たにしのアブク 風綴り

87歳になります。独り徘徊と追慕の日々は永く切ない。

ゼロ・ダーク・サーティ オサマ・ビンラディンを追い詰める CIA女性分析官

2013-03-03 07:38:32 | 劇場映画

テロリストとその一味への狂気にも似た拷問と殺戮。
ロンドンを始め世界各地で起きる凄まじい自爆テロ。
銃器音がテロ現場の如くに2時間40分ノンストップ。

映画「ゼロ・ダーク・サーティ」を見てきました。
第85回アカデミー賞の「作品賞」など5部門にノミネートされて、
「音響編集賞」のみの受賞になりました。
製作は、監督キャスリン・ビグロー、脚本マーク・ボール。
この製作コンビはイラクを舞台とした、
アメリカ軍の爆弾処理班を描いた戦争アクション映画、「ハート・ロッカー」で、
第82回アカデミー賞「作品賞」を始め6部門で受賞している。。

今回のアカデミー賞「作品賞」は「アルゴ」が選ばれました。
イランで1979年11月4日に起きたアメリカ大使館人質事件、
CIAによる救出作戦を描くサスペンスドラマだという。
CIA捜査官が主人公になる映画が2本も同時にノミネートされたわけです。

この「ゼロ・ダーク・サーティ」は国際テロ組織、
アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン捕縛・暗殺作戦の裏側を明かしたもの。
事実なのか、フィクションなのか。



2011年の3・11から10年、CIAパキスタン支局。
映画は冒頭、映像なしに貿易センタービルが崩れて、
恐怖に怯える悲鳴のみが、スクリーンから聞こえる。

凄まじい拷問のシーンが執拗に映し出される。
若くて優秀な女性分析官のマヤが派遣される。
(ジェシカ・チャステイン、「女優主演賞にノミネート」)
マヤはやがて、ビンラディンに繋がると思われる連絡員を割り出す。

電話の通信記録を追跡、アジトを特定するが、……
果たしてそこにビンラディンは潜伏しているか否か……
CIA上層部は確率をめぐって割れた。
マヤは100%だと確信していたが……



「ゼロ・ダーク・サーティ」公式サイト

一片のパン。二本の燭台。――映画「レ・ミゼラブル」 19年の監獄と過酷な強制労働の果てに~

2012-12-28 18:05:40 | 劇場映画

世界で最も愛されているミュージカルの最高峰「レ・ミゼラブル」。その舞台の興奮と感動を、超一級のキャストとスタッフの手によって丸ごとスクリーンに封じ込めて完全映画化。――映画「レ・ミゼラブル」公式サイトのIntroductionから
ユニバーサル・ピクチャー、配給・東宝東和、上映時間:158分
公式サイト

原作・あらすじは誰もが知っている。
文豪ビクトル・ユゴーが1862年に発表した歴史的名作、
19世紀フランスを舞台に展開する『レ・ミゼラブル』(Les Miserables)です。

主人公のジャン・バルジャンは、
一片のパンを盗んだ罪で19年間投獄されて、囚人ナンバーを持つ男。
仮釈放中、教会で再び盗みを働くが、二本の銀の燭台まで与えて、
その罪を見逃し赦してくれた司教の慈悲の真心に触れ、
身も心も生まれ変わろうと決意。実業家として成功し、
マドレーヌと名前を変え、市長の地位に上り詰める。
そんなバルジャンを執拗に追いかけるジャベール警視がいた。



見終わって「感動いっぱい」
舞台でのミュージカルは見ていませんが、映画ならではの見処はいっぱいあります。
一人ひとりの表情がアップで映し出され、怒り、悲しみ、希望など葛藤の苦悩が、
その人物の内面が歌と一体となって、スクリーン一杯に広がります。

主役ジャン・バルジャンを演じたヒュー・ジャックマンも素晴らしかったが、
ジャン・バルジャンを追い詰め、そしてジャンに救われたことにより、
信じてきた法の正義が最後に崩れるジャベール警視、
ラッセル・クロウ(写真右)の「法か愛か」葛藤の迫力が胸を打つ。



そして、盗人、スリの極悪両親の娘で、
市民革命に身を挺したサマンサ・バークス(写真左)のエポニーヌの悲しすぎる葛藤。
学生革命運動に身を投じた良家の一人息子、エディ・レッドメインのマリウス・ポンメルシーをひたむきに恋する。

しかし、アマンダ・サイフリッドのコゼットに一目惚れのマリウス、
屋敷の鉄格子を挟んで愛を歌い上げるコゼットとマリウス、
物陰からエポニーヌもマリウスへの愛の歌を歌う。
高揚した恋する二人と、片思いの切ないエポニーヌの気持ちがひとつの画面に溶け合って、
それぞれの愛の歌が一つになる。
マリウスを救うために、エポニーヌは政府軍の銃弾の楯に飛び込む。
そしてマリウスも……ジャンは、コゼットは、……

そのほかのキャストは、
コゼットの里親であるテナルディエ夫妻には、ヘレナ・ボナム=カーターとサシャ・バロン・コーエン。
コゼットの母ファンテーヌにはアン・ハサウェイ。
全員一流のミュージカルスターで、すべてのセリフは歌となって張り裂けそうな想いを熱唱する。

すべての歌を実際に歌いながら、生で収録する撮影方法が取られていて、
役者の感情のほとばしりがそのまま歌声となって溢れ出し、
ミュージカルならではの醍醐味を堪能させてくれる。

詳細な製作過程などは、以下のウィキペディアで知ることができます。
「レ・ミゼラブル_(2012年の映画)」

こんなニュースもあります。
18日にイイノホールで行われた『レ・ミゼラブル』特別チャリティー試写会に、
皇太子さまがご臨席され主演のヒュー・ジャックマン、トム・フーパー監督、
プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュが緊急来日し、
皇太子さまと懇談されたという。

学生時代、帰郷する前、
東京新宿の武蔵野館で最新映画を見て、夜行列車に乗る。
歳末の映画三昧は数十年前の記憶につながります。

映画「戦火の馬」試写会に行ってきました

2012-02-25 10:39:01 | 劇場映画

まもなく、発生から1年を迎える東日本大震災。被災者ならびに被災地支援として、
3月21日に創刊140周年を迎えた毎日新聞社が24日に開催した、
スティーブン・スピルバーグ監督の『戦火の馬』(配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン)の,
チャリティー試写会に参加し、協力してきました。
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第一次世界大戦下のイギリスを舞台に繰り広げられる人間ドラマが、
一頭の馬を通して描かれています。
この度の震災により日本中で生きる希望や絆、つながりの大切さが見直されているなか、
『戦火の馬』は、多くの方々から共感を得られる作品です。

当日は会場内に募金箱を設置しますので、チャリティーにご協力ください。
義援金は毎日新聞社会事業団を通じ、日本赤十字社に寄付いたします。
◆会場:丸の内ピカデリー2
◆主催:毎日新聞社広告局
◆協力:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
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たにしの爺、東京・有楽町に来たのは何年ぶりだろうか。
メトロの階段を上がると、有名な宝くじの売り場の脇。丸の内ピカデリーはマリオンの9階にある。
さすがに洗練された映画劇場となっています。

上映時間2時間27分。
1頭の美しい馬に導かれる人間の繋がりと希望が
巨大スクリーンに感動と迫真のシーンが圧倒する。
CGを使わない実写だというから凄い。
数分続くエンドローグと共に流れる音楽がとても美しい。



この「戦火の馬」について、スティーブン・スピルバーグ監督自身が、
2月22日放送の「NHKクローズアップ現代」
に登場し~創造の秘密を語る~として、
国谷裕子キャスターと話していました。



スピルバーグ監督
「これは戦争映画ではなくラブストーリーなのです。
馬のジョーイは戦場で憎しみに満ちあふれている兵士たちの心を癒やす、休戦の旗のようなものです。
戦争という過酷な環境でも動物という存在がいることによって人々は、
政治やイデオロギー敵に対する憎しみを忘れることができる。
そういうことを伝えたかったんです。」

映画「ミラノ、愛に生きる」を 東急Bunkamuraで見て来た

2012-01-21 11:22:55 | 劇場映画

昨年の暮れにリニューアルオープンされた東京・渋谷の東急Bnkamuraに行って、ル・シネマで「ミラノ、愛に生きる」とザ・ミュージアムでは「フェルメールからのラブレター展」をはしごしてきました。
(1月20日、関東地方は雪が降っていて、施設内は比較的すいていました。)

ル・シネマは好きな映画館で年に数回は通います。
いつも質の高い佳品を上映しています。
興行ランクに登場するようなCGや3Dなど、家族ご一行が押しかける映画館とは違い、
落ち着いたロビーホール、トイレもきれいで清潔。行き届いた案内ガイドが気持いいです。
そして何よりもいいのは、場内の飲食は一切禁止なことです。



「ミラノ、愛に生きる」公式サイト

私の中に眠る「激情」がいま目覚める
わたしの「扉」がいまひらく
彼との情事が、閉ざした心と身体を解放する
許されない恋が招いた美しき悲劇

上の4行は予告編のコピーです。
映画はモノトーンのイタリア・ミラノの風景から始まる。
富豪の事業家・レッキ家、実力者の義父母、会社を継ぐことになった夫と長男。
冷静で美しい女主人エンマ(ティルダ・スウィントン)はロシア生まれ。
上流階級に馴染もうと努力していたが、何か距離感を感じていた。
そんなエンマをハウス・キーパーのイダ(マリア・バイアート)は気遣い見守っている。



息子のボートレース仲間でシェフのアントニオ(エドアルド・ガブリエリーニ)が作る料理を食べてエンマは恋に落ちる。
激しい情事を通して、押し殺していた自分を解放していくエンマ。
花の咲き乱れる自然の中で繰り広げるエロスの饗宴。
透明感に充ちたエンマのふるえる肌の香気感は、
パーティの饗宴で広げられるテーブルクロスと白磁の陶器の輝きにも重なる。

富豪一家の行く末は……
上映館の少ない映画です。

映画「源氏物語 千年の謎」解かれる十二単の衣擦れとあえぎ

2011-12-15 06:52:27 | 劇場映画

世界文学史上、最高峰の恋愛小説「源氏物語」。
その誕生の秘密に迫る、壮大な歴史エンタテイメント!!
絢爛豪華な平安王朝を舞台に描かれる、
<光源氏の華麗なる愛>と<作者紫式部の秘めた恋>。
同時進行する2つの愛の物語が明らかにする真相とは――
=================予告編のカバーコピーから
公式サイトhttp://www.genji-nazo.jp/index.html

源氏物語とその誕生を巡る秘話を描いた映画「源氏物語 千年の謎」
(毎日新聞社など製作委員会)が10日から公開されたので見てきました。
原作本は、高山由紀子の「源氏物語 千年の謎」 (角川文庫 上下)

権力者・藤原道長(東山紀之)は自分の娘・彰子(蓮佛美沙子)を
桐壺帝の一条天皇(榎木孝明)に嫁がせる。
さらに栄華を極めようと、紫式部(中谷美紀)を篭絡して関係を結び、
式部に物語を書くように命じる。



物語は…桐壺帝と側室・桐壺の更衣(真木よう子)の間に生まれた光源氏(生田斗真)は、
正妻に葵の上(多部未華子)を迎えながらも、
亡き母にうり二つの義母・藤壺(真木よう子)への恋慕の苦しさから、
六条御息所(田中麗奈)、夕顔(芦名星)らと奔放に愛を重ねていく。
豪華なセットや中宮や女官たちの衣装。十二単の衣擦れ、しゅるしゅる解かれる帯……
栄華を極めた平安絵巻が展開される。

そして映画には、物語の作者・紫式部が登場する。なぜ作者が物語に登場してくるのか。
自分の地位を不動のものにした道長。物語によって目的は達した。
しかし紫式部は物語を書き続ける。その秘密とは……

トルコ映画「蜂蜜」 癒されて、疲れ果てる

2011-08-20 09:54:07 | 劇場映画

幻想的な森の樹間に霧が流れている。
小枝のきしむ音。
梢の葉のそよぎ。
小鳥のさえずり。

落葉や枝を踏みしめる音がする。
蜂の羽音が一段と強まってくる。
ロバを連れた一人の男が現れる。
時の気配がまるで止まっている。
この映画には音楽が付いてない。




銀座テアトルシネマで観ました。
第60回ベルリン国際映画祭で「金熊賞」を獲得した、
トルコ映画「蜂蜜」
監督はトルコのセミフ・カプランオール。



トルコの森に暮らす親子の物語です。
父が蜂蜜を採って生計を立てています。
6歳のユスフ(ボラ・アルタシュ)は、
父・ヤクプ(エルダル・ベシクチオール)と一緒にいる時間が大好きです。
そんな二人を、寡黙な母親・ゼーラ(トゥリン・オゼン)は見守るばかりです。

ある日、森の蜜蜂が一斉にいなくなってしまった。
父が蜂蜜を採りに行ったまま帰ってこない。
話すのが苦手だったユスフは、学校の授業でも口をきかなくなります。



音楽もなく、極端に少ないセリフ、場面展開の唐突さ。
断片的に描かれる人の営み、暗示的なシーン。
森の静寂さを主題に、監督の映像的こだわり。

暗示的なストーリー、時間をつなぐ森の表情。
ユスフが巨木の幹に寄り掛かり、目を閉じる。



暗転するスクリーンに、
音もなくトルコ語のエンドローグが流れる。

イラクの現実 映画 「バビロンの陽光」を観てきました 

2011-07-10 07:57:19 | 劇場映画

暑い日が続いています。
気分は最低、身体はヘロヘロ。頭はデロデロ。
こんなときは気分転換に集中する時間が頓服剤になる。上京のついでに銀座に回った。
お気に入りの映画館が山野楽器店の裏側にある「シネスイッチ銀座」
フセイン後のイラクの映画として話題になっている、
イラク人監督・アルダラジーによる「バビロンの陽光」を上映している。

スクリーンは、
黄土色の荒涼とした岩のかけらが続く砂漠地帯。
尽かれたように、人が歩いてくる。
だんだん大きくなる。黒衣に身を包んでいるから女性だ。しかも老いている。
そして、元気な少年が現れる。長い縦笛を持っている。愛くるしい大きな目が印象的だ。

2003年にフセイン政権が崩壊して、3週間後のイラク北部クルド人地区、
ナシリヤ刑務所に父がいるという手がかりに、
12年前に徴用された息子を探す、年老いた母親と12歳の孫のふたり。

クルド語しか話せない祖母が息子を探す思いの深さ。
片言のアラビア語で祖母を助ける孫とのロードムービー。
祖母にはほとんど長いセリフはないし通じない。
叫ぶように言う孫の名前、アーメッドと、
クルド人虐殺を強要されたと告白した元兵士を
「人殺し」とののしる叫びだけ。



ヒッチハイクで破壊とガレキのバグダットへ。
いつ出るか来るか分からないバスを乗り継ぎ、
刑務所、収容所、病院、モスクを訪ねて巡る。
行く先ごとに息子の、そして父の形跡は薄れていく。

絶望的な状況を乗り越えて、過酷な旅の果てはバビロン。
砂漠の中に巨大な共同墓地。ブルドーザーで掘り起こす。
その度に、何十人もの黒衣で身を包んだ女性たちが棺に取りすがる。
祖母は遺体の前に座り込み「息子よ」と何度も愛撫を繰り返す。
孫は「おばあちゃん、おばあちゃん」と何度も呼びかけるが……。



「兵士」になりたいと言って祖母にしかられ、
やがて父のように音楽家になりたいと、
古都バビロンの空中庭園に憧れた少年の見たものは。

イラク出身のモハメド・アルダラジー監督。
故郷の現状を世界に発信したいと、全編をイラクでの現場撮影。
アムネスティ国際映画賞・平和映画賞を受賞。
慟哭ののラスト・シーンで訴えたものは……

アルダラジー監督、国土の荒廃を映したのではない。
ヒッチハイクで乗せたトラックの運転手。
タバコ売りの少年。虐殺に従事した元兵士。
それを最後に許した祖母。
国土はガレキでも、人の心まではガレキにっていなかった。

緊迫と感動の映画 岳 -ガク-

2011-05-14 20:03:31 | 劇場映画

ゴールデンウィークの後半から、全国上映されて、
興行成績で1位に出ている東宝映画・岳 -ガク-

「山で捨てちゃいけないものは? ゴミと‥‥」
壮大な3000メートル級の山岳を舞台にした、緊迫と感動の山岳救助劇。

本物の八方尾根、奥穂高岳、立山連峰、八ヶ岳など、四季の山岳を舞台に、
夏山の爽快さ、厳冬雪山の荘厳さと脅威。
死と直面する美しくも厳しい風景の数々と、
遭難者救助という迫真のドキドキ劇が、
大型スクリーンで堪能できます。

物語は、スーパーマン的な山岳救助ボランティアの島崎三歩(小栗旬)。
山仲間で長野県警の山岳救助隊隊長(佐々木蔵之介)が率いるメンバーに、
新人隊員として椎名久美(長澤まさみ)が配属される。

厳しい訓練に耐え、プロフェッショナルとして成長する久美と見守る三歩。
猛吹雪の中、結婚式を控えた父娘が遭難する、
圧巻の救出劇でクライマックスを迎える‥‥‥

ちなみに、たにしの爺の三男に36年前に付けた名は岳。
今は福岡に単身赴任で頑張っています。

バーレスク 年忘れにお勧め映画です

2010-12-31 08:39:57 | 劇場映画

とにかく歌が凄い、絶品の興奮ピクチャー。
バーレスク公式サイト

歌よし、ダンス良し、見事なパフォーマンス。
歳を忘れて全身の細胞も骨髄もリズムに揺れる。
この年末、最高の迫力の官能サウンドに酔った。
一年分の不快で嫌なことが吹っ飛んだ120分です。



歌姫、クリスティーナ・アギレラの映画初主演作。
そして、アカデミー女優のシェールが歌う。

官能的で、セクシーで、ゴージャスなショー。
ロスアンゼルスのクラブ「バーレスク」。
    見せそうで 見せない。
    見えそうで 見えない

そんなショーを垣間見て、魅せられてしまった、
田舎を飛び出してきた女の子アリ(クリスティーナ・アギレラ)、
なんとしてもダンサーになりたいと、涙ぐましい奮闘ぶり。



そんな彼女を引き上げたのが、
クラブ経営者のテス(シェール)だった。
グラミー賞女優・シェールの歌もまた魅力の歌声。
迫力のアリと一味違う、さすがの年期入りだ。

モヤモヤを吹き飛ばしたかったら、
迫力のアギレラのパフォーマンスと歌を聴こう。
きらびやかな衣装と美術フロア、華麗なショーの世界に浸れる。
官能ダンスと迫力サウンドに身を任せる映画館に行こう。

映画鑑賞で今年最後の更新になりました。
民主党、小沢一郎、菅政権、バラマキ、中国、……など、
アブクを吹かしたい事象は、山ほどありましたが、
ばかばかしくなって、やめました。
一年間、来ていただいた皆さんありがとう。
それでは、よいお年をお迎えください。


ジュリア・ロバーツ「食べて、祈って、恋をして」

2010-10-09 09:35:11 | 劇場映画

「悪人」を観るつもりで、シネマックスに入ったら、チケット売り場が混み合っていました。
隣席に人がいたり、ポップコーンやポテトチップの匂いをかぎながらの映画は、
真っ平ごめんの、たにしの爺。

「悪人」が混んでいるのか、他の「3D」が混んでいたのか、分からなかったので急遽、
ジュリア・ロバーツの「食べて、祈って、恋をして」を観ることに変更しました。



ジュリア・ロバーツといえば、「プリティ・ウーマン」「愛がこわれるとき」など、
主演女優賞はじめ映画賞の常連。また、日本に来たことがない有名女優の一人。
ところがこの8月、夫と一緒に自家用ジェットで来日し、この映画のプロモーションで記者会見にも臨んだ。
「日本は嫌いではない」とリップサービスも。



映画「食べて、祈って、恋をして」には原作本があることも知った。。
エリザベス・ギルバートの自伝的ベストセラー小説を、ジュリア・ロバーツ主演で映画化した人間ドラマ。
ジャーナリストとして活躍するヒロインが離婚と失恋を経て、自らを立て直すために一年間の自分探しの世界旅。

◆ニューヨーク
エリザベス(ジュリア・ロバーツ)は小説家でジャーナリスト。
平穏に、何不自由なくニューヨークで暮らすセレブ。

なんとまぁ(ここから突然、淀川さん調で)ベスは、
平穏な家庭生活を営んでいる自分を、許せなくなるんですね。
離婚を決意するんですね。(まぁ、なんと大胆ですね)
年下の男とつき合ってみても、満たされないんですね。

ロバーツのような美人が、
やりたいようにやって(いまどきの日本女性たちの憧れですね)、
それでも悩むなんて似合いませんね。(自分のことが判ってないんですね)

恋と人生に疲れ果てたエリザベスは一念発起。
仕事も恋も捨てて、(そんなことをする女性は日本には居ませんね)
一年間の自分探しの旅に出るんです。
さぁ、べスは自分を見つけることができたのでしょうか……。

実はべス、取材旅行でインドに行っているんですね。
そこで占い師に(まぁ、なんと)「貴女は2回結婚して2回離婚する」
なんて、予言を受けていたんですね。



◆イタリア
最初に訪れたのはイタリア。
イタリア語を習ったり、人生は「遊び」と「食べる」ことだという、イタリア式「快楽」を満喫する。
まあ、よく食べて飲んで、遊びまくること。イタ公は女には親切だ。
こんな自分探しだったら、一生探して居たくなりますね。



◆インド
次はインド。ヒンズー教の修行道場に滞在し「瞑想」するんです。
禁欲的な生活をする中で、自己の内面と向き合っていく、はずだったが、どうも身が入りません。
バツイチ男の懺悔など聞いたり、少しは内省的な気分になったと思ったら、バリ島に飛んじゃう。



◆インドネシアのバリ島
最後はバリ島。一年前に来たときに会った占い師の御託に従う。
旅の間は恋をしないと決めていたのだが……。ブラジルから来ていた、いい男の実業家に出会う。
この男さすがにブラジル野郎、豪華クルーザーと無人島オーナーを武器にべスを口説き落としてしまう。
自分探しどころか、リッチな男探しにお終わってしまうですね……ハイ、いいですね。

自分探しなんて、難しいことを考えるより、金持ちいい男を捜すほうが、女は幸せ・・・?
ハイ、さよなら、さよなら。

たにしの爺、もう一言。
まあ、ご都合主義の映画だけど、かなり女性層には評判がいいらしいです。
でも、爺世代の男からみれば、観光映画としての魅力が強かったですね。
ふんだんに食べられるイタ飯と快楽的イタ公、インドヨガと瞑想の時空間、バリ郊外の癒やしの風景。

それにしても、ジュリア・ロバーツの口は大きかったです。

ライアン・マーフィー監督。2時間20分。

映画「ボローニャの夕暮れ」を観て

2010-08-14 09:20:02 | 劇場映画

お盆休みは、やっぱり映画ってことで、
かねてから気になっていたイタリア映画の
「ボローニャの夕暮れ」を銀座シネパトスで観てきました。
今日が最終日ということで、初回から8分の入りのようです。
中高年の単独ご婦人が多いようです。

パンフレットの惹きコピーは……
「生きていくって、寄り道ばかり。

第二次世界大戦下のイタリア・ボローニャ。
ある家族の再生を通して綴られるのは、
ほろ苦くも温かい、人間そのもの。」



第2次世界大戦前夜のボローニャ、
高校の美術教師ミケーレ(シルヴィオ・オルランド)。
同じ高校に通う17歳の娘ジョヴァンナ(アルバ・ロルヴァケル)。
美しい母デリア(フランチェスカ・ネリ)の3人家族。
貧しくもつつましく幸せに暮らしていた。
 
引っ込み思案のジョヴァンナに、父は何くれとお節介をやく。
教師の役得でボーイフレンドにも取引をする。
そんな夫と娘に母の視線は冷たい。

パーティでは生き生きとダンスに興じる美しい母デリア。
見つめる夫と娘。突然、ジョヴァンナが狂乱状態に。
一家の悲劇の予兆の始まりだった。
ある日、ミケーレの勤める学校で女子生徒が殺害され……。
激しくなる戦争、イタリア・フアァシズムの嵐が市民を襲う……
一家の再生は……えっ、これでいいの、少し納得できないよ。

同じ17歳の女子高校生でも、イギリス映画「17歳の肖像」のヒロイン・ジェニー(オードリー・ヘプバーンの再来と言われているキャリー・マリガン)も同じように父親に溺愛されても、自己責任と自立心に満ちている。
それに比べ、この映画のヒロイン・ジョヴァンナは対照的だ。

観おわって一言。
何でこの映画が気になっていたのか、思い出せない。
きっと題名の「ボローニャの夕暮れ」に惹かれていたのでしょう。
ソフトなセピア色の画面で、内容は重く後を曳く映画です。



もう一言。ストーリーの展開と字幕のテンポが速すぎて、
なかなか集中できない2時間3分でした。
違う映画にすればよかった。



冷たい雨に撃て、約束の銃弾を

2010-07-30 22:07:00 | 劇場映画

ボスの指令「殺せ」と言われ、銃弾を撃ち込むだけの、
非情なキラー・マン(殺し屋)にも友情の絆があった。


マカオの高級住宅、料理を作る美しいフランス人の妻。
かわいい二人の娘が遊んでいる。中国人の夫が帰宅した。
一家の楽しい食卓風景になるはずだった。

突然ドアが爆破され、銃弾の雨に夫は蜂の巣に。
妻は子どもを庇いながら、銃撃の応酬戦になる。
3人組みの男が子どもに非情な銃弾を浴びせる。
血しぶきが飛び散る惨劇の跡。

高級ホテルの8階、3人組の男。
メイドから掠め取ったカードキーが差し込まれる。
室内では全裸の男女が行為の最中。激しい息遣い。
女の声が高潮に達っしたとき男の背中に銃弾数発。

部屋の前を通り過ぎる1人の男。
消音銃の音を微かに聞く。出てきた3人組と会う。
衿を立てた長身のヒゲ男、顔の傷もただ者でない。
4人は見つめあったまま。やがて何事もなく解散。

5月の封切りローショーで見る機会がなかった。
2009年香港・フランス合作映画
「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」を見てきた。
ジョニー・トー監督最新作――
世界が認めた”心で泣く映画”、孤高のハードボイルド・エンタテインメント――
予告編の惹き文句である。

フランスにレストランを持っている男・コステロ(ジョニー・アリディ)は、
最愛の娘・アイリーンと家族が何者かに惨殺されたことを知らされる。

3人の殺し屋たちと手を組み、娘の復讐を誓う。
彼もまた、凄腕の殺し屋だった過去を持つ身だ。
彼はかつて頭に銃弾を受けていた。
徐々に記憶を失い始めていた……。

映画は香港を舞台に、すさまじい銃器戦が展開される。
香港映画のカリスマ・ジョニー・トー監督が求めるのは、
銃器への賛美と銃撃戦のリアリティと様式美。

月夜のキャンプ場、雨中の非常階段、ゴミの集積場
銃弾の嵐、血煙、のけぞり跳ねる男たち。
マグナム弾の銃撃音が、館内を圧倒する。

同じボスの支配を受ける殺し屋対殺し屋。
死も辞さない殺し屋同士の固い絆。
非情な世界に生きる男たちの友情。
くわえタバコで銃弾に身をさらす。

殺し屋が、殺された身内の復讐に執念を燃やす。
復讐されるべきは、お前だと言いたいところ、だがしかし、
フランスから来て主演を張るジョニー・アリディ、
寡黙で、切なさが滲む、なんともいえない魅力だ。

たにしの爺に一言、言わしてもらえば……
これほどご都合主義に出来た映画はない。
細かいストーリーの整合性など何もない。

もう一言、
過去に傷を持ち、暗い影を落とし、孤独に耐え、
心根はナイーブ……そうです。
あの市川雷蔵、鶴田浩二、高倉健なのです。
日本の任侠映画路線を張ったあの男たち。
腹にさらしを巻いて、長ドスを差しこみ、
義理と仁義に生きる、白刃の殺陣の方が、。
銃撃戦より、スタイリッシュではなかろうか。

さらに一言
この映画、封切られたときは上映館がすくなく、
足を運べなく見損なっていたが先日、上京した際、
東銀座から歩いていたら、目の前に映画村というか、
面白い一帯があった。銀座シネパトス

ご覧のように、新旧の名画が並んでいるではないか。
まさに、シネマパラダイスですね。

映画館を出ると強烈な太陽にクラッツとなりました。
隣りにあった、
おかきの「播磨屋本店」のフリーカフェで涼をとって、
しばし心地よい時間を過ごしました。

4丁目交差点の「銀座三越は」改装閉店前で、
入る人も少なく、店内はガランとしていました。
掘り出し物があるか、覗いてみようと思いましたが、
時間がなく、メトロの階段を下りていきました。


スペイン悲願 決勝進出なる

2010-07-08 05:43:35 | 劇場映画


スペインがドイツに1-0で押し勝った。
2年前、2008年の欧州選手権と同じ顔ぶれとなった、
2010ワールドカップ(W杯)準決勝は、
スペインが悲願のファイナル戦へ進出した。

両軍、ゴール前の怒涛の攻防はまさに圧巻だった。結局、
スペイン、後半28分、コーナーキックから、ブジョルのヘッデイングであげた1点を守りきった。

これまで、無敵艦隊といわれながら、W杯の頂点には届かなかったスペイン。
同じく、初優勝目指すオランダと決勝戦となった。
すさまじい戦いになるだろう。


映画「孤高のメス」患者を救う 信念のメスが走る

2010-06-10 07:57:41 | 劇場映画

海辺の地方都市にある市民病院――
医療のあるべき姿とは?病院とは?医師とは?
映画「孤高のメス」を観てきました。

その病院は大学からの派遣医師に頼り切る、無責任さが蔓延していた。
難しい患者の受け入れはお断り、
手術の途中でも手に負えなくなれば、
患部にガーゼを詰めて大学病院へたらい回し。



看護師の浪子(夏川結衣)は、
男の子を育てながら、母子家庭を支えている、
そんな病院のやり方に不満でありながら、
日常の現場に馴らされていた。

映画は、疲れて帰ってから書き続けた浪子の日記が、
ストーリーのベースになって展開する。

この病院に外科医の当麻鉄彦(堤真一)が赴任してくる。

アメリカの大学で臓器移植など高度医療を身につけた彼は、
この病院を支配する怠惰で無責任な医師たちに失望する。
彼の信条は“患者を救う”がすべて。
目の前の患者を助けるのに、最善の全精力を傾ける。
出来ないといって、しり込みするチームメンバーを指導しながら、
細心の注意で、緻密で、丁寧で、正確に、困難な手術を成し遂げる。
看護師の浪子が尊敬の眼差しに変っていく。



医師を志す人間の、当然のあるべき姿だ(と、たにしの爺は思う)。
このような医師が「孤高」とされるような病院現場が、
現代日本の医療状況となっているのか……

案の定、映画では、前から居付いている「怠惰な、無責任医師たち」は、
この赴任医師が許せない。
「売名行為だ」だとマスコミに垂れ込んだりする。

 たにしの爺は、「孤高の医師」に診てもらいたい。
ところが、この4月、当市の市民総合病院で許せない若い医師に出会った。
訴えたいほどの、怒りを覚えた一言がある。

患者(消費者)は、最良の商品(医療)を求めて、病院(マーケット)に行く。
適切な求めたい商品(診立て、治療)が欲しいのだ。
ところが、提供された商品(医療技術)がいいものであるか、
悪いものであるか、購入者には分からない。

支払った代金は1万6千円。
クーリングオフの対象にならないだろうか。


「17歳の肖像」少女の恋はオックスフォード大学への門

2010-05-22 06:52:53 | 劇場映画
        
               教科書だけでは人生は学べない。
            教科書だけの人生にも救われる。

イギリス映画「17歳の肖像」を東京・日比谷の映画館で観て来ました。
原題は「An Education」教育です。



2009年のアカデミー賞の作品賞、主演女優賞、脚色賞にノミネートされた「17歳の肖像」。
主演のキャリー・マリガンは、オードリー・ヘプバーンの再来と、
イギリスのメディア発で話題になった映画です。



1961年。英国ロンドンの郊外。高校に通う16歳のジェニー(キャリー・マリガン)は、
オックスフォード大学を目指す優等生で、教師からも期待の星。
ラテン語だけが少し苦手だった。
チェロのレッスンに通ったりしているが退屈な日々だった。

ある日、レッスンの帰り雨に降られてバス停で雨宿り。
チェロケースが雨に濡れている。そこへ、
1台の高級車が止まって運転席の窓が開いた。
「きみのチェロが心配だ」退屈な日々が一変した。
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あとは、ぜひ映画館で観て下さい。きっと、何かが心に残るでしょう。



ケンブリッジ大学とオックスフォード大学の国。
伝統的なイギリスの街並みが美しい。
学校、教会、社交パーティ、オークション風景が映像として楽しめる。



「ヘプバーンの再来」と、アカデミー賞の前評判でも話題になっていた、
キャリー・マリガン(Carey Mulligan)。
スクリーンで拝見して見ると、オードリーとは違うなー、
あの清楚さと品格と愛らしさには及ばない。



大人と少女の恋といえば、オードリーとクーパーの、
「昼下がりの情事」が記憶にあります。古いですね。
この映画でもチェロがヒロインの小道具として使われていた。
チェロと美少女は絵になるようですね。
 たにしの爺、キャリー・マリガンとは、スクリーンでは2度目の対面だということを知りました。イギリス映画『プライドと偏見』で5人姉妹の4女の役で女優デビューしている。
この映画も、イギリスの美しい風景とともに、5人姉妹の結婚願望を描いた佳品だったと記憶しています。
長女役のキーラ・ナイトレイの美しさに見とれていて、姉妹の中にキャリー・マリガンは知らなかった。

「プライドと偏見」英国のお城舞踏会に吹く恋風

 それにしても日比谷で映画を観たのは何年ぶりだろうか。
日比谷のみゆき座に行くのは、大人のデートコースの定番であった時代もあった。
 たにしの爺には無縁であったが。