写真上は「創建 健康城市/享受 健康生活/1元=健康」などと書かれた「消毒皿」。小皿とお椀2個、コップ1個がぴっちりとビニールに包まれている。
写真中はおぼろ豆腐。日本の豆腐と違って、豆を蒸かす前に絞った汁で作る「生搾り製法」の豆腐に唐辛子や山椒、パクチー、ネギなどを入れたたまり醤油でいただく。魚は地元の小魚・江魚の素揚げ。サクサクとして、泥臭さもなく、ビールに合いそうな味だった。(2010年夏撮影。)
【滇池の味】
滇池脇の音馨飯店。ドライブ客と地元の客でにぎわっているだけあって、おいしい。意外に水がいい。小魚のフライに、おぼろ豆腐、地物キノコのスープ(うすい塩味)、青菜炒めなどを食べた。大皿にどーんと盛られてくる。客には一人一人「衛生済み」と書かれたビニールにしっかりとラッピングされた皿とお碗とおはしのセットが出るので、それに取り分けてめいめい食べる。このラッピングシステムは以前、住んでいたころにはなかった習慣だ。同じ時期に行った上海ではまったく見かけなかったものなので驚いた。
厨房を見せてもらったが、飲み水はミネラルウオーター、洗う水などは水道水、食材は近くの畑でとれたものでまかなっているようだ。畑の水は雨水と、ちょっと掘るとでてくる井戸水でまかなっているのだが、滇池の汚染が味に出ていないのはどういうわけなのだろう。もう20年、国で5本の指に入るほど汚染された湖だというのに。危険は味にでないのかもしれない。
「滇池治理」というスローガンのもと取られている対策に滇池で大量発生する藻を取る、ゴミを掬う、という地道な作業が延々と続けられているのだが、その作業も意外と有効なのだろうか。滇池を緑に染め上げ、不気味な蛍光色を帯びたようなアオコが好む窒素やリンの減少には有効なのだが、根本的な対策にはなってないはず。作物に影響がないはずはないのだが、素直においしかった。
さて、雨もやんだので、また歩く。しばらく行くと、また別の村に着いた。ここは、何かにとりつかれたかのように煉瓦の建物を破壊していた。その脇の看板を見ると、いまはただ汚れた滇池と畑しかない村だが、ここにマンション群が建てられることがわかった。
2004年に昆明の北郊にも似たような光景があった。見渡す限り畑が広がるだけの場所に新しいマンションが続々と建ち並んでいた。こんな町はずれに建てても、街へのアクセスはどうなるの? 本当にここが高級な場所になるの、と驚くばかりだったが、いまではすっかり街中に取り込まれている。まもなくその北のマンション群にも地下鉄が通るはずだ。そう考えると、この昆明中心から南の場所も同様に開発されることは明白なのだろう。
さて、ようやく盤龍江の河口に着いた。
(つづく)