雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

昆明でであった中国茶4

2007-03-23 23:47:53 | Weblog
写真は、木筒の中にプーアール茶とヤクの乳をしぼってつくったバター、塩を入れて先が平べったい棒で攪拌させて「バター茶」を作っているところ。最初は塩味にびっくりするが、慣れると、おいしい。とくにおばあさんのお茶は絶品だった。(雲南省徳欽県にて)

【ワインと楽しみ方は同じ】
 最近、八王子にある専門店「晶山茶葉店」でこの話をしたら、店主の大塚晶子さんが、中国茶はワインと楽しみ方が似ていて、なかでもプーアール茶は選択が難しく、プロでも仕入れは一苦労だと教えてくれた。

 寒い季節にとっておきのお茶の淹れ方も教わった。ミルクパン(鍋)に一回に飲む量のプーアール茶葉を入れ煮出す。沸騰して灰汁が出たらすくう。しっかり火が通って湯が真っ黒になったら、湯と同量のミルクを入れ出来上がる。好みで三温糖を加えると一層おいしくなる。「プーアール茶には体を温める作用がありますし、ミルクとの相性もいいんですね」と大塚さんは勧めてくれた。

 そういえば雲南省北部のチベット族を訪ねると、必ずプーアール茶葉を現地のバターと塩、お湯で丁寧に攪拌させたバター茶を出された。これがチベット族の人々の大切なミネラル分になっているのだ。5000メートル級の山間に住む彼らは、現金収入に恵まれていないため、働き盛りの多くは出稼ぎに出て、いなかった。だが普段は、お年寄りと子供が大半の静かな村でも、黒くすすけた炉辺を囲んでお茶を飲むひとときには、明るい笑い声が響く。私は独特の味わいに最初は馴染めなかったが、もてなしの気持ちがうれしかった。

 大塚さんのプーアール茶は、その日本風アレンジといえよう。今年の冬は、このミルクティーを飲みながら、中国の奥地で茶を囲む人々に思いを馳せて、寒い日を乗り切ろうと思う。

(次回は、31日まで中国・天津に行っておりますので、更新が遅れます。引き続きお読みくださるとうれしいです。質問もどうぞ。)
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昆明で出会った中国茶3

2007-03-16 16:37:50 | Weblog
 写真は昆明の茶葉市場にて。試飲のためのプーアル茶をいれる茶屋の女主人。
市場なので専門業者が大量買い付けにくることもあるが、私が平日の午前中に訪れたときには店主たちは、ひまそうに新聞を読んだり、バドミントンに興じていた。

【心もからだもあたたまるプーアル茶のミルクティー】
  日本では「減肥茶」としても名が通っているプーアル茶。透明感のある琥珀色の輝きと、さっぱりとしたのどごしが魅力的だ。雲南省はその原産地である。 

 プーアルは雲南省南部のシーサンパンナ州にある地名で、この街で周辺でとれる茶葉を商人が買い集めたことから名付けられた。プーアル茶は、もともと雲南省南部の少数民族が飲んでいたもので、清朝になり北京の宮廷で愛飲されるようになって有名になった。

 緑茶の作り方の途中で麹菌を繁殖させるのが特徴で、脂肪分解力が大きいといわれている。麹菌が生きたままのものは時間が経つごとに発酵が進み、味が変化していく。一般に年月が経ったものほど値段は高く、味もまろやかになるという。かつて北京の紫禁城には「50年もの」などの古茶が沢山、保存されていたそうだ。

 雲南特産のみやげものを買おうと、地元の商人が通う昆明市の茶葉卸売市場に行ったことがある。値段は同じ産地のもので、新茶は円盤状の固まり1枚(357g)が80元、7年前のものは500元だった。ちなみに地場産ビールは1本3元である。

 目の前で店主がゆっくりと淹れた茶をいただくと新茶の方はまろやかで、7年前のものは渋い。好みと関係なく古いものは高いのだなあと、ひとり納得していると、11年前のものは150元だという。年月を経ているのに安いわけを尋ねると

「11年前は気候がよく、質のいい茶葉がたくさん採れたからだよ」とのこと。どうやら値段が高ければ、おいしいという単純な世界ではないらしい。
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昆明で出会った中国茶2 

2007-03-09 11:31:54 | Weblog
雲南の茶屋や外資系デパートでは量り売りの他、様々なパッケージの「蘭貴人」が見られた。みやげを意識したパッケージのようだ。製品加工地は、いずれも昆明市内となっていた。

【蘭貴人・甘い香りの正体は?】
 このように日本料理にあうと昆明では評判の蘭貴人だが、製法となると、謎だらけ。現地で本を読みあさったが、雲南省産のプーアール茶の説明はあっても、昆明で大量に製品化されている「蘭貴人」の説明はどこにもない。

 そこでインターネットで検索してみると、今度は福建や広東、台湾などさまざまな地域で生産された「蘭貴人」茶が山ほど見つかった。茶葉の特徴もさまざまで棒状のものから、香りづけに朝鮮人参や田七(でんしち)といった高級漢方薬のパウダーをまぶしたものまである。

 日本語で書かれたインターネット通販サイトを読むと、多くは朝鮮人参をまぶした台湾製を「ほんもの」とし、雲南製は質が悪い、と断じている。「質」が何をさすのかは書かれていない。

 しかし、なぜこれほどまでに大雑把なのだろうか。

 一説によると「蘭貴人」とは、西太后が病に伏せたときに飲んだ漢方薬のレシピが民間に流出し、お茶として出回ったものだという。想像するに、元となる秘伝のレシピはアヘン戦争(1840年)のどさくさで絶えてしまった。そこで、どうせ本物がわからないなら茶葉に漢方薬をまぶせば「蘭貴人」と呼べると、様々な形状が各地で育っていったのではないだろうか。

【それでも増える女性ファン】  
 八王子で50種の中国茶を扱う「晶山茶葉店」に蘭貴人があると聞いて訪ねた。ここで扱っているのは、ウ-ロン茶葉に蘭のパウダーをまぶしたタイプ。

「製法がいま一つ不明である点と製品のばらつきが激しいため、おすすめはしていません。ただ一度、飲むとファンになる女性のお客さまは相変わらずいらっしゃいますので置いております」と店主の大塚晶子さんが率直に話してくれた。香りや味からすると、私が飲んでいたお茶と同じもののようだ。

 茶葉の原産地も、その内容も厚いベールに包まれた蘭貴人だが、じつは私が選んだ雲南みやげの中でもっとも人気があったのがこのお茶だった。日本の和菓子にも合うので、見かけた場合は一度、試してみてはいかが。
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昆明で出会った中国茶

2007-03-02 12:10:17 | Weblog
写真は蘭貴人の茶葉。小石のように固いが、熱湯を注ぐと、ほぐれて大きめの茶葉があわられる。お湯をつぎ足せば5粒で3,4杯は楽しめる。


【上品な甘い香りの「蘭貴人」】
 昆明で製品化されているお茶で、一番のお気に入りは「蘭貴人」。緑茶タイプで、茶葉は小石のように固く丸まっていて、まるで東大寺の大仏の頭についたボツボツのよう。ここに熱湯を注ぐと、たちまち上品な香りが立ちこめてくる。口に含むと後を引かないさわやかな甘みがあり、この魅力から抜け出せなくなってしまった。

 値段は一〇〇グラム30元(約四五〇円)ほど。普段使いの緑茶が一〇〇グラム一〇元(約一五〇円)以下なので、地元の人が滅多に飲まない高級茶なのだが、昆明滞在の日本人には好評だった。

 蘭貴人とは、一九世紀前半の中国で政権を握っていた西太后の若いころの呼び名のこと。日本では悪女として有名な西太后だが、現在の中国では長寿で若さを保ったことなどで人気がある。それに雲南省原産の「蘭」の花をかけた商標なのだろう。

 かつて京都の先斗町で店を構え、昆明のホテル街の一角で日本料理店を営む日本人の知人によると
 「中国のお茶のなかでは、いちばん日本料理に合うんじゃないかな」という。
 
 中国の一般の緑茶だと、日本の緑茶に比べて味がさっぱりしすぎているし、プーアール茶などの黒色系のお茶では油を分解する力が優れているので、中華料理とは相性がよくても、日本料理には個性が強すぎる。蘭貴人ならば日本料理の味わいが消すことなく、中国茶の風雅な飲み口と香りを楽しむことができるというのだ。
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