写真は、石屏郊外。天日で豆腐皮を乾燥させている。ほんのり大豆の香りがした。
【豆腐皮】
湯葉(ゆば)といえば、豆乳を温めて、表面に浮いてきたタンパク質の膜を掬いあげたものだが、現代中国の湯葉は豪快だ。というか、湯葉とは見た目は同じでも、じつは別物。中国では「豆腐皮」と呼ばれている。
雲南から広西チワン族自治区へと抜ける山間の小さな町・八宝で見かけたのだが、水につけてふやかし、皮を取り去った大豆を機械に取り付けられた円筒のステンレス製のバケツに入れる。それを機械があっという間にドロドロにすると、何らかの凝固剤を加えておぼろ豆腐のようにすると、それが圧延機のようなところから黄色い膜状の形で伸ばされて出てくるのだ。これらの作業は複合型の5メートル足らずの機械一台で事足りていた。
「豆腐皮」は庶民の味方。乾燥させたものは日持ちもよい。雲南大学の留学生に聞くと、一食5元で自炊するには、欠かせない素材なのだという。
牛肉の2倍のタンパク質があり、細く切って炒めたり、スープに入れたりすれば、栄養価も腹持ちもばっちりだ。それだけに、日本の湯葉のようにすくい上げて作られるモノだと思っていた私には衝撃だった。
ゆばの起源は、中国のはずだ。そのように日本の料理書には書いてある。現代の中国の料理書にも、豆腐皮の作り方は、豆乳を温めて膜をすくい上げたもの、とある。(深圳市金版文化発展有限公司主編『百変豆腐』、陝西旅游出版社、2004年11月他)
なのに現実は違っていた。
【豆腐皮機】
インターネットで調べてみると、豆腐皮機は、河北省製のものが、じつに簡単に買えることがわかった。どうやら今、中国で作られる豆腐皮の大半がこの作り方となっているようだ。
石屏県の豆腐皮も、特殊な現地の水を使う以外は同様の荒っぽい作り方をして大量生産されているものもあるが、日本の湯葉と同じようにつくられているところもあった。
夕暮れ時に、散歩をしていると、木の柵に干された豆腐皮が夕日に照らされて、やわらかい黄金色に輝いていた。
ちなみに『雲南伝統食品大全』によると、豆腐皮に限って見ると1983年と84年も、石屏県の国営企業が画期的な技術改良を行って近代化を施し、徐々に生産量を増やした、と記録されている。結果、85年に50トンだったものが、2000年代前半には800トンの大台に載るまでになったという。(以前、書いたが石屏でつくられる豆腐は全体で2500トン前後、生産されている。)
この近代化により、大豆から、廃棄される部分が極端に減る、というメリットもあるのだという。しかしこれでいいのだろうか。
(つづく)
【豆腐皮】
湯葉(ゆば)といえば、豆乳を温めて、表面に浮いてきたタンパク質の膜を掬いあげたものだが、現代中国の湯葉は豪快だ。というか、湯葉とは見た目は同じでも、じつは別物。中国では「豆腐皮」と呼ばれている。
雲南から広西チワン族自治区へと抜ける山間の小さな町・八宝で見かけたのだが、水につけてふやかし、皮を取り去った大豆を機械に取り付けられた円筒のステンレス製のバケツに入れる。それを機械があっという間にドロドロにすると、何らかの凝固剤を加えておぼろ豆腐のようにすると、それが圧延機のようなところから黄色い膜状の形で伸ばされて出てくるのだ。これらの作業は複合型の5メートル足らずの機械一台で事足りていた。
「豆腐皮」は庶民の味方。乾燥させたものは日持ちもよい。雲南大学の留学生に聞くと、一食5元で自炊するには、欠かせない素材なのだという。
牛肉の2倍のタンパク質があり、細く切って炒めたり、スープに入れたりすれば、栄養価も腹持ちもばっちりだ。それだけに、日本の湯葉のようにすくい上げて作られるモノだと思っていた私には衝撃だった。
ゆばの起源は、中国のはずだ。そのように日本の料理書には書いてある。現代の中国の料理書にも、豆腐皮の作り方は、豆乳を温めて膜をすくい上げたもの、とある。(深圳市金版文化発展有限公司主編『百変豆腐』、陝西旅游出版社、2004年11月他)
なのに現実は違っていた。
【豆腐皮機】
インターネットで調べてみると、豆腐皮機は、河北省製のものが、じつに簡単に買えることがわかった。どうやら今、中国で作られる豆腐皮の大半がこの作り方となっているようだ。
石屏県の豆腐皮も、特殊な現地の水を使う以外は同様の荒っぽい作り方をして大量生産されているものもあるが、日本の湯葉と同じようにつくられているところもあった。
夕暮れ時に、散歩をしていると、木の柵に干された豆腐皮が夕日に照らされて、やわらかい黄金色に輝いていた。
ちなみに『雲南伝統食品大全』によると、豆腐皮に限って見ると1983年と84年も、石屏県の国営企業が画期的な技術改良を行って近代化を施し、徐々に生産量を増やした、と記録されている。結果、85年に50トンだったものが、2000年代前半には800トンの大台に載るまでになったという。(以前、書いたが石屏でつくられる豆腐は全体で2500トン前後、生産されている。)
この近代化により、大豆から、廃棄される部分が極端に減る、というメリットもあるのだという。しかしこれでいいのだろうか。
(つづく)