写真はボホール島出身の語学学校の先生の母手作りの伝統菓子・ブッドブッド。ココナツとチョコからくる素朴な甘さにバナナの葉の香り。母親が働く長女のために手作りしたおやつは、ふんわりとしていて癒しの味がした。
【もち米にココナッツ】
普段は語学学校の宿舎にいて、甘いものといえばフルーツで満足していた分、リゾート地にきて目が向いたのが甘いお菓子です。いずれでもホテルの朝食ラウンジに置かれていたものですが、ここで一挙にご紹介。
じつはこのような伝統菓子は語学学校でもたまに見かけていました。先生方のおやつとして。少し早めに個人レッスンの部屋に入ると、担当の女性の先生は不在。隣の部屋からキャイキャイと騒ぐ声が聞こえてきました。
ふと見ると、自宅から学校にお勤めに来られている先生が、お母さんの手づくりのお菓子をタッパウェアに詰めて、他の先生方に振る舞っていたのです。遠くの地域からセブの来られる先生が多いので、とても喜ばれていました。
私にも分けてくれました。ココナッツとチョコレートをもち粉に混ぜて、バナナの葉で巻いて蒸したもの。バナナの葉とココナッツのよい香りがします。ブッドブッド(budbud)といい、セブでよく作るおやつとのこと。上記以外のものは一切入れない、と人差し指を上に向けて、うれしそうに話してくれました。
ただセブの喫茶店などで出てくるブッドブッドは、砂糖で甘味を出すのが一般的でチョコレートは入れていないようでした。各家庭ごとの秘伝のレシピがあるのでしょう。
ともかくフィリピンの伝統菓子の基本はもち米にココナッツの風味でそこに蒸すときに葉を巻いて風味を移したり、といったバリエーションもの。唇でかみ切れるやわらかさでムチムチ、ツルンとした食感。素朴でやさしい味がします。
(和菓子も基本はもち米にあんこのバリエーションといってしまえる、フィリピンのお菓子もそんな感じ。)
【ボホールのホテルのラウンジにて】
PASTILLAS(パスティリャス)

水牛のミルクと砂糖を原料としたブルカン州(マニラのある島・ルソン島北部)のお菓子。やわらかすぎる求肥の感じ。ミルクの味わいがすごい。写真のものは「ストロベリーパスティリャス」。英語では「soft milk candy」と書いてありました。
ESPASOL(エスパソル)


ココナツミルク、砂糖、バニラ、もち米粉でつくるラグーナ州(ルソン島北部)のお菓子。炒った米粉をまぶします。求肥のココナツミルク味のよう。
CASSAVA CAKE(キャッサバケーキ)

キャッサバはタピオカの原料となる芋。すりおろしたキャッサバに砂糖、ココナツミルクを混ぜて、蒸す。このホテルでは上にチーズがかけてあった。紅茶にあう。
MAJA UBE(マハウベ)

紫ヤム芋の粉、ココナツミルク、コンデンスミルク、コーンスターチを火にかけて混ぜる。紫色が鮮やかで、ふんわりとした甘味もあって、ムチムチした食感。さつまいもが好きなら間違いなく好きになるはず。
BIKO(ビーコ)

もち米粉、ココナツミルク、ブラウンシュガーを混ぜて蒸す。
PALITAW(パリタウ)

もち米粉、ココナツミルクとココナツの果肉を混ぜて蒸す。上にゴマを振りかけることもある。ココナツファイバー(果肉)好きの私には、一番の好みの味だった。
(つづく)