石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

(SF小説) ナクバの東(88)

2025-03-29 | 荒葉一也SF小説

Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(85)

第31章 回転する六角星(1)原子力空母H.S.トルーマン(2/3)

 

 パイロットが再びこちらを向いて指でサインを送ってきた。今度は親指を下に突き出し、こぶしを上下に振った。<下降せよ>との合図らしい。米機は少し速度を上げて前に出ると高度を下げ始めた。

『エリート』もそれに合わせて前のめりの下降姿勢に入った。それまで正面に見えていた水平線がコックピットの斜め上方に持ち上がり、視界が一面コバルトブルーのペルシャ湾の海に覆われた。波も無く穏やかすぎる海面。二つの巨大な球形タンクを抱えたタンカーが音も無く海面を滑って行く。天然ガスを液体のまま運搬するLNGタンカー船だ。

カタールのLNG基地に向かっているのだとすれば、既にペルシャ湾の中ほどを過ぎたようだ。燃料計はほとんどゼロを示している。残された時間は少ない。

(続く)


荒葉一也
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今週の各社プレスリリースから(3/23-3/29)

2025-03-29 | 今週のエネルギー関連新聞発表
3/25    JOGMEC    
カナダ・アルバータ州とエネルギー協力の覚書を更新天然資源の安定供給確保と水素・アンモニア・CCSの社会実装に向けて   
 https://www.jogmec.go.jp/news/release/news_08_00094.html

3/26 bp 
bp and Iraq finalize contract for Kirkuk redevelopment 
https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/bp-and-iraq-finalize-contract-for-kirkuk-redevelopment.html

3/26 TotalEnergies 
Mozambique LNG: TotalEnergies welcomes the launch of official investigations in Mozambique 
https://totalenergies.com/news/mozambique-lng-totalenergies-welcomes-launch-official-investigations-mozambique

3/27 経済産業省 
武藤経済産業大臣がビロル国際エネルギー機関(IEA)事務局長と会談を行いました 
https://www.meti.go.jp/press/2024/03/20250327001/20250327001.html

3/28 ENEOSホールディングス 
2025 年3月期通期連結業績予想修正および当社子会社における減損損失の発生見込みに関するお知らせ 
https://www.hd.eneos.co.jp/news/release_information/upload/20250328_02_01_0960492.pdf


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中東とエネルギーのニュース(3月28日)

2025-03-28 | 今日のニュース
(エネルギー関連ニュース)
原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

(中東関連ニュース)





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現地記事転載:「米国、ベネズエラ産原油の輸入国に25%の追加関税」

2025-03-27 | 現地紙記事転載
(原題) US to punish countries buying Venezuela oil with new Trump tariffs
2025/3/25 Daily Sabah

 

トランプ米大統領がベネズエラから石油やガスを購入する国に高関税を課す大統領令に署名した。この懲罰的措置は中国やインドなどに打撃を与え、世界貿易に新たな不確実性をもたらす可能性がある。ベネズエラ産石油の直接および間接購入者を対象とした最新の一律25%の関税は、早ければ4月2日に発効する可能性がある。

一方、米国財務省は、2022年以来シェブロンに付与している制裁対象ベネズエラでの操業と米国への原油輸出のライセンスを、5月27日まで7週間待ってから取り消すと発表した。これはトランプ大統領がベネズエラが「非常に暴力的な性質」を持つ「数万人」の人々を米国に送り込んでいると述べ、新たな関税を発表した数時間後に行われたものである。

この2つの動きは、一時的にトランプ大統領の圧力を米国以外の中国などのベネズエラ原油の買い手に向けるものだが、政権が関税をどのように執行するかは不透明だ。中国外務省の郭家坤報道官は、「米国は長年、違法な一方的制裁といわゆる長期的管轄権を乱用し、他国の内政に甚だしく干渉してきた」と述べている。

アナリストや情報筋によると、シェブロンの減産期間の延長により、米国の顧客に届けられた原油貨物に対する同社への支払いが確保されると同時に、今後数週間でベネズエラから輸出される原油量、特に米国向け原油量の急減が回避される。

不法移民を政権の最重要課題の1つに据えているトランプ大統領は、今月初め、移民裁判官による最終退去命令なしにベネズエラのギャング、トレン・デ・アラグアのメンバーとされる人々の国外追放を正当化するため、1798年の外国人敵対者法を引用した。

大統領令によると、ベネズエラ産原油の購入者に課される25%の関税は、既存の関税と組み合わせられ、ベネズエラ産原油を最後に輸入してから1年後に失効する。   

トランプ大統領の関税発表を受けて原油価格は1%上昇したが、米国がシェブロンのライセンスの期限切れ期間を延長したため、上昇幅は限定的となった。

原油はベネズエラの主要輸出品であり、すでに米国の関税対象となっている中国が最大の購入者である。 2月、中国は直接的および間接的にベネズエラ産原油と燃料を1日あたり約50万3000バレル輸入した。これは総輸出量の約55%に相当する。インド、スペイン、イタリア、キューバもベネズエラ産原油の消費国である。

ルビオ国務長官は、ベネズエラ産原油の海外買い手に政策変更を通知すると述べたが、PDVSAの文書によると、多くの合弁パートナーは引き続き貨物を引き受けている。PDVSAはまた、シェブロンとの最大の合弁事業であるオリノコベルトのペトロピアルプロジェクトの運営を再編し、そこからの原油輸出を確保する計画も準備している。マドゥロ大統領は、米国の制裁措置はベネズエラを麻痺させるために計画された「経済戦争」に相当する不当な措置であるとして拒否している。

コンサルティング会社ゴールドウィン・グローバル・ストラテジーズの社長デビッド・ゴールドウィン氏は、「新たな関税はロシア産原油に対する世界的な需要を増大させるという皮肉な効果をもたらす可能性がある。中国とインドは、ロシア産原油を購入できるのに、ベネズエラの重質油を入手するために追加関税のリスクを冒す可能性は低い」と語っている。

以上
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(SF小説) ナクバの東(87)

2025-03-27 | 荒葉一也SF小説

Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(84)

第31章 回転する六角星(1)原子力空母H.S.トルーマン(1/3)


 『マフィア』に続いて『アブダラー』も編隊を離脱した後、一番機の『エリート』はペルシャ湾上空をホルムズ海峡に向かって真っ直ぐ飛行を続けていた。彼の横には米軍戦闘機がぴったりと並走しており、コックピットのパイロットの姿をはっきり見ることができる。パイロットは時々こちらを見ては親指と人差し指を丸め<そちらはどうか?>と聞いてくる。『エリート』も同じ身振りで<OK!>と無言のサインを送る。

<彼らはどこへ連れて行かれたのだろう?>

 『エリート』は並走する米軍機に僚友2機の行く先を尋ねたい衝動に駆られた。親分肌の彼は仲間の安否が何よりも気がかりだ。しかし無線の会話は禁じられている。そして自らの命運も米軍パイロットに委ねられていることに思いが至った。今はただ仲間二人と一緒に祖国に凱旋することを信じて状況に身を委ねる他なかった。

(続く)


荒葉一也
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中東とエネルギーのニュース(3月26日)

2025-03-26 | 今日のニュース
(エネルギー関連ニュース)
原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil
(中東関連ニュース)






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(SF小説) ナクバの東(86)

2025-03-25 | 荒葉一也SF小説

Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(83)

第30章 バーチャル管制(3)ルブ・アルハリに消えた二番機(5/5)

 
何となく物足りず納得できない気分を抱きながら廊下に出た彼の耳に若い兵士の会話が飛び込んできた。

「さっき東の空でとてつもない閃光が走ったぜ。あれは何なんだ。」

「俺も見たさ。まるで太陽がもう一つ生まれたみたいだったな。」

管制官は廊下の窓から空を眺めたが、そこにはいつも通り雲一つない抜けるような青空とギラギラと光り輝く太陽が一つあるだけだった。」

(続く)


荒葉一也
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中東とエネルギーのニュース(3月24日)

2025-03-24 | 今日のニュース
(エネルギー関連ニュース)
原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

(中東関連ニュース)





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(SF小説) ナクバの東(85)

2025-03-22 | 荒葉一也SF小説

Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(82)

第30章 バーチャル管制(3)ルブ・アルハリに消えた二番機(4/5)

 
部屋の扉を開けながら彼は独り言をつぶやいていた。

「ありもしない滑走路の管制塔で戦闘機の着陸を誘導するなんて仕事は初めてだ。バーチャルな管制は見習い士官の時にシミュレーターを使って訓練させられて以来だな。」

「やはり仕事は滑走路の横の高い管制塔でやるのが一番だ。あそこで周りの広い景色をながめながら戦闘機の離着陸をコントロールしていると、小さいながらも世界を支配しているような気分になれるからな------」

(続く)


荒葉一也
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今週の各社プレスリリースから(3/16-3/22)

2025-03-22 | 今日のニュース
3/20    OPEC    
OPEC Secretariat receives updated compensation plans from Saudi Arabia, Russia, Iraq, the United Arab Emirates, Kuwait, Kazakhstan, and Oman    
https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/7496.htm

3/20 Saudi Aramco 
Aramco launches Saudi Arabia’s first CO2 Direct Air Capture test unit 
https://www.aramco.com/en/news-media/news/2025/saudi-aramco-launches-the-first-direct-air-capture-and-carbon-dioxide

3/21 石油連盟 
石油連盟 役員体制について(2025年4月1日付) 
https://www.paj.gr.jp/news/1130

3/21 石油連盟 
木藤 石油連盟会長定例記者会見 発言要旨・配布資料 
https://www.paj.gr.jp/news/1129

3/21 bp 
Apollo to partner with bp on TANAP gas pipeline 
https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/apollo-to-partner-with-bp-on-tanap-gas-pipeline.html


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