マラソンなんて、無理無理」と練習は遊び半分です。
それにみな深刻な身内事情を抱えています。
例えば、オーナーは仲間に言えない身体の事情。
あるいは一人は、妻が敬虔な宗教信者、安息日の日曜にマラソンなんて、
神が許しませんと教会に缶詰状態です。
さあ、スタートの号砲は鳴った。完走は果たせたでしょうか。



オランダ的な猥雑でご都合的な展開もありますが、
じわりと涙腺が緩んでスクリーンがかすんできます。
マラソンに仕立てた人生の真剣さがラストを引き締めてくれます。



この映画は8日が当劇場での最終日でした。
9日からはインド映画「めぐり逢わせのお弁当」に代わりました。
予告編を見ました。インドのムンバイが舞台です。
「誤って配達されたお弁当をきっかけに、孤独や悩みを抱えた男女が、
交流を深めてゆく姿を描いたドラマ」



このブログを綴っていた今朝、毎日新聞朝刊日曜版のコラム、
「藤原帰一の映画愛」にこの映画が採り上げられていました。
藤原さんのこのコラムは比較的、あまり一般的でない難しい作品が登場しますが、
予告編を見たせいか、私の感性にぴったりはまっていました。
紙面を紹介します。読みにくかったら拡大してみてください。



藤原さんの映画コラムはWebでも見られます。
「藤原帰一の映画愛」で検索してみてください。

「シネスイッチ銀座」は今、2スクリーンともに、インド映画が掛かっていることになります。
午前午後のはしごで見に行くしかないと思いつつ‥‥さてどうしよう。
長々とお付き合いありがとう。

木村大作監督「春を背負って」主役は厳しく美しい山岳

2014-06-28 14:32:19 | 劇場映画

映画「春を背負って」を観た。
立山連峰の急峻な岩肌に張り付くように建てられた山小屋。
吹雪く厳冬期には雪の中に埋まってしまう。
春の雪解けと高山植物の花が咲き始め、
雷鳥がまだら模様の羽に変わる頃から山小屋は動き出す。



小屋の管理者・長嶺勇夫(小林薫)は遭難者の救助で命を落としてしまう。
東京で投資銀行のトレーダーとして過酷な現場で働く一人息子。
亨(松山ケンイチ)がメールを見たのは、幾日か後だった。
民宿を営む母・長嶺菫(檀ふみ)の許に駆けつける亨。
かつて勇夫に遭難途中に救助され、
民宿を手伝っている高澤愛(蒼井優)がいた。

3人で小屋に上がり父・勇夫を弔い墓碑銘を立てる。
亨は父の残したこの小屋を継ぎたいと決心する。



営業再開の荷揚げには亡くなった勇夫を崇拝する、
風来山岳男の多田悟郎(豊川悦司)も駆けつけてくる。
それと幼馴染の木工屋の跡継・中川聡史(新井浩文)一家の人たち。

厳しい雪山から美しい夏山へと、そしてまた冬山へと。
物語は移り変わる山岳風景と共に、それぞれの思いが交錯しながら展開する。
登場者たちは厳しい自然と向き合い、いささかの生き方に関する葛藤はあっても、
他者と向き合う葛藤がまったく無い。
美しく厳しい自然が主役で登場者は脇役に過ぎないのか。



監督は伝説的な映画撮影カメラマンとして幾多の作品を撮ってきた木村大作氏。
初めて映画監督としてメガホンをとったのが「劒岳 点の記(2009年)」だった。
二作めの「春を背負って」も、山岳の厳しさと美しさを、存分に撮った清冽な作品となっているが、
物語の深みが薄く平板で物足りなさは否めない。



カメラは3000メートルの大雪渓と岸壁に据えられて、
CGは使わず、空撮も無しで丹念に写す映像は素晴らしい。



「それでも夜は明ける」「ミシシッピー・バーニング」

2014-05-23 13:08:50 | 劇場映画

アメリカの人種差別、黒人奴隷、売買、虐待の「歴史認識」にまつわる映画を2本続けて見ました。
①NHKBSプレミアムシネマ「ミシシッピー・バーニング」(5月21日・後1:00~3:08) 
②翌22日には、近くのシネコンで「それでも夜は明ける」。2014年のアカデミー賞作品賞です。
同作品で助演女優賞にルピタ・ニョンゴ、脚色賞(ジョン・リドリー)を獲得しています。
「それでも夜は明ける」公式サイトスティーブ・マックイーン 監督(米英合作、134分)
黒人監督の作品がアカデミー作品賞に選ばれたのは初めてだという。


「それでも夜は明ける」は主人公・アフリカ系アメリカ人ソロモン・ノーサップが実際に遭遇した事実で、
南北戦争が勃発する8年前の1853年に出版された自伝が原作となっているという。
‥‥‥自由を奪われ、凄まじい暴虐、繰り返されるリンチ、抵抗は死に直結する
奴隷生活とは、虐待とは、恐怖と従属とは、生き延びるとは‥‥‥
想像を絶する社会がかつてのアメリカにはあった。





1841年、ニューヨーク州サラトガ。バイオリニストのソロモン・ノーサップ(キウェテル・イジョフォー)は、
自由証明書で認められた自由黒人で、妻子と幸せな暮らしを送っていた。
ある時、ワシントンで開催されるショーでの演奏を頼まれる。
興行主と祝杯をあげたソロモンは酔いつぶれてしまう。
翌朝、目が覚めると、ソロモンは小屋の中で、手と足を重い鎖につながれていた。
興行主に騙されて売られたと気付いた時には、既に船の上だった。
反乱を目論むが、女を助けようとした一人が虫でも潰すように刺し殺されるのを見て、抵抗が無駄だと悟る。

ニューオーリンズの奴隷市場に着くと、奴隷商人(ポール・ジアマッティ)から、
無理やり“ソロモン”という名前すら奪われ、男も女も全員裸で並べられ、
子どもは「将来は立派な家畜になりますよ」と紹介され、母子別々に買われていく。
ソロモンは、大農園主のフォード(ベネディクト・カンバーバッチ)に買われる。



大工のティビッツ(ポール・ダノ)からは何かと難癖をつけられる。ソロモンの首に縄をかけて木に吊るす。
ソロモンはかろうじて爪先が地面に着く状態で何時間も放置される。

フォードは面倒を起こすソロモンを、借金返済を兼ねてエップス(マイケル・ファスベンダー)に売る。
エップスは、とても正視できない暴力で奴隷たちを支配し、
まだ年若いパッツィー(ルピタ・ニョンゴ)をサディスティックに弄ぶ。
焼け付く太陽の下でひたすら綿を摘み、少ないと鞭打たれ、逃亡奴隷の処刑が続く。
家族も、財産も、名前さえもを奪われたソロモンが、唯一失わなかったものとは──?



パッツィーを演じアカデミー賞女優助演賞のルピタ・ニョンゴ。
牧場主の愛玩物でもあり、夫人の嫉妬で丸裸にされ、凄まじいムチ打ち、皮膚は破れ血が飛び散る。
小柄な彼女、打たれ、傷だらけで弄られる女奴隷を見事に演じたルピタ・ニョンゴ。
――メキシコ生まれケニア育ち。イェール大学で演劇を学び、
「冬物語」「ワーニャ伯父さん」「じゃじゃ馬ならし」など数々の舞台でキャリアを積み、
数々の映画賞も獲得した長編ドキュメンタリー「In My Genes」(09)で企画、監督、編集、製作も手掛けている。
本作が長編映画デビュー作であり、今後の待機作として、リーアム・ニーソン主演『Non-Stop』(14)がある。
――(公式サイトより)すごい女優であることを知りました。

全てを奪われ信じるものはなにも無い、地をはうように広がる、奴隷たちの歌うブルース。
「それでも」奴隷たちの生命力が「夜を明ける」。


☆☆ピープル誌が世界で最も美しい女性トップにルピタ・ニョンゴ



米誌ピープルは2014年の「最も美しい人」に、メキシコ出身のケニア人女優ルピタ・ニョンゴを選んだと発表した。
ニョンゴは映画「それでも夜は明ける」でアカデミー賞助演女優賞を受賞。
黒人として初めて化粧品大手ランコムのアンバサダーに起用されている。
ニョンゴは今年のアカデミー賞授賞式などでファッションを絶賛され、
2月のスピーチでは「私は自分のことを美しくないと強く思っていた時があった」
「テレビに映るのは青白い肌ばかり。私は夜の影のような自分の肌についてからかわれ、あざけられた」
と語って話題になった。(CNN/4/24)


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もう1本はNHKテレビプレミアムシネマ
アラン・パーカー監督「ミシシッピー・バーニング」1988年・アメリカ


全米に公民権運動の嵐が吹き荒れた1964年夏。
ミシシッピ州ジュサップの町で3人の公民権運動家が何者かに殺害されて行方不明になる。
連邦政府は2人(ジーン・ハックマン、ウィレム・デフォー)のFBI捜査官を派遣する。
しかし、人種差別が根強い閉鎖的な町の人々の反感が立ちふさがり、黒人に対するリンチや焼き討ちが続発。
やがて町の保安官らを含む白人グループ・K・K・Kのテロ行為を確信したアンダーソンたちは、
失踪者の遺体発見に全力をあげる……。

町長から裁判官、保安官まで黒人差別を黙認し、KKKの覆面集団が黒人たちの家や家畜小屋を焼き討ちする。
抵抗するものは家族の前で吊るす。黒人殺害は犯罪とならない。凄まじい「黒人浄化」の町。
「フリーダム・サマー」と呼ばれる1964年6月に、
実際に起きた公民権運動家殺人事件をモデルにして描いた作品だという。

現在はオバマ大統領のアメリカには、
黒人が白人の前で棒を振ることが出来るのは野球だけだと、狂気のような黒人圧殺の歴史があった。


「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」老父の信じた100万ドルに寄り添う息子の道中記

2014-04-22 17:37:35 | 劇場映画

灰色のハイウェイが遠くまで続いている。
側道をよたよた歩いてくる老人がいる。パトカーが回り込んで止まる。
映画はこんなエピローグから始まります。

「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」(アレクサンダー・ペイン監督)を見てきました。



いつも行くシネコンのスケジュールを見たら、
今週で上映が終わるというので行ってきました。
アメリカのモンタナ州ビリングスに住む老人ウディ・グラント(ブルース・ダーン)は、
郵便受けにあった「あなたは100万ドルに当選しました」
のダイレクトメールを本気にしてしまったのです。
よくある手の込んだ広告の騙しのテクニックですね。
ウディそれを信じてしまったのです。

モンタナ州から、ネブラスカ州のリンカーンまで歩いて、
100万ドルを受け取りに行こうとしていたのです。
次男のデイビッド(ウィル・フォーテ)と妻のケイト・グラント(ジューン・スキッブ)が、
「インチキで騙されているんだ」いくらと言い聞かせても、
ウディは頑として受け付けない、廃車同然の車を修理してでも出かけようとします。


心優しい次男のデイビッドは、結婚を渋る彼女、経営しているオーディオ店も思わしくなく、
頑固一徹に信じ込み、思い詰める父に付き添って、無駄だと分かりながらも、
ネブラスカまで連れて行く心境になるのです。

父子の道中記・ロードムービーの始まりです。
映画はこここから、滑稽で、切なくて、絶妙の情愛が胸に迫ります。
途中、父が結婚し自動車工場を共同経営していた田舎町の故郷に寄ります。
ケイトとテレビキャスターの長男のロス・グラント(ボブ・オデンカーク)もやって来ます。

100万ドルを手にするウディをめぐって
親族縁者、幼馴染み、共同経営者、父の結婚前の彼女らが登場して、さまざまな人間模様が展開されます。
両親の意外な過去も知り、一家のヒストリーロードとも重なってきます。

ウディは騙されていることを知った町の嘲笑を背に、
二人は目的地・手紙の発信されたリンカーンに向かいます。

果たして100万ドルの結末は、……映画館でどうぞ。
アレクサンダー・ペイン監督の腕の見せ所です。
観る人を幸福な気持にさせてくれます。

100万ドルを手にしたら一番に欲しかったトラックのハンドルを握るのはウディ、
荷台には空気乾燥機(これは二番目に欲しかった)を乗せ、
嘲笑された故郷の町のメーンストリートを意気揚々と走り去っていくのでした。

この映画の素晴らしいのは、演技なのか地なのか、認知症なのか頑固なのか、
圧倒的な老人の存在感を演じたウディ(ブルース・ダーン)に尽きるでしょう。
妻を演じたケイト・グラント(ジューン・スキッブ)の故郷の町での仕切りは見事なものでした。
モノトーンのシネマスコープでアメリカ中西部の風景が心を落ち着かせてくれます。
とてもいい映画です。

スペイン版の白雪姫、映画「ブランカニエベス」 黒白なる妖艶

2014-01-08 10:02:05 | 劇場映画

モノトーン画の絵本をめくるように美しい。
セリフなしサイレントで短いテロップだけ。
代わりにすべては音楽が物語ってくれます。


スペイン版の白雪姫、映画「ブランカニエベス」
ディズニーリゾートのシネマイクスピアリで観ました。
「ブランカニエベス」とはスペイン語で「白雪姫」のことです。
そう、あのグリム童話の7人の小人の「白雪姫」とスペイン文化の闘牛とをコラボ、
黒白(こくびゃく)とサイレントで表現したファンタジーです。



映画はこの物語をモチーフに、時代は1920年代のスペイン。
セビージャの闘牛場から始まります。
最高の闘牛士として、スペイン全土に名声を博している、
アントニオ・ビヤルク(ダニエル・ヒメネス・カチョ)が華麗な技で喝采を浴びていました。
スタンドには出産間近い妻も観戦しています。
夫は妻に闘牛士の誇りの帽子を投げて贈りました‥‥が‥‥

最後の巨牛との戦いで「止めの剣」を構えたとき、
スタンド最前席にいたカメラマンがフラッシュランプを高く上げます。
ビヤルクはわずかに目線を巨牛から離してしまいます。背後に巨牛の角が迫っていました。
ビヤルクは半死状態で病院に担ぎ込まれます。
そして産気づいた妻は女の子を産んで死んでしまうのでした。
女の子はカルメンシータ(ソフィア・オリア)と名づけられた、祖母の家で育てられます。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
以下、映画『ブランカニエベス』公式サイトによるストーリーです。



天才闘牛士の血を引く美しき少女、人は彼女を白雪姫「ブランカニエベス」と呼んだ。
――これは、誰もみたことのない物語

天才闘牛士の娘カルメン。
彼女が生まれると同時に母は亡くなり、父は意地悪な継母と再婚。
カルメンは邪悪な継母に虐げられる幼少期を過ごす。
ある日、継母の策略で命を奪われかけた彼女は、
「こびと闘牛士団」の小人たちに救われ、
「白雪姫(ブランカニエベス)」という名で、
彼らとともに見世物巡業の旅にでる。
女性闘牛士としての才能が開花したカルメンは、

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


美しく成長したカルメン(マカレナ・ガルシア)は純白のマタドール姿で、
父が倒れたセビージャの闘牛場に立っています。
父ゆずりの華麗なテクニックで巨牛と対峙します。
父と同じ「最後の止め」の構えに入ったとき、
スタンでは闘牛場として信じられない奇跡が起きたのです。
そして、スタンドには継母のエンカルナ(マルベル・ベルドゥ)も居ました。



さあ、あとはグリム童話の思い出してください。
そして、続きは映画館で見てください。
恋する小人闘牛士、妬む小人闘牛士も居ましたが、
なかな7人目が見つかりませんでした。



この映画はチラシによると、
スペイン版アカデミー賞と呼ばれる第27回ゴヤ賞では最多10部門を制覇。
第60回サン・セバスチャン国際映画祭では審査員特別賞。
最優秀女優賞のW受賞を果たし、
第85回アカデミー賞の外国語映画賞のスペイン代表作に選出、
主要映画賞50部門以上受賞した映画となっています。
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映画・タイピスト「スカートを履いた戦士」

2013-10-21 20:49:19 | 劇場映画

キュートな、デボラ・フランソワにうっとり。
フランス映画「タイピスト」観てきました。公式サイト

5年前に観た「譜めくりの女」のデボラ・フランソワは、冷たい理知的な暗い女でした。
今回の「タイピスト」では、
「現代のオードリー・ヘプバーン」と評されるヒロインを演じました。
あまりの美しい変貌ぶりに別人ではないか思うほどでした。





映画は1950年代のフランスを舞台に、
タイプライター早打ちの世界大会に挑む、ヒロインの奮闘と恋の物語です。

当時のパリっ子たちの憧れの職業は「秘書」でした。
保険会社の代理店の秘書役募集に大勢のパリっ子が詰めかけ、面接を待っています。
さすがパリっ子、みな流行のファッションで身を包んでおしゃれです。
現今の日本大学生の就活服の無個性ぶりが哀れですね。



面接を待つ列の中に田舎娘のローズ・パンフィル(デボラ・フランソワ)がいます。
彼女の夢は憧れの秘書役として世界を飛び歩くことです。
保険代理店経営者のルイ・エシャール(ロマン・デュリス)は、
彼女を秘書役としては不合格としますが、
一本指でタイプの早打ちをやって見せた才能に注目し採用を決めました。

採用の条件はタイプの早打ち世界チャンピオンになることでした。
世界大会目指してルイとローズによる二人三脚の猛特訓が始まります。
果たして結果は如何にです。ストーリーはこれだけです。



しかしこの映画の魅力は「タイピストの早打ち」と、
50年代のフランス・パリのファッションに浸れることです。
実在した早打ち大会の模様、指さばきや用紙交換の早いこと、
迫力のタイプ早打ち競技会のエキサイティングな場面はスポーツ大会のようです。



また、50年代の流行パリ・ファッション、町並み、クルマ、パーティや恋模様など、
当時の情景をていねいにに再現して、レトロな気分にさせてくれます。
ローズが競技会のたびに装うファッションの華麗さ、
キュートで気品に満ちた美しさ。



恋とともに輝きをましていくローズの可愛さと輝きと。
まさに「現代のオードリー・ヘプバーン」です。



とにかく観て楽しい映画です。女性には必見です。
爺の観た日、台風26号の去った16日、
舞浜のシネマイクスピアリのスクリーンでは20人足らずの観客のうち男性は爺一人のようでした。
これでフランス映画を3連続して観たことになりました。



ベルギー人女優・デボラ・フランソワの出演映画は多くない。
2008年に公開された「譜めくりの女(2006制作、フランス)」を5年前にシネスイッチ銀座で観ました。
「譜めくりの女」のストイックな罠

この映画のデボラ・フランソワは表情のない女優でした。
かつて、自らのピアノの才能を破壊した、
ブルジョアジー家族に復讐をするクールな役を演じていました。
敏腕弁護士と有名ピアニスト夫妻、一人息子の家庭の世話役に入り、
寡黙でストイックで、硬質な無表情で、決して笑顔など見せない役でした。

劇場映画はいいですね。
ひと時を豊かにしてくれます。

ジャンヌ・モローが凄い――映画「クロワッサンで朝食を」

2013-09-25 11:16:09 | 劇場映画

「エストニアで母を看取ったばかりのアンヌに、
パリでの家政婦の仕事が舞い込む。
悲しみを振り切るように、憧れのパリへ旅立つアンヌ。
しかし、彼女を待ち受けていたのは、
高級アパルトマンに独りで暮らす、毒舌で気難しい老婦人フリーダだった。
フリーダはおいしいクロワッサンの買い方も知らないアンヌを、冷たく追い返そうとする。
アンヌを雇ったのは、近くでカフェを経営するステファンで、
フリーダは家政婦など求めてはいなかったのだ。
だが、遠い昔エストニアから出てきたフリーダはアンヌに、
かつての自分を重ね、少しずつ心を開いていく。
やがてアンヌは、フリーダの孤独な生活の秘密を知るのだが──。」



孤独で気難しい老女・フリーダを演じるのは、フランス映画界の至宝、85歳のジャンヌ・モロー。
アンヌを演じるのは、エストニアの個性派女優ライネ・マギ。ジャンヌに「彼女は、まさに発見です」と言わしめたという。
オフィシャルサイト「作品紹介」から>
原題「Une Estonienne a Paris」



映画はエストニアの街。暗い雪の夜道から始まります。
そして主舞台はパリの高級アパルトマンに移ります。
そこにはエトルリア出身でありながら、
超気難しい金持ちのパリジェンヌ老女(ジャンヌ・もロー)が住んでいます。



ジャンヌ・モローと言えば、爺にとっては伝説の大女優です。
学生時代、新宿の伊勢丹前にあった「京王名画座」で、
ヌーべル・バーグ全盛期のイタリア映画「道」「ひまわり」、
フランス映画の「現金に手を出すな」「死刑台のエレベーター」
「危険な関係」「雨のしのび逢い」など、
ルイ・マル、トリュフォー監督の「モロー映画」を毎週のように見ていたものです。
いま思えば、爺には映画しかなかった時代でした。



若いジャンヌ・モローは美しい、きつい怖い感じの顔で、
あまり笑顔になることはなかったように思います。
半世紀を超えて85歳になっても主演を張る大女優。
端正な顔貌も年を摂るとこうなるのかという、貫禄と凄みはさすがです。
そのモローがお洒落して、怖い目でにらみ、頑固で暴君のような演技は圧巻です。



その怖いフリーダの許に、
家政婦としてエストニアからやってきたアンヌ(ライネ・マギ)がいいですね。
「家政婦を頼んだ覚えなどない」というフリーダのけんもほろろのあしらいに戸惑い。
スーパーで買ってきたクロワッサンを投げつける。コーヒーカップ打ち付ける。
その度にアンヌは戸惑いの表情で立ち尽くす。
その表情が、なんとまあ(突然淀川調に)いいですね。困った人だという思いと、
その孤独な姿への愛しさと。



アンヌにとっても、
故郷での肉親の喪失と寂寥さが身に染む思いが重なるのでした。
若いころからあこがれていたパリの暮らしでしたが、
しかし日々はほろ苦く孤独に耐え、寂しさを夜のパリ見物で紛らす。
やがて、ブーツとズボンだったアンヌがミニスカートで待ち歩きをするようになります。
さあ、フリーダとアンヌの関係は、どんな事件があったのでしょうか。



映画にはもう一人、重要な登場人物が絡みます。
アンヌをスカウトし空港に迎えに出た、
カフェを経営するステファン(パトリック・ピノー)です。
フリーダを癒してやれるのはこの男です。
ストーリーの大部分はこの三人で終始します。



老境のセックスについてもフリーダから、あからさまに発しられ、
アンヌ「私は愛した人としかしません」。
フリーダには、奔放だったセックスの思い出は、
85歳のいまも重要な要素なのでした。

7月20日から公開された「クロワッサンで 朝食を」、
メディアでもいろいろ紹介され、特に中高年の女性から支持され、
大変な興行成績を上げているという。
この時期になると広い劇場でしたが、さすが満席とはならず、
かなりの空席がありました。



はじめて行ったシネマタウンで映画を見ました。
舞浜の東京ディズニーリゾートのシネマイクスピアリ。
舞浜駅からチケット売り場まで、
爺にはまばゆいおとぎの国のような空間が続いていました。
順路を聞くたびにさすがディズニーの施設らしく、
笑顔で「こんにちは」親切に教えてくれました。

<大統領の美味しい記憶を引き出す>映画「大統領の料理人」

2013-09-10 12:46:48 | 劇場映画

久しぶりに銀座のお気に入りの映画館「シネスイッチ銀座」にいって来ました。
フランスの大統領官邸・エリゼ宮殿で唯一、
大統領御用達しの料理人を勤めた伝説の女性シェフの物語、
「大統領の料理人」を見てきました。



スクリーンは南極海の荒波から始まりました。
陸に近づくとフランスの南極観測基地だと分かります。
一転、シーンはフランスの農村田舎のレストランに移動します。
黒塗りの政府公用車が到着、一人のおばちゃんみたいな凛とした女性、
オルタンス・ラボリ(カトリーヌ・フロ)が拉致されるように乗せられます。
政府公用車は猛スピードで大統領官邸に滑り込みます。
官邸の主はフランソワ・ミッテラン大統領です。
「大統領が貴女を専属の料理人に指名しました」



大統領官邸の厨房は男の伝統的世界です。
その中に「女性シェフによる大統領直属の厨房」が用意されていたのです。

男性厨房長はじめ男性スタッフも面白いはずがありません。
料理にケチをつけたり、しきたりや予算を盾に、
ことごとく嫌がらせ、意地悪をします。



オルタンスはそんなことにはめげません。
彼女にとって大事なことは、
「大統領に満足していただける料理を作ることだけ」です。
素材・味のすべてを自分のスタイルを守って譲りません。



ある日彼女は、ミッテラン大統領と直接話す機会ができました。
大統領の公式行事を狂わせるほどに話は弾み盛り上がるのです。
大統領の口から昔読んだ料理本の記憶から素材・レシピまで覚えているという話が飛び出しました。
「私の食べたい料理は素材の生きた田舎料理です」。



いつもパールのネックレスを上手に付けて、
決して白いシェフのスタイル服は着けない、
自分流のこだわりを譲らない。
「自分の味」を大統領に届けることに専念します。



何があっても自分のスタイルを貫くオルタンスと、
大統領との数少ないプライベートシーンが後半にあります。
芳醇なワインの香りに包まれた二人だけの夜の厨房、
料理を作る人、それを食する人が味を通して、
分かり合える豊穣な時間を醸していました。

映画は男ばかりいる南極観測所の厨房と、
エリゼ宮の厨房シーンが入れ代わりで進行します。
オルタンスがなぜ、南極大陸にいるのでしょうか―――
それは映画を見てください。



この映画は、
食通で知られたフランソワ・ミッテラン大統領のプライベート・シェフを2年間務めた、
大統領官邸史上唯一の女性料理人・ダニエル・デルプシュさんの実話に基づく物語だということです。

それにしてもフランス料理におけるトリュフへのこだわりが凄いです。
トリュフ(西洋松露、せいようしょうろ)って、たかがキノコじゃないの、
言ってみれば植物のカビでしょう。爺は食したことがないです。
多分死ぬまで口にすることはないでしょう。
秋ですね。
今年のマツタケはどんな具合なんでしょうね。
トリュフよりマツタケが食べたい爺でした。



久しぶりの「シネスイッチ銀座」でしたが、
1時からの回が満員で3時からの席を予約しました。
この回も満席でした。
7日の土曜日から封切りで3日目ということもあったのでしょうが、
これほど満員の席で映画鑑賞したのは何年ぶりになるか記憶がありませんね。
皆さん東京近郷近在から足代払ってきたと思われます。
私と同じように映評を見てきたのでしょう。
映評を書く人は責任が重いです。

不可能を可能にした、完全無農薬・無肥料「奇跡のりんご」

2013-07-17 11:20:08 | 劇場映画

映画「奇跡のりんご」を観ました。公式サイト
りんごの故郷、青森・津軽・岩木山の風景画が美しい。



りんごは実って売れるまでに、10回前後の消毒をしなければなりません。
傷のない美しいりんごほど消毒が大切です。
うどんこ病、赤星病やアブラ虫を予防するためで、手遅れになると、
あっという間に葉が黄変色し、実はいびつになってしまう。
全国生産2位県のりんご農家で育った「たにしの爺」には体験的に分かります。



今では使用禁止になっている、
硫酸銅と生石灰で調剤するボルドー液のや怖いパラチオン系の消毒剤を、
樹木と樹木の間を、ホースを引っ張り回しながら手繰ります。
ときには消毒液を被ることもありました。

映画は青森・津軽の岩木山の麓でりんご栽培の若夫婦の物語です。
実在のモデルもいる実話でもあります。



高校を出て東京でサラリーマンをしていた主人公の木村秋則(阿部サダヲ)は、
帰郷した際に見合いを勧められる。
相手は高校時代から好きだった初恋の木村美栄子(菅野美穂)だった。
機械ものが好きで、メカに憧れて農業を馬鹿にしていた秋則だったが、
大りんご農家の一人娘美栄子との結婚に乗り換えてしまう。
夫婦でりんごの消毒に奔走する日々が始まった。





しかし、
消毒作業のあった日は、必ず美栄子の身体に変調が起きた。
皮膚はただれ潰瘍が出来ていた。そして美栄子は身ごもっていた。

秋則は子育ての本を買いに本屋に出かけた。
偶然にも「無農薬農法」の本を手にする。
愛する美栄子の苦悩を救うために消毒をしない、「無農薬りんご栽培」を決意する。

もともと研究熱心な秋則は農薬の代わりに、酢や重曹液の散布を試みながら、
絶対不可能といわれている「無農薬りんご栽培」の研究に没頭する。
研究というより「憑依かれて」しまう。
義父から受け継いだりんご園は荒れ果て、
枝には無視や毛虫がびっしり取付いている。



花も実も付かず、葉は枯れ落ち、木も枯れていく。
同業者から奇人扱い、お金もコメもなくなり、りんご園は差し押さえられる。
妻の美栄子はそんな秋則を理解し、極貧の生活を支える。
3人の娘たちも健気に、
「父ちゃんの作ったりんご」食べたいと作文に書いていた。

りんごが成らなくなってから、11年が過ぎていた。
長女の病気、義父の痴呆症、家族全員の支えが崩れ始め、
一家は絶望のときを迎えていた。
秋則は一本、一本りんごの木に「ゴメンね」と謝り、
岩木山の山中に死に場所を探しに分け入っていく‥‥



妻・美栄子役の菅野美穂が好演です。3人の娘の母になって、
夫・秋則を見守る健気に明るく、そして哀しく、演技が実にいいです。
義父・木村征治役の山崎努も素晴らしい。
寡黙ながら、娘と婿を信じて、支援するため全財産を失う。、
痴呆症の果て最後に信じていたものがあった。



原作は「奇跡のリンゴ 『絶対不可能』を覆した農家・木村秋則の記録」(石川拓治著/幻冬舎文庫刊)。
近く続編ともいえる「ドキュメンタリー いのちの林檎」も封切りされます。

トム・クルーズ「オブリビオン」地球に残されたたった一人の男

2013-06-30 05:19:42 | 劇場映画

6月も今日で終わりですね。
今年もあと半分しか残されていない。

梅雨空が開けて、三四日蒸し暑い陽射しです。
梅雨明けには、もう一雨ありそうと予報は伝えています。
トム・クルーズの映画「オブリビオン」を観ました。
いつもは観る作品を決めてシアターに行くのですが、
今回はたまたま時間があったので寄ってみました。
上映時間に合ったのがこのトム・クルーズの「オブリビオン」



トムの映画は「ミッションⅢ」以来、しばらく観ていないので、
まあ、いいかと思い、まったく予備知識なしでチケットを買いました。
巨大スクリーンに広い客席には10人を超すか超さないかの観客でした。

まったく何も知らないで観たこともあってか、
記憶なのか、現実なのか、時系列に惑わされながら、
最後まで混乱状態で観ていました。



近未来の2077年。エイリアンの襲撃を受けた地球。
時間が戻ったり、先へ飛び越したのか。
現実なのか四次元空間なのか。
時間列と次元間が記憶の中と現実を行ったり出たり。



あのモーガン・フリーマンが地底に住んでいたり、
とにかく整理が付かないまま長いエンドローグ。
「オブビリオン」oblivionとは[忘れられている状態」「忘却」ということだという(英語)。
観終わって分かるキーワードがこの題名だったのでしょうか。



1000メートル上空に設定されたスカイタワーという超空間に、
美女と二人で勤務、地球と水プラントの監視と管理を任務としているトム。

ある日、古い宇宙船が不時着する。



以下は、公式HPサイトで紹介しているあらすじストリーです。

何故、彼は人類のいない地球に残されたのか――。
2077年、エイリアンの襲撃を受け、地球は全壊、生き残った人類は、他の惑星へ移住を果たすが、
ジャック(トム・クルーズ)は荒廃した地球に残り、パトロール機バルブシックを駆り、
高度1000メートルの上空から地空を監視している。



ある日、ジャックは墜落した宇宙船で眠る美女ジュリア(オルガ・キュリレンコ)を発見する。
目を覚まし彼女は、なぜか逢ったことのないジャックの名を口にした。
彼女に不思議な結びつきを感じながら、次第にあらゆる現実に疑問を抱くようになっていくジャック。
そして、二人に隠された「真実」は謎の男ビーチ(モーガン・フリーマン)によって明かされようとしていた――。
人類のいない地球に残されたジャックと、突然現れたジュリアの織り成す切ないラブストーリーが誕生した。
(映画の「公式サイト」のストーリーから)

爺の一言、謎解きは映画館で。
映画は、ひと時を酔わせてくれます。

映画「アンナ・カレーニナ」主演は世界の美貌キーラ・ナイトレイ

2013-05-22 12:11:20 | 劇場映画



政府高官と18歳で結婚、閉じられた愛の生活だったアンナ・カレーニナ、
貴公子・青年将校ヴロンスキーと出会う。
拒みつつもアンナは、ヴロンスキーの凛然さに抗しがたく恋に落ちる。
社交界のスキャンダルとして知れ渡る。

「夫からのお願いだ」「神に誓った絆を大切にしよう」
「私を想うなら平穏を返して」
「平穏などない」「苦痛か至上の幸福か」

青年将校ヴロンスキーの一途な激しさ、
初めての恋の激情に身をゆだねるアンナ。
白銀の雪の中をSLの動輪がモスクワ駅に入ってくる。
紅く染まる雪‥‥‥。


[ニュース]英女優キーラ・ナイトレイが5月4日、
1年前に婚約した英ロックバンド「クラクソンズ」のキーボード&ボーカル担当のジェームズ・ライトンと、
南仏マザンで結婚式を挙げたことが明らかになった。



久しぶりのブログ更新になりました。
第85回アカデミー賞衣装デザイン賞受賞。キーラ・ナイトレイ主演の映画「アンナ・カレーニナ」を観ました。



監督はジョー・ライト。キーラ・ナイトレイに初めて会ったのは、
同監督の「プライドと偏見」でした。
その後「ある公爵夫人の生涯」、そして「アンナ・カレーニナ」
ナイトレイほど、美貌と気品が貴族夫人に似合う女優はいない。
今回のアンナ役は破滅の貴婦人を華麗さと凄艶さを魅せました。



帝政ロシア時代の華やかな社交舞踏会、
アンナが閉じ込めていた愛を解放するダンスシーンが圧倒的に素晴らしい。。
身を包む豪華で優雅なアカデミー賞受賞の衣装デザイン。



スクリーン全体が劇場を思わせる美術や衣装、踊りと音楽、さらに絢爛たる貴族の館など、
絵巻物としても見応えは十分でした。



ストーリーと原作はご存知、ロシアの文豪トルストイの代表作「アンナ・カレーニナ」。
これまでも何回か映画にはなっています。



舞台は19世紀末のロシア、サンクトペテルブルグ。
政府高官カレーニン(ジュード・ロウ)の妻にして、社交界の花として人々から注目されるアンナ・カレーニナ(キーラ・ナイトレイ)。
しかし彼女は、夫との愛なき結婚に空虚な日々を過ごしていました。



離婚の危機に陥った兄夫婦の関係を修復させようとモスクワへ向かう。
駅に降り立ったアンナは、青年将校ヴロンスキー(アーロン・テイラー=ジョンソン)と出会う。
そこから運命の車輪は動き出す。2時間10分。

スピルバーグ監督の映画「リンカーン」を観て来ました

2013-04-25 16:48:54 | 劇場映画

19世紀1800年代の中期・南北戦争――アメリカは血まみれの時代だった。
犠牲者60万人、21世紀の今日まで、
アメリカの戦争史上最大の戦死者を記録している。



難解な前半と緊迫の後半、最後になぜか涙する。
いまも、アメリカが世界に示し続ける正義のあり方、
民主主義の原点を知ることができる映画です。





もしこの映画を鑑賞するなら―-―
<アメリカ合衆国憲法修正第13条>第1節・奴隷制もしくは自発的でない隷属は、アメリカ合衆国内およびその法が及ぶ如何なる場所でも、存在してはならない。ただし犯罪者であって関連する者が正当と認めた場合の罰とする時を除く。
第2節・議会はこの修正条項を適切な法律によって実行させる権限を有する。
――この条項を記憶に留めて行きましょう。



映画は、リンカーン大統領の「平等の絶対的正義」か、
奴隷制度のままの「南北戦争停戦」連邦維持か――
この修正第13条の下院表決を実現させるまでの、苦悩を描くものです。



安部総理も憲法改正手続き条項の第96条改正を目指していますが、
総理の正義性と民主主義の信念は如何なものか?

公式サイト
サイトには幾つかのインタビューが付いています。
これを全部見れば映画の背景が良く分かります。
リンカーンを演じたダニエル・デイ=ルイスは本年度アカデミー賞で主演男優賞、
映画としては美術賞に輝いています。



静かに心が充ちてくる 映画「世界にひとつのプレイブック」

2013-04-11 10:41:40 | 劇場映画

第85回アカデミー賞では作品賞を含む8部門でノミネートされ、
ジェニファー・ローレンスが主演女優賞受賞の話題作。世界にひとつのプレイブックを観てきました。



妻の浮気現場を見てしまったパット(ブラッドリー・クーパー)、
心のバランスを崩して病院送りになったが、
一時退所して実家で両親と暮らしながら、リハビリをしている。
それでも時折り、去ってしまって接近禁止中の元妻ニッキ(ブレア・ビー)への思いで正気を失う、
そしてパットの父親(ロバート・デ・ニーロ)はアメフトの熱狂的ファンで、
試合結果を掛けの対象にしている。
しかも異常な縁起担ぎでテレビの見物席にも拘っている。
そんなときパットは、ジョギング中に、近所に住むティファニー(ジェニファー・ローレンス)と出会う。







ティファニーもまた、夫を交通事故で亡くして心が切れてしまい、
セックス依存症になり会社の男全員とヤッて首になっていた。
心に傷を負っている二人が立ち直る「作戦図」は、
ダンスコンテストへの出場を決意したことだった。
アメフトの賭けで全財産を失った父もま、たこのコンテストに起死回生の賭けをしたのだった。
果たして結果はいかに‥‥‥‥‥‥‥‥


映画を見ながら、眠くなることはめったにないたにしの爺
とにかく目が落ちそうになるのをこらえるのに大変でした。
「プレイブック」とは、アメフトチームのフォーメーションの図解ノートという意味だということです。

出演者 ブラッドレイ・クーパー
ジェニファー・ローレンス
ロバート・デ・ニーロ
ジャッキー・ウィーヴァー
クリス・タッカー

ジャンゴ 繋がれざる者 タランティーノ監督、怒涛のエンターテインメント

2013-03-10 21:07:53 | 劇場映画

1日封切りの映画「ジャンゴ 繋がれざる者」を見てきました。
第85回米アカデミー賞脚本賞、助演男優賞――公式サイト

ときは南北戦争直前の1858年。
黒人の奴隷(映画ではニガーと頻繁に叫ばれる)が家畜以下に扱い売買される。
舞台は奴隷制度たけなわのアメリカ南部。鎖に繋がれ徒歩で輸送されていた黒人奴隷ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)は、
突如現れた元歯科医の賞金稼ぎシュルツ(クリストフ・ヴァルツ)によって解放される。

アカデミー賞助演男優賞をしている、このドイツ国籍の元歯科医、
善人なのか悪党なのかよくわからない。
とにかく黒人の奴隷を痛めつける南部の白人を容赦しない。



ジャンゴと組んで賞金稼ぎの稼業に精を出す。
行方不明になっているジャンゴの妻ブルームヒルダ(ケリー・ワシントン)を探す旅に出る。
売られた妻がミシシッピーの広大な農園主カルヴィン・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)のもとで酷使されていることを突き止める……
残忍で血を見るのが大好きな大農場主をデカプリオが演じる。
二人は救出すべく乗り込んだが……



異才と言われているというクエンティン・タランティーノ監督の映画を初めて見たが、
とにかく凄まじくて、荒っぽい。緊迫シーンが続く。

 たにしの爺、これから見たい映画のリスト。
 「世界にひとつのプレイブック」
アカデミー賞主演女優賞のジェニファー・ローレンスにあいさつ。



 「リンカーン」スピルバーグ監督。アカデミー賞美術賞。



 「アンナ・カレーニナ」美貌のキーラ・ナイトレイに再会。



 「船を編む」2012年本屋大賞。三浦しをんの原作本が楽しかった。