映画「奇跡のりんご」を観ました。公式サイト
りんごの故郷、青森・津軽・岩木山の風景画が美しい。
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りんごは実って売れるまでに、10回前後の消毒をしなければなりません。
傷のない美しいりんごほど消毒が大切です。
うどんこ病、赤星病やアブラ虫を予防するためで、手遅れになると、
あっという間に葉が黄変色し、実はいびつになってしまう。
全国生産2位県のりんご農家で育った「たにしの爺」には体験的に分かります。
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今では使用禁止になっている、
硫酸銅と生石灰で調剤するボルドー液のや怖いパラチオン系の消毒剤を、
樹木と樹木の間を、ホースを引っ張り回しながら手繰ります。
ときには消毒液を被ることもありました。
映画は青森・津軽の岩木山の麓でりんご栽培の若夫婦の物語です。
実在のモデルもいる実話でもあります。
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高校を出て東京でサラリーマンをしていた主人公の木村秋則(阿部サダヲ)は、
帰郷した際に見合いを勧められる。
相手は高校時代から好きだった初恋の木村美栄子(菅野美穂)だった。
機械ものが好きで、メカに憧れて農業を馬鹿にしていた秋則だったが、
大りんご農家の一人娘美栄子との結婚に乗り換えてしまう。
夫婦でりんごの消毒に奔走する日々が始まった。
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しかし、
消毒作業のあった日は、必ず美栄子の身体に変調が起きた。
皮膚はただれ潰瘍が出来ていた。そして美栄子は身ごもっていた。
秋則は子育ての本を買いに本屋に出かけた。
偶然にも「無農薬農法」の本を手にする。
愛する美栄子の苦悩を救うために消毒をしない、「無農薬りんご栽培」を決意する。
もともと研究熱心な秋則は農薬の代わりに、酢や重曹液の散布を試みながら、
絶対不可能といわれている「無農薬りんご栽培」の研究に没頭する。
研究というより「憑依かれて」しまう。
義父から受け継いだりんご園は荒れ果て、
枝には無視や毛虫がびっしり取付いている。
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花も実も付かず、葉は枯れ落ち、木も枯れていく。
同業者から奇人扱い、お金もコメもなくなり、りんご園は差し押さえられる。
妻の美栄子はそんな秋則を理解し、極貧の生活を支える。
3人の娘たちも健気に、
「父ちゃんの作ったりんご」食べたいと作文に書いていた。
りんごが成らなくなってから、11年が過ぎていた。
長女の病気、義父の痴呆症、家族全員の支えが崩れ始め、
一家は絶望のときを迎えていた。
秋則は一本、一本りんごの木に「ゴメンね」と謝り、
岩木山の山中に死に場所を探しに分け入っていく‥‥
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妻・美栄子役の菅野美穂が好演です。3人の娘の母になって、
夫・秋則を見守る健気に明るく、そして哀しく、演技が実にいいです。
義父・木村征治役の山崎努も素晴らしい。
寡黙ながら、娘と婿を信じて、支援するため全財産を失う。、
痴呆症の果て最後に信じていたものがあった。
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原作は「奇跡のリンゴ 『絶対不可能』を覆した農家・木村秋則の記録」(石川拓治著/幻冬舎文庫刊)。
近く続編ともいえる「ドキュメンタリー いのちの林檎」も封切りされます。