ごく普通の生活を送っていたルーシー(スカーレット・ヨハンソン)は、ある日マフィアの闇取引に巻き込まれ、下腹部に新種のドラッグの入った袋を埋めこまれる。だが体内でドラッグが漏れ出すアクシデントによって、彼女の脳は突如覚醒し始める。「頭脳拡張20%」――驚異的なスピードで言語をマスター、「頭脳拡張40%」――目に見えない電波をコントロール……。脳科学者ノーマン博士(モーガン・フリーマン)が見守る中、ルーシーは次々と人智を超えた能力を発揮するが、同時に人間性が失われていき、自身でさえもコントロール不能な状態となって暴走を始めるのだった。やがて、彼女の脳は100%覚醒へと近づいていく……。(Movie Walkerより)
映画館の予告編でずっと気になっていた「ルーシー」を見てきた。人は、脳の10%しか使っていないというが、100%使えるようになったらどうなるのかという話である。監督は、あのリュック・ベッソンであるというのも期待が持てた。そして、ヒロインは、「アベンジャーズ」でブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフを演じたスカーレット・ヨハンソンである。彼女は、アベンジャーズで並み居る大男たちを手玉に取る役を演じ、強烈なイメージが印象に残っていた。『トゥームレイダー』のアンジェリーナ・ジョリーや『バイオハザード』の ミラ・ジョヴォヴィッチを彷彿させる強い女として大いに期待していた女優だ。
人間の脳が覚醒すると、信じられない能力が目覚め、目に見えないはずの電波が見えてきたり、人間の体を透視したり、サイコキネシスの力まで持ってしまう。そしてやがては、時間までも操ってしまうのである。この辺りは、人間の脳が覚醒して本当にこんなことが出来るのかと笑ってしまうのだが、映画的には、面白いテーマを扱ったものだといえる。
扱ったテーマが面白いが、この映画の最大の魅力は、スカーレット・ヨハンソンの演技に尽きる。最初は、マフィアの薬物運びに巻き込まれてしまい、脅されてビクビクしながら涙を流している様子が実に痛々しく見ているのが辛くなるくらいだった。しかし、殴られて体内に縫い込まれた薬物が漏れ出し、薬物の反応で次第に脳が覚醒していく。脳が覚醒されるにしたがって、凛々しく格好良く魅力的になっていく。まさに。スカーレット・ヨハンソンの魅力全開の映画になっていった。
内容的には、突っ込みどころがいろいろあるが、人間が脳を100%使えるようになったらどんな人間が誕生するのだろうか?映画では、その答えが用意されているが、それは映画を見てからのお楽しみだ。100%覚醒したルーシーのその後を見てみたい気がするが、続編はあるのだろうか?