雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

語学留学でセブに行く70  バケーション7 「当たり前」は見えない!

2020-12-27 13:08:02 | Weblog
この景色をバックに記念写真を撮った。そして、周囲に、そのような撮影をする車が他にもあったことに驚いた。

【マホガニーフォレスト】
 船から降りて、プロポーズの様子を添乗員さんに話すと
「ワオ! すごい話だ」

私が「川下りはプロポーズのメッカなの?」と聞くと、

「はじめて聞いたよ。いやあ、すごいねえ。今度、ラジオで話そう」

と大興奮。最初に話したように、ラジオ番組を持っている人なのです。

次に行く場所は教会なのですが、その前にウインクして

「すごい場所に案内してあげるよ」

着いたところがうっそうとした森林に囲まれた車道。森林浴によさそうです。

「さあ、ここで写真を撮ってあげよう」

と、木の根本でパチリ。
 添乗員さんはすごいだろう、と自慢げです。

 葉が生い茂り、南国の日差しが地上まで届かない暗い森。涼しく湿った空気。葉が落ちて出来上がった黒土をしっかりと根がつかみ、その根が地上をうねっていく光景。これって、日本で見慣れたごく普通の林です。

 林なら、来る途中にもたくさんありました。南国の自然林が。ただ、この20平行キロメートルのところだけが、マホガニーの人工林。マホガニー材が高く取引されていた時期に植林された場所なのです。

 日本では、戦後まもない時期に植林した杉の人工林があまりの多いので、このような単色な森は見慣れているのですが、ボホールでは珍しい景色なのでしょう。マニラなどからわざわざ見に来る人もいるとのこと。

 結局、日本で撮ったかのような写真が出来上がったのですが
「ここは私にとっては珍しくない」とは口が裂けてもいえませんでした。
 これまで走ってきたヤシの木を主体とし、様々な植物が重層化している南国の自然林こそ撮りたかったなあ。

(「当たり前」は、そこにいる人には見えないものなのですね。フィリピンの人を日本に案内するときは、近くの杉林に連れていくと喜ばれることでしょう。)

※今年は旅行もままならない、それどころか息をするのすら大変な年となりました。そんななか、お読みくださりありがとうございました。
 よいお年をお過ごしください。
 次週の更新は、お休みします。
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語学留学でセブに行く69 バケーション9

2020-12-20 10:55:41 | Weblog
【突然のプロポーズ】
 やがて川岸に張り出した屋根付きの木製テラスにそっと着岸。テラスでは所せましと集まったおそろいのフラダンスの衣装のような服を着た老若男女の村人が小さなギター(ウクレレより低音)に合わせて歌って踊って船の客を迎えてくれました。

 ここは川下りの最深部らしく、船の客が彼らの踊りにつられて降りて、一緒に踊ったり、土産物を買ったりして楽しむことができます。その間に乗っていた船はUターン。テラスに再着岸し、元来た川を戻る、という構成になっていました。

 見ると奥の対岸にも同様の踊り場テラスがありました。そこでも同様の衣装を身に付けた人々がいて、船が去ったあとなのか、ぐったりと横になっています。

 カラクリが見えると、目の前の踊りが気の抜けたサイダーのようにしか感じなくなる切なさ。
 ひたすら楽し気に踊るというのは、たいへんなお仕事なのだと感心してみたり、小さな子供まで踊っているのは休日だからなのか、などと考えてみたりしながら、私はUターンの順番待ちの船の上にいました。ともに来た家人はみなと踊りながら下船し、カメラ片手に撮影までしてノリノリです。

 と突如、にぎやかだった踊りが急に静かになりました。見ると踊りの輪の中心に船の観光客が二人いて、若い男性がキラリと光るダイヤ?の指輪が置かれたケースを掲げて、女性の前にひざまずいています。フィリピン人カップルのようです。

 みながかたずを飲んで見守ります。聞こえるのは対岸のテラスの踊りの音と鳥の声。どれほどの時が経ったのか、女性は我に返って、小さなハスキーボイスで

「yes」

 指輪を受け取り、男性に抱きつきました。その瞳には涙が光っていました。

 たちまちわっと起こる歓声と拍手。自然発生的に音楽が奏でられテラスにいた村人たちの本物の喜びの歌と舞いが爆発し、観光客の我々も口々におめでとう! バンブーダンスも始まりました。何も言わない人も惜しみない拍手と笑顔。誰もが幸せオーラに包まれました。


 こうしてけだるい川下りが一転して祝宴のクルーズに。なんと対岸の別のクルーズ船にも話が伝わったのかこちらを向いて、笑顔で手を振り、拍手をしています。

 帰りの船は、作戦成功とばかりに穏やかにほほ笑むプロポーズに成功したばかりの若い男性とその友達。その前には席に着いて、しみじみと指輪をした手を見つめつつ、うれし涙でほほえみながら、その横にいる両親や女友達たちから手を握られたり、肩に手を載せられたりして祝福を受ける女性。
 それを見た乗客全員がほほえみながら、カップルを見つめて、幸せオーラを満喫するという夢のようなひと時を過ごすことができました。
              (つづく)
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語学留学でセブに行く68 バケーション8

2020-12-13 11:54:41 | Weblog

おそろいのTシャツを着た保護員が、客のスマホで慣れた手つきで撮ってくれた「野生」のターシャ。

【小さいおさるさん】
たまたま行きあったお墓参りを歩かせていただいた後は、添乗員さんが遅れを取り戻すかのようにボホール島観光の黄金ロードを突き進みはじめました。

ボホール島中央部は南国らしいヤシの木などのある森が広がっています。その中の一部を囲って自然を展示するかのような施設がありました。一つはターシャ。もう一つはちょうちょ。
 まず入場ゲートを抜けると、ターシャという、こうもりぐらいの大きさの猿が放し飼いされているのです。(彼らは夜行性なので、昼間は木の枝につかまってお休み中。したがって、拍子抜けするほどたやすくみられる。保護員が私のスマホを手に取ったと思ったら、器用に露出を変えて、かわいいターシャの寝顔を撮って渡してくれた。手慣れたサービスらしい。)

また、別の施設でも入場料を払うと、大きな網で囲ったサンクチュアリへ。ちょうちょを羽化させ、飛び回らせているというのです。ここでは入口から南国~という服装をした、芸人風の観光案内の人がぴったりと寄り添っての解説が付きます。
 ただ解説といっても自然の学術的な話はフレーバー程度で、ほとんどがダジャレ攻撃の漫談。英語はゆっくりで聞き取りは簡単なのに笑ってしまう。なんともいえないほのぼのとしたくだらなさが、なんだか昭和の観光地に来たような気分です。

サンクチュアリに飛び交う蝶。

【保護と管理の絶妙なバランス】
そしてハイライトが川下り。ミルクのまじったようなエメラルドグリーンの横幅10メートルほどのロボック川を食事つきの遊覧船で下るのです。

 駐車場にはたくさんの車が止まり、チケットを買っての順番待ち。

「何番さん」

と呼ばれてようやく乗り場の桟橋へ移動してもなお並ぶというほど混んでいます。ところが、なんでも顔パスの添乗員さんのおかげで並んでいる列をごぼう抜きして、あっという間にすぐに出航という観光船に乗っていました。

考える暇もない観光の流れに身を任せて食事を口に運んで、ぼーっと河を見るともなく見ていたら、子供は諸聖人の日の休みで暇なのか、こちらをみては、すっぽんぽんで川に突き出た木の枝にロープ吊るし、なかなか流れのありそうな川めがけて、ターザンのようにジャンプ! 
 
放物線を描いて、落下すると、こちらを向いて手を振っていました。なんだか楽しそうです。


船上でギター片手に歌う生演奏付きの中、ココナッツたっぷりの地元の料理のバイキングを食べるサービス。観光客がわくわくムードから湧き上がる笑い声で幸せオーラに包まれた船旅です。お金をかけた観光というものは見る景色をも一変させるようです。

私は一体どこにいるのかしら?
(つづく)

※次回、驚きの事件が( ^ω^)・・・

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語学留学でセブに行く67 バケーション7

2020-12-06 14:50:34 | Weblog
【死後も家族の中心に】
これら大きな石の墓の中は土葬なので、むくろが横たわっているはず。それを遠ざけるのではなく、さもその人がいるかのように一族の輪に加えて宴会でも開いているかのよう。なかにはいつくしみのほほえみを浮かべて、土葬墓をなでるようにして語り掛けている若い男性もいました。なんだか胸が突かれて、ジーンときました。

墓地脇の自動車道には、たくさんの露店が並び、いたずら好きそうな小学生くらいの男と子グループがアイスキャンディーを買って、うれしそうに食べています。この雰囲気はかつての日本の神社の祭礼のよう。花かごや蝋燭が売り物のメインですが、これに金魚売りでも加わったら、日本のお祭りみたい。

じつはフィリピンでは、11月1日の諸聖人の日(All Saint Day)を中心にその前日にご先祖の魂が現世に戻り、2日には、また還っていく。その間、場所によっては大花火を打ち上げたり、露店が出たりといった大きなお祭りになるのだとか。日本のお盆+七夕祭りまたは秋の祭礼がくっついた感じなのでしょうか?

すごく清らかで、安らかで明るい空気に満ちた特別な空間でした。この前日、テレビでドゥテルテ大統領が地元に帰って墓参りをした、というニュース映像がテレビで流れていましたが、この時期はフィリピンの多くの地域で見られる光景なのです。

墓地でお菓子を買うこどもたち

【コロナ禍の現在】
ところが現在、フィリピンでは新型コロナウイルスで亡くなった人は12時間以内に火葬するように義務付けられているそうです。フィリピンの首都であるマニラの市長は今年8月、
「亡くなった悲しみの中、すぐに火葬代を支払う必要があるのは気の毒だ」

 と無料で火葬を引き受けることを決定しました。火葬費用は6万ペソ(12万円以上)とかなり高額。(日本の火葬費用より若干、高め。物価から考えると相当高め) 
 なにより死者の復活を信じるカトリックの国・フィリピンでの火葬は、祭りの意味を変えるほどのいたみに違いない。つまり長い間に築かれた死者への弔いを、パンデミックはさせてくれない。それだけに火葬代無料は市長の英断といえるでしょう。
(つづく)


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