雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

偽装食品の見分け方6

2007-08-31 17:49:23 | Weblog
写真は青海省の省都・西寧の夏の一コマ。桶の中は、さっぱりとした甘い味の牛乳だった。


あきっぽい日本のマスコミ。「朝青龍」問題一色で、ムードに流れた中国食品偽装問題は下火となってきました。中国政府が規制をかけているという話もありますが・・。

【フスマでできた一味唐辛子?】
 米国の議会や日本のマスコミでも大騒ぎとなっている中国の偽装食品。雲南で品質の偽装で摘発されたものは枚挙にいとまがないが、ざっと挙げると、

①黴を削り、包装しなおした月餅
②運搬中に破けたり、賞味期限が切れたものを、詰め直したり、酸味が強くなりすぎたものは桶の水で洗い流した後に、唐辛子の粉をつけて詰め直したザーサイ
③亜硝酸塩がたっぷりついた青菜の漬けもの
④フスマ(小麦の皮)に工業用色素で着色した一味唐辛子
⑤病気などで死んだ豚からつくったラード
⑥鉛を多く含んだピータン
⑦太らせる目的で過剰な養殖用の避妊薬が投与された田ウナギ
など。

 雲南産のものではないが、お隣の四川省産ハチミツでは多量の消毒薬や、みつばちの病気を防ぐ目的で過剰に投与されたテトラサイクリン(抗生物質)が全銘柄の87%から基準値を超えて検出され、中国の食品監督部門で不合格になっている。

 また、青海省ではヨーグルトなどの乳酸品の90%が検査で不合格になった。

 青海省には私も行ったことがあるが、ここでは牛とヤクの乳を昔から食してきたチベット族の多く住む地域だけあって、露店ではよく、しぼったものをそのまま持ってきたような牛乳や、御椀で固めたヨーグルトが売られていた。

 照りつける陽射しの中、常温で売られていたので、その保存方法が雑菌を繁殖させたに違いない。その欠けたお椀の上に雑紙を載せただけの素朴なヨーグルトを食べてみた。ちょっと黄色みがかった固めの舌ざわりで、味も薄味のチーズ風。ほかにやわらかめのヨーグルトも売っていた。どちらも慣れればけっこういけたし、お腹もこわさなかった。
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おいしい乳製品2

2007-08-24 17:11:50 | Weblog
写真は前回ご紹介した大理の乳扇。きどってお皿に載せてみました。

●「雪蘭」の極上瓶詰めヨーグルト
 昆明に住んでいた頃のひそかな楽しみは、昆明産の牛乳を使用した地元企業「雪蘭牛乳」の直売店で買う、瓶詰めヨーグルトだった。昆明に遊びにきた妹は感激して、ほぼ毎日、スタンドに通いつめていた。
 
「昔ながらの素朴なかんじ。日本だと、これ、ムチャクチャ高いよー」と感激するわが妹。自然な甘みと、さっぱりとした風味、トロリとした食感が彼女をとりこにしてしまった。

「雪蘭」は牛乳もおいしかった。わが家の朝食の定番にもなった。中国で販売されている牛乳の多くは常温にも耐えられるように包装された高温殺菌牛乳なのだが(普通は冷蔵庫のない店で売られるためだろう)、この「雪蘭」だけは冷蔵庫なしでは保存できないタイプだったからだ。

 その取り扱いの難しさのために直売店か冷蔵設備のあるスーパー以外では見かけることはなかったが、地元市民には人気があった。冷蔵棚いっぱいに入荷しても数時間後には、たいてい完売していたのだ。

 常温販売が当たり前の農貿市場にも2005年から直売店ができたが、「雪蘭」の指導が徹底しているせいか、ここでも冷蔵庫で保存していたのには驚いたものだ。

【牛乳業界は熾烈な戦国時代に】
 雲南の乳牛業界は、大理の「欧亜」「川」、世界遺産に登録されている麗江にある「海子」そして昆明の「雪蘭」「前進」といった主要企業5社がしのぎを削り、さらに2003年以降から香港株式市場にも上場する牛乳最大手である内蒙古の「蒙牛」「伊利」がなぐりこみをかけるという戦国時代に突入している。さらに飼料となる穀物などの価格の上昇や輸送コストもからんで環境は、厳しい。

 そもそも中国人のポピュラーな朝食飲料の豆乳が一杯0.5元(8円ぐらい)で売られるなか、牛乳は一杯2・4元以上(40円弱)もするのだから、牛乳を飲む習慣のない人にはなかなか浸透しないのも事実だ。

 だが、なんとか食品に対する誠実な姿勢をもつ会社には、生き残ってほしいと願う。

残暑お見舞い申し上げます。ご質問などありましたら、お気軽にお寄せください。リクエスト等ありましたらどうぞ。
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雲南の伝統食・おいしい乳製品1

2007-08-15 23:00:29 | Weblog
写真はシャングリラの市場で売られているバター。あまりにも不思議な形に、売り場のおばあちゃんに「これは?」と聞くと、「バターに決まっとる!」と大笑いされてしまった。

【雲南の伝統食として定着】
 雲南は、フビライ・ハンの率いる元代に、中国中央部より先にチベット高原をへて雲南に進出したほど、昔からモンゴル地区との交易ルートが知られていた。そのためなのか、いまでも中国の南方地域で一番、牧畜業が盛んだ。

 じつは遊牧民が住むモンゴル地区周辺を除く中国の多くの地域では、牛乳を飲む習慣は最近までほとんどなかったのだが、雲南の人は牛乳が大好き。スーパーでは多くの乳製品が売り場を占め、しばしば売り切れるほどの人気だった。

●白族に伝わる「乳扇」
 白族が暮らす大理の名物「乳扇(ルーシェン)」。軽く発酵させた牛乳(つまりヨーグルト)を煮立て、そこに新鮮な牛乳を入れて、ゆっくりと攪拌させ、浮いてきた膜を木の棒に巻き付けて乾燥させたものだ。
 それを大理の街角に立つおばあちゃんが、食べる直前に油で揚げて塩を振りかけて売っている。
「バリッ」とした食感がなんとも魅力的で、くせのないチーズのような味わいだ。

●チベット族の「バター」
 おもにチベット族が住むシャングリラでは、円錐形に固められた、子供の頭ほどもある大きさのバターが売られている。削り取ってプーアル茶に入れると、日本のバターとは違う、濃厚な味わいとなる。

 このバター茶が、昔から彼らにとって貴重なビタミンとミネラルの供給源となっていた。
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偽装食品の見分け方5

2007-08-10 22:35:46 | Weblog
写真は、雲南省北西部の維西付近の農村にて。農村では現金収入が少ないので、働き盛りのものの多くは、街へ道路工事などに仕事にでかけている。
 村には赤ちゃんとお年寄り、それに土地を耕す人がわずかに残るのみ、ということになりがちだ。

【あからさまな偽表示】
 量をごまかすだけのあげ底は、価格次第では納得のいく罪の浅い‘偽装’だが、品質のごまかしは言語道断の犯罪だ。

 日本でもいろいろとその方面の事件はあるが、中国での筆頭は、日本でも2004年に報道された「劣悪粉ミルク」だろう。

 ご存知の方もいらっしゃるだろうが、念のため解説すると、本来あるはずのタンパク質を、ほとんど含んでいない粉ミルクによって(通常の3%しか含まれていなかった)、乳児が栄養失調で次々と亡くなったという事件である。

 2004年に発覚し、全国規模で被害が確認された。もっとも被害のひどかった安徽省阜陽市では、100人以上の赤ちゃんに頭部が肥大するなど深刻な症状があらわれ、うち12人が亡くなったという。

 これは現代中国の問題が複合して起こった事件といわれる。まず被害地域の多くが、現金収入の少ない地域、とくに農村地帯でおこったこと。次に収入がないため、母親は生んでまもなくすると、働きに出ざるをえなかったこと、そのため乳児は粉ミルク一辺倒で育てられたこと、そして粉ミルクは安価なものを求めてしまった、という点だ。
 この事件について雲南からの報告は出されていない。雲南は伝統的に牛乳を飲用する習慣があったことから、一定規模の乳製品会社が少なくとも5社あり、管理体制がしっかりしていることとも関係があるかもしれない。
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中国の偽装食品の見分け方4

2007-08-03 15:36:30 | Weblog
【脂肪たっぷり豚肉】
 前回の写真の「水増し肉?」写真について、「単に脂肪が分厚いだけの写真ではないか」とのご指摘をいただいた。

 この肉の巧妙なところは、市場では脂肪の分厚い部分が下側に置かれていた点。信じられないかもしれないが、表に返すと、赤身の多い普通のロース肉にみえるのだ。だから家に帰って、改めて見たときには驚いた。あまりにぎょっとしたので、記念に撮ったものが、前回の写真なのだ。

 しかも、脂肪が分厚いばかりか、肉の色まで赤黒く、焼いてみると水分量も多い。少なくとも3重ぐらいはごまかされているようだ。さすが、とある筋では有名な偽装肉市場であることよ、と感心すらしてしまった。

 通常、中国でも脂肪部分はある程度、切り取って販売するので、これは、かなりの荒技といえる。私がいつも行く市場ではついぞ、見かけたことはない肉であることは間違いない。
 買い物のとき、地元の人がそれこそ、こねくりまわさんばかりに念入りに吟味しているが、それもやむをえない防衛策なのだろう。

【世界に通用する? ザクロ片のトリック】
 こういったごまかしの点では、さらにすごいもの(おもしろいもの)を見つけてしまった。中国の飛行場で、みやげものとして売られているポピュラーな一品「ザクロチップス(石榴片)」だ。

 陝西省の特産品であるザクロの果肉を乾燥させ、蜂蜜であえた甘酸っぱいおかしで、中国茶のお茶うけによく合う一品である。(省都西安周辺の道路の両脇は秋になると、樹木にザクロが鈴なりで壮観。あまずっぱい香りが漂ってくるよう。)

 上の写真は先日、中国の留学生からおみやげにいただいたものだが、立派な外箱の右端に小窓がついていて、ぎっちりつまった石榴チップスがさりげなく見えるようになっている。中も見えて安心ね、と箱から取り出すと、

 あーらびっくり。ちょうど小窓の部分に合わせて、そこだけにザクロチップスが入っていたのだ。これでは、おみやげに買った当の本人も、よもや気づくまい。

 礼物は、客人が帰ってから開けるという習慣を逆手に取った、あこぎな商法ではある。でも、10数年前に安いからといって飛びついた上野・アメ横のイクラの箱の、あまりの上げ底にあきれるというより笑ってしまったように、やはり、この国際空港で堂々と売られているこの品物にも、不思議とユーモアを感じてしまうのだった。
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