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うまいビール6 覇者から大名へ

2016-09-18 11:26:21 | Weblog

写真は大理市内の市場。2004年の様子。後ろには大理ビールの水をはぐくむ山々が見える。

【自伝で鬱屈を紛らわせる】
「大理ビール」の拡大に心血を注いできた楊が、業績が順調に拡大している中で買収に応じたのは、いくつか理由があります。その一つには、楊が最初に手がけた改革のうち、品質を高めるために選んだビール酵母がカールスバーグ集団のものだったことです。

しかし最大の理由は、一向に拡大しない雲南のビール市場のなか、次々と押し寄せる省外のビッグブランドの中で、これ以上、独自では商機を見いだせなくなったのでしょう。

今振り返ると、私が飲んでいた大理ビールはカールスバーグに傘下入り前後だったわけですが、雲南料理にあう、さっぱりとした味で、しかも安く、コクもそこそこある、という雲南で手に入る中では最高のビールでした。

さて、2003年に傘下入りしカールスバーグ雲南区主席としての地位を得た楊ですが、心にたまる鬱屈をはき出すかのように4年の歳月をかけて今年2月に『大理啤酒那些事(大理ビールでの出来事)』(雲南民族出版社、2016年)という本を出版しました。

そこにはどれほど経営に腐心し、どれほど成功したか、そしてなぜ「洋打工」(海外企業の雇われ人)になったか、といった大理ビールとともに歩んだ40年近い歳月が切々と綴られています。

理系的発想法で経営の壁を乗り越え、突破し続ける10年の歳月のなかで、独力で次の壁を越える気力はうせてしまった。そして戦国時代の覇者ではなく、大名の位に就いたのです。
(つづく)
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