ジプニー。その内部。椅子に座って手を伸ばしたところに棒がある。これを持たないと体が固定されない。ラッシュ時には隣の人とくっつくほどに混み、後ろのデッキに人が立っている状態になる。地元に暮らす若い男性の先生は、「一番の特等席は後ろのデッキにぶら下がるところ。風が常に吹いているので涼しいし、人と密着しないで済むんだ!」と笑顔で語っていた。
【出発】
私が呼びかけた人は韓国人と台湾人だったので、連絡はほぼLINEになりました。細かなやりとりが多かったので、宿題よりも、英語の勉強になったかもしれません。
最初にこの企画をはじめた人は日本の女性でした。彼女が参加する集団レッスンの時に、週末の予定というトークを展開しているなかで、アイランドホッピングに行きたい、と言ったら、先生が「僕の義弟がそういうことができるよ」という流れになったのだとか。
2週間後の土曜日に、と決められ、8人以上ならいくら、10人以上ならさらに安く、とビジネストークが展開され、彼女は安さを求めて、学校内で声をかける作業を開始したのでした。
そして当日。水着とサングラス、バスタオルに日焼け止めクリームを用意し、集合場所の宿舎のロビーに行きました。
ほんとうは7時半集合だったのですが、前夜に8時に変更がありました。すぐに私が誘った韓国の人に変更の旨を口頭で知らせ、他の人にも伝えるようにお願いしました。OK,とジェスチャーがあり、ほっとしていたのですが、翌日8時にロビーに行くと、すでに私が誘った人5人がソファに座っていました。全員、すでに水着(韓国の人が多く、手足の先までぴっちり着るスエットスーツタイプ)スタイルで、ぐったりとしています。30分集合時間がずれたことがうまく伝わっていなかったのでした。やはりLINEで連絡すればよかった、と後悔。お互いに英語のスキルがあいまいなので、会話だけだとどうしても間違いが生じるのです。
さらに我々を海まで乗せていってくれるはずの車の到着が遅れ、出発は8時半すぎとなりました。
ロビーにやってきた車はジプニー。地元の乗り合いバスです。
といっても普通のバスではなく、もともとジープを改造したものからはじまり、いまでは小型トラックを改造してつくる簡易なのりもの。車体は派手で屋根は付いているのですが、窓にガラスはないので、雨の日には乗客全員でビニールを持ってしのぎます。
公道にきまった乗り場はなく、手を上げたら止まるだけ。行き先は最終目的地が車体に書いてあったり、地元の人がわかる数字で表示されていたり、と地元の人に乗り方などを聞いておかないと、簡単にはのれません。でも電車やバスのないセブ島の人たちとっては、とても大事な日常の足です。
いつかは乗ってみたいと思っていたのですが、それが今日でなくても、と思うのも正直な気持ち。ジンベイザメツアーでは岬まで1時間以上かかったと聞いていました。なのに今回のコーディネーターである先生と先生の義弟はこれで船の待つ港まで行く、とうれしそうに説明します。
なんと! 海を見る前に疲れ切りそう。案の定、韓国の友人は「オーノー」と、嘆いていました。
とにかく乗り込んで出発。すると予想以上の揺れで、さっそく頭をゴツンと屋根にぶつけてしまいました。それを見てみなが笑う、笑う。さあ、こうなったらテンションを上げていこう。
車内は直射日光ではないにしろ暑いし、土ぼこりはすごいし、笑うしかない、と覚悟を決めたところで、いつも見ているセブンイレブンを左に曲がると、ものの数分で波止場に到着しました。ここが到着地なのだとか。
ここなら歩いても10分くらい。ジプニーを雇う意味があったのだろうか?