軽自動車ぐらいの大きさの乗り合いバスの後ろに次々とぶら下がる子ども達。屋根の上にも。
買い物がえりのおばちゃんから子どもまで乗りあう正規のバスなのだが、島を最北から最南端まで移動するには半日以上、このバスに乗らなければならない。ちなみに、これ以外に島を移動できる公共の交通機関はない。
とくにツテのない旅行者の場合は愛媛県ほどの大きさのニアス島のみならず、スマトラ島においても、このようなバスにぎゅうぎゅうづめになりながら移動することを覚悟しなければならない。おそらく中国の旅より数十倍苛酷になることが容易に予想される。なんだかんだいっても、中国は公共の乗り物がずいぶんとすみずみまで整備されているなあと、いまさらながら感じ入った。
(2014年8月ニアスにて)
【冷えない!】
日本も世界も異常気象続きで、数年前までは考えられなかったような災害が起きています。先日、NHKスペシャル『巨大災害MEGA DISASTER地球大変動の衝撃』で、インドネシアの海水温度の上昇を引き金に、異常気象が起きたかのような説明がされていました。これと関連があるかはわかりませんが、インドネシアではここ10年の間に人の手による大破壊が起きていました。
じゃかるた新聞から転載された日本アセアンセンターからのニュースによると、原生林の破壊では史上最悪のペースといわれたブラジルはアマゾン以上のスピードで森林破壊が進んでいるとのこと。2000年から2012年の間に602万ヘクタールの面積の原生林が失われた、と米メリーランド大学のチームが英科学誌ネイチャー電子版204年6月29日付で発表しました。
(http://www.jakartashimbun.com/free/detail/18976.html。衛星画像から面積を測った結果にすぎないため、インドネシア政府は実際の減少面積は45万ヘクタールにとどまると反論している。インドネシアの人がいうには原生林の消失ぶりは顕著で、インドネシアのカリマンタン島では残すと約束した50%を大きく割り込んで20%をも下回る原生林の情けないほどの減少ぶりとのこと。)
602万ヘクタールといえば北海道の面積の4分の3ほどの森林が失われた計算になります。これは日本の天然林の約半分にも匹敵します。
減少に歯止めがかからない原因の一つは汚職。インドネシアの州知事の多くが汚職で摘発されているお国柄なので、国の土地でも気がつくと丸裸、という事態が常態化しているとのこと。今夏インドネシアの大統領選でも環境対策は焦点にならず、農地を開発する面積を競っていました。
木を切った後どうするかというと、紙の原料となるパルプ材や環境にやさしいと日本で宣伝されるやしの油でつくった洗剤のもととなるパームオイルのプランテーションになっている可能性が高いとのこと。
ニアスでは「日本では暑さで人が死んでいるって本当ですか?」と聞かれ、実際、自然に囲まれたニアスでは日本ほど暴力的な暑さは感じませんでしたが、スマトラやカリマンタンでの森林破壊のすさまじさが日本の暑さに関係しているのでは、ということは言われました。地球の肺といわれたブラジル、それに次ぐインドネシアの熱帯雨林の消失を聞くにつけ、なんとも息苦しく感じます。
ちなみに中国ではスローガンとしての「緑化」がさかんです。雲南でも車で移動すると、山肌に「退耕還林」と書かれた石碑とともに、マツやゴムの木が律儀に等間隔で植わっている場所をよく見かけました。数年前、日本のテレビでも流れましたが、昆明近くで「緑化」とどう勘違いしたのか、山肌(石灰岩質がむき出したところが昆明には多い)をペンキで緑に塗りたくって「緑化」とし、緑化面積として中央政府に報告する事件がありました。こうなると、ちょっと笑ってしまいますが、もはや笑ってはいられない事態なのだと、インドネシアで感じたのでした。
(つづく)
※次回でこの章を終わります。暑さも遠のいてきましたね。季節の変わり目、体調をくずされませんように。
買い物がえりのおばちゃんから子どもまで乗りあう正規のバスなのだが、島を最北から最南端まで移動するには半日以上、このバスに乗らなければならない。ちなみに、これ以外に島を移動できる公共の交通機関はない。
とくにツテのない旅行者の場合は愛媛県ほどの大きさのニアス島のみならず、スマトラ島においても、このようなバスにぎゅうぎゅうづめになりながら移動することを覚悟しなければならない。おそらく中国の旅より数十倍苛酷になることが容易に予想される。なんだかんだいっても、中国は公共の乗り物がずいぶんとすみずみまで整備されているなあと、いまさらながら感じ入った。
(2014年8月ニアスにて)
【冷えない!】
日本も世界も異常気象続きで、数年前までは考えられなかったような災害が起きています。先日、NHKスペシャル『巨大災害MEGA DISASTER地球大変動の衝撃』で、インドネシアの海水温度の上昇を引き金に、異常気象が起きたかのような説明がされていました。これと関連があるかはわかりませんが、インドネシアではここ10年の間に人の手による大破壊が起きていました。
じゃかるた新聞から転載された日本アセアンセンターからのニュースによると、原生林の破壊では史上最悪のペースといわれたブラジルはアマゾン以上のスピードで森林破壊が進んでいるとのこと。2000年から2012年の間に602万ヘクタールの面積の原生林が失われた、と米メリーランド大学のチームが英科学誌ネイチャー電子版204年6月29日付で発表しました。
(http://www.jakartashimbun.com/free/detail/18976.html。衛星画像から面積を測った結果にすぎないため、インドネシア政府は実際の減少面積は45万ヘクタールにとどまると反論している。インドネシアの人がいうには原生林の消失ぶりは顕著で、インドネシアのカリマンタン島では残すと約束した50%を大きく割り込んで20%をも下回る原生林の情けないほどの減少ぶりとのこと。)
602万ヘクタールといえば北海道の面積の4分の3ほどの森林が失われた計算になります。これは日本の天然林の約半分にも匹敵します。
減少に歯止めがかからない原因の一つは汚職。インドネシアの州知事の多くが汚職で摘発されているお国柄なので、国の土地でも気がつくと丸裸、という事態が常態化しているとのこと。今夏インドネシアの大統領選でも環境対策は焦点にならず、農地を開発する面積を競っていました。
木を切った後どうするかというと、紙の原料となるパルプ材や環境にやさしいと日本で宣伝されるやしの油でつくった洗剤のもととなるパームオイルのプランテーションになっている可能性が高いとのこと。
ニアスでは「日本では暑さで人が死んでいるって本当ですか?」と聞かれ、実際、自然に囲まれたニアスでは日本ほど暴力的な暑さは感じませんでしたが、スマトラやカリマンタンでの森林破壊のすさまじさが日本の暑さに関係しているのでは、ということは言われました。地球の肺といわれたブラジル、それに次ぐインドネシアの熱帯雨林の消失を聞くにつけ、なんとも息苦しく感じます。
ちなみに中国ではスローガンとしての「緑化」がさかんです。雲南でも車で移動すると、山肌に「退耕還林」と書かれた石碑とともに、マツやゴムの木が律儀に等間隔で植わっている場所をよく見かけました。数年前、日本のテレビでも流れましたが、昆明近くで「緑化」とどう勘違いしたのか、山肌(石灰岩質がむき出したところが昆明には多い)をペンキで緑に塗りたくって「緑化」とし、緑化面積として中央政府に報告する事件がありました。こうなると、ちょっと笑ってしまいますが、もはや笑ってはいられない事態なのだと、インドネシアで感じたのでした。
(つづく)
※次回でこの章を終わります。暑さも遠のいてきましたね。季節の変わり目、体調をくずされませんように。