雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

全国第9位の安全都市で・・

2008-07-26 13:50:21 | Weblog
写真は昆明より南に150キロほど下った石屏の異龍湖。この時期、ハスの花で満開になる。雲南の8大淡水湖の一つだが、日中は34度にも達する暑さのため、遊覧船の客引きばかりが目立ち、ゆっくり蓮の花を観賞できないのが難点。

話はそれます・・。
【時限爆弾】
 21日午前7時5分とその約一時間後に昆明の路線バスで時限爆弾による爆発事故がありました。死者が3名へと増える中、北京からも捜査陣が派遣されましたが、捜査は進展していないようです。

 昆明市公安局は22日に有力情報の提供者には報奨金10万元(約150万円)を与えるとし、さらに23日にはその3倍の30万元(約450万円)に引き上げました。事件のあった54路は省庁関係の役所から昆明大学、昆明医学院、雲南一のショッピングセンターなど目白押しの目抜き通りのみを通っています。私もときおり、利用しました。バスに液晶テレビが付けられ、「トムとジェリー」を放映するなど、昆明の「顔」ともいえる路線です。そのラッシュアワーを狙ったのですから、政治的テロである可能性が圧倒的でしょう。(前日には、54路には乗らないように、というメールも流れていた。)

 ちなみに10万元という金額は、現在、雲南では事業を興すときの最低投資金額でもあり、政府主催の基金会の寄付金の額でもあり、銀行でのキャッシュ抜き取り事件で奪われる金額でもあります。30万元はその3倍なので、北京からの資金が投入された額なのかもしれません。

  しかしインタビューを受ける昆明市民の緊張感のないこと。おびえる、というより、どちらかというとゆるく笑みを浮かべながら「近くに雷が落ちたと思ったよ」「またガスが爆発したかと思った」といった調子。いつでもそのペースを崩さないのは、地域性でしょうか。

7月19日に孟連タイ族ラフ族自治県でゴム園労働者と地元警察が衝突し、2人死亡した事件と関連づけた記事も見られます。そもそもこの事件は、北京オリンピックの治安強化に端を発しています。中央からの指示に触発された省書記が15日、ゴム園での騒ぎをきちんと解決するように、と指示。地元警察はその指示に応えるために首謀者と思われる人を逮捕しようとしたため労働者500人が怒って起きた死亡事件だということです。ミャンマーとの国境の街の農民が昆明でテロを起こすとは考えにくいのですが、北京オリンピックの影が国境付近にまで及んでいることは確かなようです。

【涙ぐむ公安の人】
公安にはわが家もたびたび出くわしました。一つはビザの延長手続き。事務手続きはとっても投げやりでした。

雲南から比較的詳細な地図を日本に持って帰ろうとしたときも荷物から引き抜かれ、お世話になった関係各所にあらぬ疑いをかけてしまいました(国境付近の地形図は軍事機密ということになっている。)

昆明駅では、列車に乗りたい四川なまりの人(昆明では気性の荒い人々の代名詞、となっている)に怒鳴られた若い公安の人が、なんと涙ぐみながら、でもともかくその場に踏みとどまらなきゃ、と必死で立ちつくしていました。よくいえば優しげな、悪く言えば緊張感にかけた人たちでした(そういう人を「よくがんばった」と地元新聞では持ち上げる風潮も。)

シーサンパンナの国境付近では、雲南省所属の麻薬捜査員の団体とホテルで同宿していまい、連夜のストレスたっぷりなカラオケがホテル中に早朝3時ごろまで響きわたり、すっかり弱ってしまいました。きっちり寝て、捜査に全力を尽くしてほしいものです。
 たぶんいま、現場は北京の人達のいいなりになっていることでしょう。

 と、書いて夕刊を開くと、ワシントン発でトルキスタン・イスラム党なる組織が犯行声明を出していた、と書いてありました。なぜ、中国ではなくて、ワシントンからの報道? 北京の人たちは犯行声明を知っていて捜査員を派遣していたということ? なぜ犯行後5日後に公表? と疑問はつきませんが、オリンピックがらみで世界から報道陣が詰めかけている今、中国全土で似たような事件が起こっていくのでしょうか・・。


*雲南に行きますので、8月6日から16日までブログの更新はお休みします。
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茶王のテンプク5

2008-07-18 22:26:05 | Weblog
写真はシーサンパンナの州都・景洪の植物園にて。台湾と同じ緯度のこのあたりでは、ソテツなどのでこぼこ部分にシダが生い茂り、一本の木が一つの宇宙と化していた・・。

さて、
 話は茶王に戻ります。

【香料と茶】
 昆明で茶屋を訪ねると、一般のお茶の他に「バラ茶」「菊茶」など、見た目と香りを競う商品が並べられている。日本の感覚では「香料公司」(公司は中国では「会社」のこと)は一見、茶業とは関係なさそうだが、雲南では香料は立派な茶葉関連商品なのである。一元訴訟を起こそうとした香料公司の人々の背後には、おそらく雲南省茶葉協会が推察される。

【儲けた政府と騙された台湾商人?】
裁判にやぶれはしたものの、雲南省茶葉協会側が提出した専門家の意見にはうなずける主張が、圧倒的に多い。

 まず日本の国立自然公園にあたる国家級自然保護区は、国が管理するもので、国の許可なしには何ら手を加えてはならない、と指摘。それなのに鎭ゲン県政府は勝手に協議書を作成してしまった、ということ。その内容は、天福集団は保護作業に24万元を投資し、その後、毎年、管理のために3万元(約50万円)を寄付するというものであった。権限のないはずの県政府の意向で地方政府にとって莫大なお金が動いたのである。

 天福集団会長の李瑞河は
「自分は世界茶文化遺産の保護に微力を尽くしたいと考えただけなのです。以前、旅行で参観した際に鎭ゲン県政府は『古茶樹は存亡の危機にあります。我々にはそのための計画はあるのですが、資金がない』と訴えてきました。だから資金を投じたのです。まさか原始の環境を破壊するとは思いもしませんでした」と語っている(春城晩報8/25)。

 茶葉協会長の鄒家駒は、その言葉にするどく反駁する。
「天福集団は毎年10キロもの『古茶王』の茶葉を要求していました。栽培種ではない野生のものにとって、その行為は死を意味するのです」
 うわべだけの保護派と現地の実情に驚いて、最低限の主張にも策をろうさねばならない力の弱い現地保護派の間で、茶樹の原産地の古木の生命は風前の灯となっている。

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閑話休題・おみやげ編1・お茶

2008-07-12 12:08:51 | Weblog
夏です。夏休みです。この夏、中国に旅行に行かれる方に役立つおみやげ情報をご紹介しましょう。

【大手スーパーマーケットがお得】
 現在、中国ではプーアル茶など名だたる高級茶葉は投機の対象となり、100グラム100万円を越える売買もされています。一方、目利きは香港や台湾に集中し、中国最大の上海にある外国人向け茶葉交易市場の商人もすべてを把握しているわけではありません。ましてや雲南などの地方都市ともなると、省最大の茶葉交易市場の商人ですら市販のDVDでいまさらながら勉強している人も結構、います。

 そんな売り子さんに勧められるままに、安いよ、日本円でいいから、と日本よりやや安めの金額(プーアル茶を100グラム2000円、と我が両親は土産物屋で熱心に勧められていました)で買うよりも、ちょっと大きめのスーパーマーケットでやや高め程度の茶葉(プーアル茶100グラム20元)を買う方がよっぽどおいしいお茶が買えます。よく売れるので古いものも少ないのがうれしいところです。

 カルフール(いまや中国全土の主要都市で必ず見かける存在。チベット問題では、フランスのサルコジ大統領が中国政府の対応を非難したら、即座にカルフール不買運動が起きたことは、日本でも報道されました。)などの外資系スーパーなら中国語を話さなくてもレジに持って行って機械が表示する金額を払えばいいのですから、中国語が話せない人も、ぜひチャレンジしてみてください。

【花のお茶】
 いまや日本からの直行便も絶え、ますます物流網から遠ざかる雲南にもし、行くことがあれば、以前、紹介した「蘭貴人」が日本人向けでさっぱりしていておいしい緑茶ですが、さらにチャレンジしたいなら、「バラ茶」「菊茶」「アロエ茶」などもおすすめです。2グラム3元などの手軽さと、見た目のかわいらしさがいかにもおみやげ風。

 それぞれの材料をただ乾燥させたもので、飲み方は熱湯を注いで、ごく普通のお茶として飲んだり、安めの緑茶や紅茶などに混ぜて飲んで香りと、見た目を楽しみます。

 お湯を注ぐと、ぱっと華がさいたようになる「菊茶」は、ほんのちょっとずつ小分けパックにすると、気の利いたみやげものになるでしょう。

【シャングリラ産・白雪茶】
 雲南北部に旅行するなら、シャングリラ産の「白雪茶」なども珍しがられます。30グラム20元ほどで売られています。こちらはお茶ではなく、厳密にいえば、海抜4500メートルの高地に大木から綿毛のように垂れ下がるコケのような植物を乾燥させたもの。山にいくと冷気と湿気の中、気持ちよさそうに揺れています。

 やや苦く、のちに甘さが広がるお茶で、高血圧や肥満症に効果があり、子供には熱冷まし、乾き止め、目をよくする効果があります(これらの効果のある薬草が雲南には多い)。

 最近、日本ではテレビショッピングなどで減肥茶より70%も動物性脂肪を吸収するなどと称して10グラム5000円で売られていて価格も高騰していますが、なんでも飲み過ぎは禁物です。「過ぎたるは及ばざるがごとし」を肝に銘じて、おみやげ程度で飲むのがよいでしょう。飲み方は5分ほど熱湯で煎じて飲んでください。

【シーサンパンナ産・テン茶】
 わが家で失敗したのは、紅茶と同様に発酵させて紅茶タイプの後発酵茶の「テン(氵+真)茶」。昆明では雲南の紅茶ね、と楽しんで飲んでいたのですが(実際、地元の人には人気がある。プーアル茶ほど高くない。でも本場シーサンパンナでは日本価格の高値で売られていることも。)、日本に帰って飲むと、野性味あふれた苦みの方が気になり、香りも日本で買う紅茶ほどはないので、どうにも中途半端な存在となってしまいました。

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茶王のテンプク4

2008-07-05 13:11:50 | Weblog
写真は昆明の目抜き通りにある天福茶店。この通りには茶店が多いが、これほど、明るく、掃除の行き届いた店は珍しい。

【1元訴訟】
 2004年11月1日、雲南省玉渓市内の香料有限公司に属する覃宏以下3名が、昆明市内の天福集団チェーン店にふらりと現れた。昆明市と玉渓市は高速道路で2時間程度の距離。その遠距離を移動し、何をするかと思ったら、天福集団製の「千年老樅プーアル茶」を購入するのみ。

 目的は商品説明書にあった。その商品には「本品は海抜1800メートル以上の雲南省思茅茶区の千年老樅から取った茶葉を使用しています(以下略)」と書かれている。傍らには彼らが見たところモン海県巴達(ハタ)郷の原始林内にある樹齢1700年の野生古茶樹の写真があった。覃宏は、ひと目で古茶樹の違いに気づいた。

 さらに「“千年老樅”が属する野茶樹は国家二類保護珍稀植物だから、『雲南省珍貴樹種保護条例』の規定では、加工をする時に省林業行政主管部門の批准を受けなければならないはず」とも気づく。

 もう、こんなことに気づくなんて魂胆がみえみえですね。彼はさっそく関係部署に問い合わせた。当然ながら、彼のにらんだとおり、あるはずの批准文書は見つからなかった。この件より、彼は商品説明の真実性に疑問を抱き「消費者を欺いた」として、茶の購入代金4缶分の200元及び損害賠償1元を求めて天福集団のチェーン店を昆明市五華区人民法院に告訴したのである。

 ちなみにこの天福集団のチェーン店は昆明市内に高級茶葉店として店を構えていて、なかなかの羽振りである。行くと気軽に試飲もできるし、店員はこの訴訟を知ってか知らずか、悠然と例の茶葉を売り続けていた。

 結局、翌年の1月27日昆明市五華法院で、消費者覃宏の指摘には何ら論拠がない、として、請求は棄却された。

 一方、天福側は名誉を著しく傷つけられたとして、すぐに覃宏らを相手取って起訴状を出すと声明を出したが、それ以上の報道をおそれたのが、なんとなくうやむやに裁判は収束したのだった。

 中国の訴訟社会体制は日本より進んでいる。しかし、その割には弁護士の資格が日本より格段に取りやすい。はっきりいってある程度、法律文を覚えれば、申請を出すととれてしまう。質の問題はこれから顕在化していく事柄だろう。
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