写真はテンプロマヨーロ博物館(メキシコシティ)内の展示。アステカ文明の人々の生活を展示したコーナーの中央部に緑の瓜が置かれているのものが、ハヤトウリ。トウモロコシなどの主食ではないが、重要な野菜と位置づけられている。
果肉の肉質が緻密で固いので、日本ではぬか漬け、味噌漬け、奈良漬けなどの漬け物に主に利用されている。メキシコでは薄切りにして煮物、炒め物、スープの具材などにも利用されている。中国では広東、雲南、広西で食される。日本人としては、甘みが足りず、そのままでは固いせいか、あまり広まっていない。
【日本では学校教材にも】
ヒョウタンなどに続き、同じく、アステカ文明を支えた重要作物として展示されていた植物にハヤトウリがあります。
あまり、日常的に日本では食用はされていませんが、娘が小学生の頃、つまり10年ほど前に学校の敷地にグリーンカーテンとして植え、収穫されると、子どもたちが家に持ち帰ったり、学校で、家庭科や理科の時間に薄切りにしたり、面倒見のいい先生だと、漬け物にしたりして、皆で食べていました。一株で数百個実がつく、という利便性が教材に最適だったのでしょう。
それが南米産だったとは。
名前が日本の九州の一地域を指す「隼人」などという名前がついているので、てっきり、日本の南で獲れる、昔からある作物だと思っていました。
実際には大正6年(1917年)に北アメリカから鹿児島に入ったのだそうです。(高嶋四郎著『原色日本野菜図鑑』 保育社1982年)星川清親 『日本大百科全書(ニッポニカ) 』 小学館「ハヤトウリ」より)しかも、正規の輸入品として、というのではなく、アメリカ帰りの人が持っていたハヤトウリを地元の鹿児島県の永吉村(日置郡)で植えたのがはじまりとのこと。
今では検疫の関係でそのような持ち込みは禁止されていますが、種だけなら、と中国で見つけた珍しい品種を持ち帰る人をたまに見ます。そんな感じだったのでしょうか?
また、別にアメリカから旧・果樹試験場興津支場(静岡県)に白色品種が導入されています。(農文協編、『地域食材大百科 第2巻 野菜』2010年、農文協)
(つづく)
