写真は雲南の市場で売られている雲南産のじゃがいも。土が赤いので見た目は赤いが、洗うと黄色に。これが天麻を乾燥させていない状態と似ているのだそうだ。
【ニセ・ハチミツ】
最後に中国では避けられない問題、偽物の見分け方。
一番、手間をかけていないニセ・ハチミツは水飴に着色したものです。
また昨年、大きく報道されたものでは、とうもろこしやお米でデンプンを出した後(とろとろに煮るなど。)、ブドウ糖と色素、防腐剤、白砂糖を添加して作るもの。
これは500グラム1元でできるそうです。一般のハチミツが500グラム15元以上なので元手は15分の1。ハチミツという名前を付けずに、へんな添加物を入れなければ金沢の(2014年5月15日鞍山日報より)
【天麻ハチミツ】
ところで今シリーズの写真で触れた天麻。ヤハシの自生地と重なる場所で採取される漢方薬ですが、香港では「天麻ハチミツ」が売られています。これは天麻の花の蜜ではありません。天麻はキノコのように菌なのでミツが出るような花は咲かないのです。かといってニセモノ、でもありません。天麻をハチミツにつけ込んで、飲みやすくしたものです。
せっかくなのでここで、この雲南の特産品の天麻についても触れておきましょう。
『天麻 雲南名特薬材 鑑別与服用叢書』(呉応華 曹雲霞ら編著 雲南科学技術出版社、2012年)という、天麻を扱う人向けの実用的な書物を見つけました。この本には天麻が何科に属するのかという基礎的な植物学的知識はまったく触れられておらず、代わりに栽培法と、その薬効、調理法、そして一番ページを割いて写真付きで丁寧に解説されていたのがニセモノの見分け方でした。
そのニセモノが、吹き出したくなるほど、似て非なるものばかり。
トップにあげられているのが、メークイン系のジャガイモ。それも長っぽそくて、新鮮なものがたいへん似ている、と書かれています。
里芋は、温水につけると粘りけが出るので違いがわかる、とか。意外なのが、オシロイバナ。日本では夏にピンクのかわいらしい花を咲かせる植物ですが、これもじつは根茎で芋状になっています。これは毒性があり、のどを刺す感じがあるので、わかる、とか。
ほかにダリアの根、正月料理で見るクワイ、漢方薬としては別の薬効があるけど天麻より安価な大九股牛、黄精(中国自生のユリの根茎)など。
そもそも天麻はユリ科の根茎です。でも根茎ならなんでもありのオンパレードは、それだけ、高価なわりに、目利きが難しいことがわかります。
ハチミツにしても高級漢方にしても中国では、信用のおける店で買うしか、自衛策はなさそうです。 (この章終わり)
※来週の更新はお休みとなります。次回より新章スタート。お楽しみに。