雲南、見たり聞いたり感じたり

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南米の野菜たち トウガラシ⑧ 旨みの正体

2018-05-26 11:30:34 | Weblog
写真は市場の果物屋。ぶどう、アボガド、マンゴー、バナナ、リンゴなど日本でもおなじみの果物が並んでいた。
 ただ3月というき時期は乾期のおわり頃のため、多くの果物はメキシコでは実らず、国外からの輸入もののため、割高であった。

 そんな中、マンゴ-は、ちょうど出始めたばかりということで、進められるまま購入。小ぶりだが、持参したナイフで種をよけながら切り拓くと、とろりと、そのままでマンゴープリンとみまごうような、魅惑的に黄色い果実が顔を出す。イガイガとしたアクを感じることもなく、するりとのどを通った。甘みも酸味もバランスがよく、本当においしい。

 ただ、メキシコで生ものを食べる場合は自身で洗い、内側を完全にくるんだ皮をきれいに取り去ってから食べることをおすすめする。場合によっては強力なサルモネラ菌にやられてしまう可能性は否定できない。
メキシコ在住の人のブログや、実際に住まわれていた方に聞くと、メキシコの菌は、かなり身体に堪えるそうだ。
地元の人は、身体が慣れているので問題ないようだが、外国から来たばかりだと、危険性は高まる。あまりの苦しさにメキシコ文明最後の王、スペイン人コルテスに滅ぼされたモクステマによるのろい「モクステマの呪い」という通称さえ付けられているとか。

アメリカでは2017年8月にもメキシコ産パパイヤを生食した人109人が食中毒にかかり死者も出る騒ぎになっている。

【旨みの正体】
 メキシコ料理のおいしさは十分わかったのですが、豊かな各種トウガラシをはじめ、完熟アボカド、野性味あふれるトマトなど、メキシコ料理の材料は、日本ではなかなか入手できないものばかり。

 私自身、実際にメキシコで手に入れたトウガラシを使って、日本で料理を作ると、トマトベースのメキシコ料理、たとえばスープ系などは異国の風味がたって大満足の味わいにはなります。

 けれども、メキシコ産の味わい深いトウガラシを油で丁寧に炒めたあと、さまざまな具材を入れ、おいしくなるように、と味付けに日本酒や醤油、和風だしを使っていくと、辛みが少ないものだと、完全に和の風味に一体化して、メキシコ産トウガラシが入っている、と家人に告げても、気づかないという残念な結果となりました。

 日本にも世界に誇れる旨み食材は多々ありますが、メキシコの日本の旨みを同時に使うと、なんと完全に打ち消し合ってしまうのです。

メキシコのトウガラシの旨みの正体はグルタミン酸だそうで、これは昆布やかつお節に含まれる旨み物質です。それも乾燥させると、より旨みが増していくところも同じです。ちなみにトマトもグルタミン酸が豊富に含まれている食品です

 ということは、日本の料理でトウガラシを使う意義はやはり特徴的な辛み、ということになります。わさびの辛さとトウガラシの辛さは全然、違います。育てる場所も、わさびと違って選ばないところも、世界に伝播できた理由でしょう。

 このように旨みを大切にする本当のメキシコ料理は日本人の口に合うのは必然です。日本でも本格的なメキシコ料理店も出てきたので、これからブームが起こるかもしれませんね。
(つづく)
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気になる南米の野菜⑦ トウガラシ編

2018-05-18 10:38:49 | Weblog
写真は刺繍入りの清潔な布に巻かれ、蓋付きの籠に丁寧に入れられて、水分と熱を保とうと工夫されたトルティーヤ。


トルティーヤを包む刺繍の正面より。


黄色、白、赤、紫色・・。様々な色のトウモロコシの粉を使ったトルティーヤ。香ばしい。


模様のついたトルティーヤ。


トルティーヤに模様を付ける型板。


石板でトルティーヤを焼くおばさん。この店ではトルティーヤはすべて、この女性が焼く。アツアツ、できたてをいただくことができる。

【タコス、はメキシコ料理?】

トウガラシの旨みが手伝って広がる、メキシコ料理の奥深いおいしさ。そのおいしさを、今まで食べた料理でたとえようとしても、いままで味わったことのない、そして、地に足のついた、さりげないおいしさなので、表現するのがとても難しい。

ここで、メキシコ料理って、コンビニの冷蔵コーナーにも売っているタコスじゃないの? そんなに奥深い味だったっけ? と思われる方もおられるでしょう。

 私も、行くまではそう思っていて、さして料理に期待をしていませんでした。娘が知り合いから「メキシコ料理っておいしいんだって」などという情報を仕入れてきても、どういう意味だろう、と受け流していたほどだったのです。

 ですが、前回ご紹介したメキシコ料理の本を読むと、じつは日本だけでなく、世界に伝わるメキシコ料理の大半は、かつてメキシコの領土だったアメリカ南部発祥のメキシコ風アメリカ料理なのだとか。

 薄い小麦粉ベースのぱさぱさのクレープのような丸い皮の中に、炒めた挽肉やレタス、トマトなど様々な具材にケチャップなどをつけて、それを巻いて食べるタコス。それをメキシコ料理だと、漫然と思っていたのですが、それは大量生産されるようになって爆発的にアメリカ各地に派生した、一種のファストフードだったのです。
 実際のものは、本場イタリアのピザと、アメリカのファストフードチェーンのピザの違い、いや、それ以上の違いがありました。

 まず具材に巻く皮は、モチ系やさっぱり系、色も黄色だけではなく、白や紫や赤色を、様々な風味のトウモロコシを粉にして、水で溶いたものを、アツアツの石版(もしくは鉄の板)の上にクレープのように、さっと焼いて作るトルティーヤ。

 それも水分がとばないようにふかふか熱々のものをきれいな布で巻いて籠に入れて食事の横に置く繊細さ。それにさまざまな具材を載せ、サルサと呼ばれる家庭や料理人によっても異なる手作りソースを付けて、それらを巻いていただくのです。

 いままでアメリカ文化を経由して日本にもたらされたものがメキシコ料理だと思っている日本人は、きっと多いはず。もっと、このおいしさは宣伝されたほうがいいでしょう、ほんと、もったいない!
(つづく)
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気になる南米の野菜達⑥

2018-05-13 11:06:33 | Weblog

写真は市場で買ったとうがらし。日本におみやげにすることが目的なので、すべて乾燥品。それでも、こんなに種類がある。

先週の続きです。

【メキシコの市場で出会ったトウガラシ】
④ チレ・グアヒーヨ:ツルリとした赤で、長細い形。長さ9センチ~。日本や中国で流通するトウガラシより大きめだが、細身でツルリとした形が今回、買ったトウガラシなかでは一番、私の知るトウガラシのイメージに近い。するどさとふくよかさが同居するようなえもいわれぬ香り、昆布のような旨みが出る。辛さより、旨みが勝る。輪切りに切って、油で炒めて香りを移し、サルサソースに加えたり、魚料理に散らしたりと用途は多様。
⑤ チレ・カスカベル:ツルリとした楕円形の赤色から赤黒い小ナスのような形。カスカベルはスペイン語で鈴と言う意味だそう。長さ4~5センチ、直径2センチほど。振るとからからと音がするのが、鈴のようでもある。辛みが強いといわれているが、私の買ったものはピクルスの甘さと旨みを強く感じる。のどは辛さを感知しないのだが、なぜか目にしみる。辛さは後からふわっとのどの奥から来るように感じる。頭の奥がしびれるような快感。けっしてそれも辛さから来るわけではないので、いったいどんな成分が、その感じを与えるのだろう。煮込み料理などに使う。

※森山光司著『メキシコ料理大全』(誠文堂新光社、2015年)を参考に、私の感想や実測値を加えました。


いずれも、日本や中国ではあまり感じなかった多方面の旨みを持っています。トウガラシの様々な本を読んだのですが、辛み成分「カプサイシン」や「ビタミンC」について詳しく論じても、それ以外の成分にはまず、注目されていません。メキシコではじめてトウガラシに感じた「旨み」、もっと注目してよいと思います。


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気になる南米の野菜達⑤

2018-05-03 10:54:32 | Weblog
写真はメキシコシティの旧市街。スペイン統治時代の中世的な建物が続いていて、まるでタイムスリップしたよう。
道一本入ると、治安の悪い地区もあるので細心の注意が必要だが、近年大富豪が買い取って、整備し、若い志のある人らに賃貸するといった工夫を推し進めた結果、一部地域の治安は劇的に改善された。あくまで治安は政治ではなく、一部、富豪の手にかかっているところが、日本の地方都市のようでもあり、悩ましい。


【いろいろなトウガラシ①】
私がさっとメキシコの市場で見たものだけをご紹介しましょう。


① チレ・パシージャ:黒くて大きい。長さ実の部分だけで16センチくらい。上の枝を入れると21センチくらい。チレ・チラカの乾燥品。磯の香りと干し藁を絶妙にブレンドしたような、高雅だけど、どこか懐かしい香り。昆布のような旨みが出る。あまり辛くない。


② チレ・チポトレ:薄茶色で油紙をくしゃくしゃにしたような形。長さ11センチくらい。チレ・ハラペーニョの乾燥させ燻製にしたもの。他のものにたとえることが難しいが、いつまでも嗅いでいたいような高貴な香り。旨みをともなった舌に融け込むような辛みもしっかりある。鼻が通り、血流までよくなるような気がする。


③ チレ・アンチョ:黒みがかった赤色。長さ5センチくらい。熟したチレ・ポプラーノを天日干ししたもの。果実のような、トマトを乾燥させた甘みを残したような味わいで辛みはあるもののマイルド。ふわっと身体が暖まる。だし汁に最適、とのこと。
市場の表側に置かれてないが、必要と告げると、奥から出てきた。
(つづく)

※森山光司著『メキシコ料理大全』(誠文堂新光社、2015年)を参考に、私の感想や実測値を加えました。

※日本は新緑の美しい季節になりました。ただ、気候の変わり目、思いがけず疲れがたまっていることもあるでしょう。休めるときは、びっくりするぐらいお休みになってみると、いいことがあるかもしれません。だまされたと思って是非!
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