写真は、先週に引き続き、雲南民族村の芸をする象。象自体が喜んでいるような、にこやかな表情に引き込まれる。飼い方やしつけがよほどいいのだろう。
雲南民族村では、現在も象の芸を、かわらず公開しているので、お時間のあるかたはどうぞ。
【象と政治】
ちなみに雲南民族村の象をラオスから招いたのは、雲南民族村と中国保利西南公司が連合して行ったものです、と雲南民族村の説明書などに書かれています。
さて突然、出てきた中国保利西南公司。芸をする象を買い付ける専門会社なのでしょうか?
そこで他に象を買い付けた実績があるか動物園などのサイトを中心に調べて見ましたが、そのような文面は見当たりません。
では、中国初、芸をする象を輸入するというのは、どういうことなのでしょうか?
そもそも、どの会社が買い付けた象なのか、観客にとってはどうでもいい情報なのに、この企業と連合で招いた、と誇らしげに民族村の紹介に、わざわざ書くのもヘンな話です。
こうして深く調べていくと、どうやらとてつもない企業だということがわかってきました。
ウィキペディアでは、定義はただ「中国保利集団公司は中国を拠点とする企業グループである」の一行のみが書かれているだけ。
実際には中国全土の不動産投資などを中心に手がける巨大グループで、発足は1993年。保利科技有限公司として鉄や石炭などを取り扱う会社として、中国国務院自らが作った会社でした。現在、不動産、骨董品や絵画などのオークション、軍事関係などをも手がけています。
たとえば町の都市化が加速した時に生まれるインフラも整わず、新規の道路なども通らない「城中村」の立ち退きや開発など際には大いに力を発揮します。(http://house.people.com.cn/n/2015/1110/c164220-27796493.html)
ちなみに幹部陣は小平の娘婿、小平の娘、元国家主席・楊尚昆の娘婿、元元帥・葉剣英の子息と大物2世がずらり。英語名は「POLY」。「保利」公司は利益を保つと読めますが、象の買い付け専門業者どころではなく、まさに開発の象徴のような会社です。
さらに雲南民族村も、なかなか不思議な成り立ちのあるところです。
まず、立地する昆明滇池国家旅游度假区は、いまから23年前の1992年に国務院が12カ所指定した国家旅游度假区の一つ。
海外からの接客に耐えうる地区を開発するのが目的で、華僑が海外からの投資を呼び込みやすくする意図もありました。
後に世界遺産に登録される福建省の武夷山や杭州(中心地の西湖が登録されている)などが同時に指定されています。内陸部では滇池だけが登録されました。(中国語版ウィキペディアよりhttps://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E6%97%85%E6%B8%B8%E5%BA%A6%E5%81%87%E5%8C%BA)
一方、旅遊景区の指定は国家旅遊局が行います。
5Aが最高ランクで2007年から指定が始まりました。雲南では世界遺産の麗江などが、5A。滇池は4Aなので、こちらはそこそこ、といったところ。
つまり、これら登録状況を見ても、中国の改革開放初期段階の1990年代に国務院が雲南民族村にいかに力を入れていたかがよくわかります。
象の買い付けはつまり、会社名すら定かでないころに、開発目的もあって国家旅遊区を12カ所選定し、国内初のイベントとして雲南民族村に「象の学校卒」の芸の達者な象を招いた、国内初の事業の一つだったのです。
象と政治はなにか関係があるのでしょうか?
(つづく)
※来週の更新はお休みします。日本もちらほら桜が咲き始めました。ただ、まだまだ日陰は底冷えすらします。自律神経の調節が難しい季節ですので、腰や肩を痛めたり、風邪など、引きやすくなります。どうぞ、ご自愛ください。
雲南民族村では、現在も象の芸を、かわらず公開しているので、お時間のあるかたはどうぞ。
【象と政治】
ちなみに雲南民族村の象をラオスから招いたのは、雲南民族村と中国保利西南公司が連合して行ったものです、と雲南民族村の説明書などに書かれています。
さて突然、出てきた中国保利西南公司。芸をする象を買い付ける専門会社なのでしょうか?
そこで他に象を買い付けた実績があるか動物園などのサイトを中心に調べて見ましたが、そのような文面は見当たりません。
では、中国初、芸をする象を輸入するというのは、どういうことなのでしょうか?
そもそも、どの会社が買い付けた象なのか、観客にとってはどうでもいい情報なのに、この企業と連合で招いた、と誇らしげに民族村の紹介に、わざわざ書くのもヘンな話です。
こうして深く調べていくと、どうやらとてつもない企業だということがわかってきました。
ウィキペディアでは、定義はただ「中国保利集団公司は中国を拠点とする企業グループである」の一行のみが書かれているだけ。
実際には中国全土の不動産投資などを中心に手がける巨大グループで、発足は1993年。保利科技有限公司として鉄や石炭などを取り扱う会社として、中国国務院自らが作った会社でした。現在、不動産、骨董品や絵画などのオークション、軍事関係などをも手がけています。
たとえば町の都市化が加速した時に生まれるインフラも整わず、新規の道路なども通らない「城中村」の立ち退きや開発など際には大いに力を発揮します。(http://house.people.com.cn/n/2015/1110/c164220-27796493.html)
ちなみに幹部陣は小平の娘婿、小平の娘、元国家主席・楊尚昆の娘婿、元元帥・葉剣英の子息と大物2世がずらり。英語名は「POLY」。「保利」公司は利益を保つと読めますが、象の買い付け専門業者どころではなく、まさに開発の象徴のような会社です。
さらに雲南民族村も、なかなか不思議な成り立ちのあるところです。
まず、立地する昆明滇池国家旅游度假区は、いまから23年前の1992年に国務院が12カ所指定した国家旅游度假区の一つ。
海外からの接客に耐えうる地区を開発するのが目的で、華僑が海外からの投資を呼び込みやすくする意図もありました。
後に世界遺産に登録される福建省の武夷山や杭州(中心地の西湖が登録されている)などが同時に指定されています。内陸部では滇池だけが登録されました。(中国語版ウィキペディアよりhttps://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E6%97%85%E6%B8%B8%E5%BA%A6%E5%81%87%E5%8C%BA)
一方、旅遊景区の指定は国家旅遊局が行います。
5Aが最高ランクで2007年から指定が始まりました。雲南では世界遺産の麗江などが、5A。滇池は4Aなので、こちらはそこそこ、といったところ。
つまり、これら登録状況を見ても、中国の改革開放初期段階の1990年代に国務院が雲南民族村にいかに力を入れていたかがよくわかります。
象の買い付けはつまり、会社名すら定かでないころに、開発目的もあって国家旅遊区を12カ所選定し、国内初のイベントとして雲南民族村に「象の学校卒」の芸の達者な象を招いた、国内初の事業の一つだったのです。
象と政治はなにか関係があるのでしょうか?
(つづく)
※来週の更新はお休みします。日本もちらほら桜が咲き始めました。ただ、まだまだ日陰は底冷えすらします。自律神経の調節が難しい季節ですので、腰や肩を痛めたり、風邪など、引きやすくなります。どうぞ、ご自愛ください。