

上の写真はキノコ鍋専門店街の裏通り。マイカーの新車がずらり。すべて係員の指示に従って路駐されている。
下の写真はきのこ鍋店のきのこ鍋。トマトが丸ごと浮かぶ鶏肉清湯スープにまず、ちくわのように中心の空いた竹蓀のぶつ切りをさっと入れて、しゃぶしゃぶ風にして歯ごたえを楽しみ、よい出汁を出したあとに、鶏油キノコ、青頭キノコ、松茸など数種類を次々と入れ、10分ほど煮込んで食べた。キノコによってはよく煮込まないと中毒を起こすものなどもあるので、店員の指示に従いたい。
【「きのこ鍋」街へ】
雨期ともなると爆発的に出てくる個性的なキノコの中から、好きなだけチョイスして、クコの実などの入った贅沢スープとともにしゃぶしゃぶのように味わうのが「きのこ鍋」専門店の食べ方です。
キノコのよっては湯にくぐらせたらすぐに食べる歯ごたえ派から、出汁としてじっくり鍋に浸す方法まで様々。スープとの相性もあるので、細かいところは店員さんにおまかせすると、すべてよい加減でスープから引き出してくれるところもあります。
そう聞くと複雑そうですが、頼み方は簡単。食物の項目と値段のかかれた紙に頼む数量を記入するだけ。まずスープの種類(激辛スープから白湯(バイタン)スープまで)からチェックし、後はキノコ、野菜、豆腐、肉などをほしいだけチェックすればオーケー。店でスープの特徴や旬のキノコなどの情報を聞く方が、よりおいしい鍋になりますが、言葉がわからなくても、注文できます。
この鍋は、もう昆明名物の一つ、といっていいほどで、広い昆明の中でもある一点に専門店街として集中しています。その場所とは昆明駅からやや南にある関上関興路。
ほんの7年前までは殺風景な開拓地に忽然と立ち上がったきのこ鍋店だけが目立つ一角にすぎなかったのですが、今や、さらに奥に新興住宅地が林立し、自家用車で動く人達向けの「○○人家」という名を冠した中国風のおしゃれなレストランが軒を連ねる区画へと変貌を遂げました。
そんな中、キノコ鍋の専門店は、ひときわド派手なネオンサインを煌めかせ、異彩を放っています。あまりにも一角に集中しすぎているためか、道に迷った私が1本脇道にそれたところで、地元の人にきのこ鍋店を尋ねても、例によって「知らない」の一言で終わってしまったほどでした。
【旬のキノコを他種類食べられる】
さて、この一角を目指して、キノコの旬ともなると、かつてはタクシーが、今ではフォルクスワーゲンなどの巨大な自家用車が夕方には群れをなして訪れます。つまり、贅沢品なのです。といってもまだまだ中国元は安いので、お酒込みで一人当たり1000円ほどあれば、お腹いっぱい食べられます。
鶏のスープをベースにした薬膳風味のスープなどはそれだけでもおいしいのですが、それにキノコの王様だの、皇后様だのをたっぷりと入れていただくスープは歯ごたえも、味も至上の贅沢の一つ、と思えるほどの味。最後に雑炊でしめると、とろけます。
近年では日本の東京でも味わえる店はあるのですが、やはり値段が高額になってしまうのが、つらいところ。キノコの種類も限定されます。ですから、雲南に行かれることがありましたら、過橋米線に次いでおすすめしたい一品です。
そもそも雲南で自炊していても、一つの鍋に五種類以上もの野生キノコを市場で買うのは難事業です。少量ずつでは買えないために、何種類も買ってしまうと、食べきれないほどのボリュームになる上、かえって高くつくことも。各種キノコを味わうなら、やはりきのこ鍋店が気楽です。
雲南の生物多様性のありがたみをひしひしと感じる、最高の一碗は、きのこ鍋、で決まりでしょう。 (この章おわり)