雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

中国のお正月  おめでたい食べ物3

2007-02-23 23:34:07 | Weblog
写真は昆明市内の庶民的な料理店。「農家楽」は休暇村の意味。店内には、なぜか日本のかやぶき屋根と水車、柴犬のおすわりのポーズのドアップ合成カラーポスターが飾られていた。

【進化する「八宝飯」】
 雲南で八宝飯をさらに発展(?)させたような料理を食べたことがある。昆明にある「農家楽」(日本でいう休暇村。最近、昆明でも自家用車で農家楽に行き、バーベキュー&宿泊、という休暇がはやっている。排水施設が不十分な田舎になるので新たな環境問題となっている)という名の庶民的な料理屋さんでのことだ。
 
 顔見知りの店の若旦那が、
「今日は私が気合を入れて、すごい料理を作ってあげる。絶対、食べないと損だよ」と珍しく威勢がいい。その勢いに、押されて頼んだ料理が本当にすごかった。

 それは、メニューの最後に現れた。その名も「咸八宝飯」。咸とは「しょっぱい」という意味で、塩や醤油が使われた料理のこと。この店では例の型抜き蒸しモチ米の中身の餡を、甘味系ではなくて、醤油とラードで絡めた鶏肉や山野草、キノコ、しょっぱい味付けの中華風ハムなどを混ぜたオカズ系にしていたのだ。だのに周りを覆うモチ米は、相も変わらず極甘の正月用八宝飯の味付け・・。

 これがなんの下味も付いていないシンプルなモチ米なら、明代(1368年~1644年)に雲南省の保山地区で八宝飯から発展したという雲南料理「咸八宝飯」なのだが、ここではどういうわけか外は極甘、中はしょっぱいという不思議な料理となっている。いったい甘いのかしょっぱいのかと、私の舌が混乱し悩むうちに、食欲ははるか遠くに消え失せていくのだった。

 若旦那の創作料理だったのか、それとも浙江(上海より下の沿海地域)わたりの八宝飯が雲南で進化した「咸八宝飯」からさらに、バージョンアップした新たな雲南の「伝統」料理だったのか、今なお分からない。
 
 というのも次に行ってみると、その店の若旦那は消えて別のオーナーになっていたのだ。若旦那の創作意欲が、あだとなったのかもしれない。

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中国のお正月2 おめでたい食べ物2

2007-02-16 22:03:07 | Weblog
 週2回の更新を目指しましたが、やっぱりなかなかできないものでした。時間がたつのは早いものですね。残念です。

写真は、春節前だけに開かれる八宝飯売り場。蒸したもち米の上にはカラフルなトッピングが載せられている。

【お米のデコレーションケーキ】
 次にこの時期の市場で特徴的なのが、サトウキビと「八宝飯」だ。サトウキビは前に書いたとおり。
 「八宝飯」は、いつもなら甘そうなクッキーやデコレーションケーキのお店がこの時期だけ大変身。町のあちこちで「正宗 明星 八宝飯」と大書きされた仮店舗が並び、傍らの蒸し器からは八宝飯にトッピングされたフルーツの甘―い香りが漂う。

 これは見た目は、モチ米でつくられた中国の伝統的なデコレーションケーキといったところ。

 作り方は、
1.半円の器に干しナツメや冬瓜の砂糖漬け、ギンナン、ユリ根などを置いて、そこに蒸したもち米を入れる。
2.再度蒸して型抜きし、最後に砂糖を振りかける。
 色は上の部分がカラフルな赤や黄、黒味がかっている。様々な干しフルーツの色が米に移ったり、着色料を載せたりしているためだ。米は再度、蒸すときにラードと砂糖を混ぜ合わせるので、つやつやとしたテカリが出るのが特徴だ。

 さらに本格的なものになると、ラード、赤い色をしたバラ砂糖(強い芳香が特徴のハナマスの赤い花弁と砂糖をよく混ぜたもの。この花は香りを楽しむお茶にも入れられる)、こしあんなどを餡として入れ込む。当然ながら、すごく甘い。ほのかな甘味が好みの私にとっては、一口食べるだけで完食するパワーを奪われるほどのパンチがある。

 もともと糖や穀物、そして財力の豊かな江南(上海より下の沿海地域)の料理が、全国に広まった縁起物なのだが、日本の留学生たちには、すこぶる不評のメニューだった。
 
 ところで日本をよく知る中国の若者に「私たちの料理は甘いものをモチの中に入れますが、日本ではモチの外に甘い味つけをしますね」と言われ、驚いたことがある。甘いあずきのあんこ汁にシンプルなモチを浮かべた「ぜんざい」も、中国の人にとっては奇妙な日本の風習ということになるらしい。(つづく)
コメント (2)
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中国のお正月2 おめでたい食べ物1

2007-02-10 00:18:03 | Weblog
写真は昆明の農貿市場。羊肉売り場が開くのをはじめて見る。いつもは閑散とした魚コーナーも人でいっぱい。

いつもお読みくださり、ありがとうございます。17日は旧正月です。中国では多くの人が長い休暇をとっています。家族そろって、おいいしいものを食べることでしょう。さて、その買物は?
【年々有「魚」】
 旧正月(春節)前の市場は、野菜も肉も大賑わい。いつもなら「羊肉」とかかれた区画は閉めてあるのに、この日ばかりは開いている。豚肉も、通常よりやや高めの価格だ。品薄なのだろうか。
 
 なかでとりわけ熱気を帯びていたのが、「魚」売り場だ。海から遠い内陸の昆明では当然ながら魚といえば、川魚で、主に灰色の鯉。多くの人が生け簀に入ったこの魚をキロ単位で買っていく。

 魚が正月料理にかかせないは、「年々有余」という年ごとに豊かになる、との意味を持つおめでたい言葉の「余」の発音と「魚」の発音が同じところをかけているためだ。
 
 1984年に封切られた陳凱歌監督の「黄色い大地」という映画(DVDにもなっているので是非。おすすめの作品です)の中に黄土高原のど真ん中にある貧しい農村の結婚式が出てくる。そこでは高価な魚のかわりに木彫の魚にスープをかけて、本物の料理の一品に添えていたのだが、それほど、中国の人にとっては、祝い事にかかせないメニューとして定着しているのである。

 料理は魚を丸ごと揚げたり、蒸したり、が多い。やはり魚天国、日本に住む私としては、海の魚が恋しくなるが、昆明では肉より魚ははるかに高級品なので、機会があるときは、もちろん有難くいただいた。
(つづく。今週は週半ばも更新します。よろしくごらんください。コメントもどうぞ。)
コメント (4)
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さとうきび4 紅糖とザラメ

2007-02-02 14:15:33 | Weblog
写真はタイ族で使われているサトウキビ搾り機。サトウキビ一本分でコップに3杯以上のサトウキビジュースがとれる。青臭いけど、とってもさわやかで、ジューシーな甘さ。

【馬のひずめ糖】
 我が家が雲南の宿舎に引っ越して、まずしたことは米や調味料などの基本的な食材を買い整えることだった。油と唐がらしに覆われた雲南料理の外食が続いて、うんざりしていたのだ。

 近所のスーパーで見たものは塩以外、すべてカルチャーショックだったのだが、砂糖もその一つだった。まず、さらさらの砂のような手触りの、日本ではありふれたタイプの白砂糖が雲南にはなかった。あるのは、竹やパンダの絵が書かれたザラメと、馬のひずめの形(平べったい円筒形?)のような「碗紅糖」と呼ばれる固形の黒砂糖だけ。

 この独特の形はサトウキビ汁だけで固めた雲南の特産品。工場生産を除くと、主にタイ族とチベット族の住む地域で村ごとに作られているそうだ。市場にいくと、麻袋に山盛りに積まれて売られている。ちょっとモンゴル帝国で通貨として使用した元宝(馬蹄銀)とも似ている。お金にあやかった形なのかもしれない。

【沖縄の黒砂糖と紅糖】
 沖縄の黒砂糖もサトウキビの汁から作られているが、ご存知のとおり黒くてゴツゴツしている。ところが雲南のものは黄土色でなめらかだ。なぜ原料が同じなのに見た感じが大きく違うのかと調べてみると、沖縄では何度も釜を移しかえて丁寧に煮詰めるのに対して、雲南ではさっくり煮るだけということだった。

 薬用としても重宝されていて雲南北部の山岳地帯(標高5000メートルぐらい)で高山病になったときに、地元の人に「紅糖をなめると治るよ」と勧められた。なめていると次第に落ち着いたのが不思議だった。血糖値と酔いが関係しているのだろうか。
 
 また雲南で私は、碗紅糖を削りながら使うのが面倒なのでザラメの紅糖を調味料として使っていたが、深い味わいの、こっくりとした味付けになった。

 ところで白砂糖の方はどうなのかというと・・。時折、白く脱色するための漂白剤が残されたまま製品化されているそうで、2005年の中国食品監督署の検査でも30%あまりが不合格に。おそろしい。もちろん紅糖は、100%合格だった。雲南で紅糖が売れるのもよく分かる。
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