幻想的な森の樹間に霧が流れている。
梢の葉のそよぎ。
小鳥のさえずり。
落葉や枝を踏みしめる音がする。
蜂の羽音が一段と強まってくる。
ロバを連れた一人の男が現れる。
時の気配がまるで止まっている。
この映画には音楽が付いてない。
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銀座テアトルシネマで観ました。
第60回ベルリン国際映画祭で「金熊賞」を獲得した、
トルコ映画「蜂蜜」
監督はトルコのセミフ・カプランオール。
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トルコの森に暮らす親子の物語です。
父が蜂蜜を採って生計を立てています。
6歳のユスフ(ボラ・アルタシュ)は、
父・ヤクプ(エルダル・ベシクチオール)と一緒にいる時間が大好きです。
そんな二人を、寡黙な母親・ゼーラ(トゥリン・オゼン)は見守るばかりです。
ある日、森の蜜蜂が一斉にいなくなってしまった。
父が蜂蜜を採りに行ったまま帰ってこない。
話すのが苦手だったユスフは、学校の授業でも口をきかなくなります。
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音楽もなく、極端に少ないセリフ、場面展開の唐突さ。
断片的に描かれる人の営み、暗示的なシーン。
森の静寂さを主題に、監督の映像的こだわり。
暗示的なストーリー、時間をつなぐ森の表情。
ユスフが巨木の幹に寄り掛かり、目を閉じる。
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暗転するスクリーンに、
音もなくトルコ語のエンドローグが流れる。