写真は,左が私の通った語学学校の建物。右が宿泊していたホテル。8階以下の一般客用の部屋にはテレビが付いているが、学校の生徒の部屋にはないなど,少しずつ部屋の内装が違っている。つまり、学校にいる間は、テレビを見ることはできない。当然、スマホで見てはいたが、たまに外でテレビの画面を見かけると食い入るように見てしまう、テレビっ子世代の私であった。
【コース決め】
翌朝、息つく暇もなく、学校の食堂で朝食を食べ、9時に指定された事務室に行きました。場所はホテルの敷地の一角で、すぐ隣です。スコールの時には雨に濡れずにすみそうで安心しました。渡り廊下の途中にはなぜかじみな韓国料理屋、庭には野良犬がけだるそうに歩いています。
敷地には椰子の木なども植わっていました。白いはと、よくわからない南国の鳥の声も賑やかです。日射しは朝から容赦ない熱量を帯びていますが、風が心地よく、日本の夏ほど蒸してはおらず、気温の最高で30度程度。ちょうどよい気候です。これが一年中,変わることなく,続くのだそうです。台風もセブ島にはやってきません。蚊もなし。どうやら気候的には住みやすそうです。
校舎はブルーに彩られた別の建物で3階建て。1階は全面ガラス張りの自習室と食堂、さらに生徒が自由に使うことができるトレーニングジム、2,3階が教室と事務室です。事務室には日本人も二人常駐していて、日本語で今後の予定を聞くことができました。
南の島特有の明るい雰囲気の中とはいえ、カリキュラムは本当に真面目な詰め込み型で、望めば朝7時から夜9時まで9時限、週末を除いて毎日、みっちり勉強できます。
私はもっとも授業時間の少ないコースを選択していたので通常だと一日5時間。ただ今回は、入学生がたったの一人でグループが作れなかったとの理由で、すべてマンツーマンレッスンで4時限になりました。
普通の人より少ない授業時間数とはいえ、大学以来、「授業」に縁のなかった私に耐えられるか不安でした。そもそも人の話を一日4時間も座って聞いていられるのか。そして勉強だけの生活を1ヶ月半も続けられるのか?
午前中にオリエンテーリングやレベルチェックテストなどをたった一人で受け、午後から授業開始。教室は2人で一杯になるような一平米程度の部屋が蚕棚のように並んでおり、指定された部屋のドアを開けると、先生が座っていました。
最初の先生は20代のかわいらしい、まるっとした女性のG先生。目が大きくクリクリとしていて、声も大きい。入ってくるなり、お互いに自己紹介。大きい目をじっと見据えて「私は日本人をジェラス(嫉妬)してるの」と言いはじめました。
(つづく)
【SIMフリースマホに現地のカードを挿す】
定刻の午後6時50分にセブ島へ。ターミナルを出ると、これから入校する語学学校「セブ・ブルーオーシャン」から迎えの車がきていました。今日は私一人のための車でした。
それに乗り込む前にセブ島では一番お得だとネットで調べた結果たどり着いたスマホ用のSIMカードを空港で調達(globeという会社をチョイス)。購入するとすぐにSIMカードの販売員がsimカードを差し替え、設定まで済ませてくれます。
ただ、これは、失敗でした。私のスマホはHuaweiで、SIMカードが二枚入れられる構造になっているので、通信用simと記憶容量を増やすためのmicroSDカードの2枚を差していました。
そこを販売員が乱暴にこじ開けたためにmicroSDカードが破損してしまい、それが原因でスマホ本体の誤作動も誘発された気がするのです。因果関係の追求は機械音痴の私ではしきれませんが、フィリピン以降、私のスマホはしばしばヘンな動作をするようになったということは間違いありません。
少し面倒でも、通信用SIMカードを自分で挿して(小さい文字の英語で書かれた「登録の仕方」を解読する必要があるのですが)、自分でするべきだったのかもしれません。
ちなみに空港のSIMカードは、最長で1ヶ月しか使えなかったので、あとはコンビニなどの街の売り場でSIMカードを延長するために通信容量を買い足さなければなりません。
買うことは簡単で、容量もカードに書かれた通りに入れれば(日本語で丁寧に写真入りで買い足し方を書いた個人ブログが数件あります)大丈夫なのですが、そこから、どんどん勝手に通信容量が減っていく地獄に突入し、わけがわからないうちに使えなくなってしまう、という悲劇に見舞われていました。
あとでわかったのですが、学校でも通信できる機械の貸し出しが、それほど高額でもなくあったので、それでよかったのかもしれません。
【1ヶ月半暮らす部屋に入る】
セブ島には本島とその横のマクタン島という平たい島の2島があり、島は2つの橋でつながっています。空港も学校もマクタン島にあり、車で30分ほどでした。
道は私の予想通り、夜は暗く、たまに道路の中心線だけに豆電球のようなものが光っています。時折、車のライトから樹木とTシャツ姿のセブの人々と屋台の壊れかけた屋根のようなものが見えますが、なぜか海はほとんど見えません。ジャングルということはなく、都会と田舎の景色のまだらもようのような景色が続きました。人、犬、湿気のある風がアジアムードを高めます。
軍人風の制服を着て、腰に拳銃を付けた守衛の立つゲートを抜けると、宿舎に到着しました。ジャングルに点在するバンガローではなく、12階建てのホテルでした。私の部屋は10階で海は見えないけれど、島の内部のほうは見えるようです。
家人と二人で一部屋、風呂はなく、シャワーとトイレ、勉強机2つとベッドが2つ、鏡と服を入れる小さなタンスがありました。やや暗めの電球と勉強机の前の蛍光灯がチカチカとまたたいていました。
(つづく)
【セブ島留学滞在記】
これからセブ島に語学留学されるかたの参考になれば、と思い、しばらく、書き連ねます。雲南でなくて、恐縮です。ご興味のある方はお読みください。
【語学留学はセブ】
いままで南の島、のんびり、リゾート、マリンスポーツぐらいしか思い浮かばなかったフィリピン・セブ島。水着や日焼けの苦手な私としては、もっとも縁遠いところと思っていました。そこに家人が語学留学すると決心。私もついて行くことになりました。2018年10月のことです。
以前より英語にとくに苦手意識を持っていた家人は、年を経るごとに話さねばならない機会が増え、数年前から留学を計画し始めていました。
最初、日本で英語学校に通っていたのですが、成果が出ない上に高額だと断念。
次にイギリス、アメリカだー、などと勢いづいていたのですが、実際に調べると高額だったため、断念。ついにお手頃価格で英語を学べる場所としてセブ島に行き当たったのでした。
家人はリゾートを満喫しながら、のんびりと英語の勉強ができると想像していたらしいのですが、とくにリゾートに興味のない私としては、水木しげるの自伝的まんがが頭をめぐる程度
(南国でいっしょくたにしていますが、じつは違う場所なことは理性ではわかっています。とはいえ第2次世界大戦で日本軍が一時、占領していた場所であることは共通しています)
さらにフィリピンは年中、暑くて気温30度ぐらい、一日一回は雨が降る熱帯雨林気候、などを旅行ガイドブックで読んだ結果、想像したのは、椰子の葉で拭いた小屋ほどではなくても、プレハブのような掘っ立て小屋が広いジャングルのような敷地に点在していて、しょぼしょぼ降る雨の中、突っかけを履いて、勉強部屋に向かう、といったイメージ。そのため、ショートパンツや足を守る防水グッズや大量のタオルを持参することにしました。
東京からフィリピン航空直行便で5時間半。航行中はほぼ暗闇でテレビもない、質素な飛行機を降りると、屋根が波打つような美しい形状に木材をふんだんに使った南国ムード満点のセブ島のマクタン空港に到着しました。ちょうと2018年7月にオープンしたばかりの新ターミナルだったのです。
(つづく)